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中堅・中小企業の新卒者採用動向調査結果

1999年10月29日
東京商工会議所

・調査目的: 経済活動の低迷により、企業の新卒者採用の先細りが懸念されているなかで、中堅・中小企業の新卒者採用動向を探るとともに、今後の企業ニーズを把握するもの。
・調査対象: 東京商工会議所会員企業5000社(資本金1000万円以上1億円以下かつ従業員数30名以上300名以下の企業を無作為抽出)
・調査方法: 調査表送付後、FAXによる回収。
・回答数: 578社(有効回答数、回答率11.6%)
・調査期間: 平成11年10月7日~22日

【 調査結果】

過去3年間の新卒者採用動向

97年から99年の過去3か年の新卒者採用については、「毎年定期的に採用する」と回答した企業は41.7%(241社)、また、「必要に応じ採用する」と回答した企業は40.1%(232社)であった。一方、「過去3年間全く採用していない」とする企業は17.6%(102社)あった。

企業の過去3年間の新卒者採用人数

過去3年間の新卒者採用人数の推移(平均)をみると、97年は6.2人、98年は6.3人、99年は6.1人であり、新卒者の採用人数はここ3年横ばい状態である。また、過去3年の新卒者採用数をみると、1名~5名と回答した企業が採用企業の約7割を占めている。

2000年4月の新卒者採用計画

来年4月の新卒者採用計画については、「採用を予定している」企業は過半数(51.7%、299社)であった。一方、「採用計画がない」と回答した企業も34.9%(202社)に上っている。採用予定企業(299社)のうち、採用人員を1名~5名と回答した企業の割合は、約8割(78.6%)を占めている。

採用活動の開始時期と終了時期

中堅・中小企業が新卒者採用の計画決定をしたのは、月別にみると年度始めである4月、5月、6月の3か月間で約4割(39.4%)を占めている。自社説明会の実施等、実際に企業において採用活動をスタートしたのは5月から7月が比較的多い一方、活動を終了したのは9月(22.8%)が最も多いが、7月に終了する中堅・中小企業も17.8%にのぼっている。

募集職種

来年4月に採用を予定している企業(299社)がどのような職種の人材を募集しているかをみると、1位は「営業」(164社、54.9%)、2位は「技術」(100社、33.4%)、3位は「生産」(74社、24.8%)であった。業種別には、建設業においては「技術職」を、製造業においては「生産」に携わる人材を求めており、卸売業などの事務系業種においては「営業・販売」を募集している企業が多い。

採用のための募集ツール

新卒者の採用にあたり、どのような募集ツールを使ったかについては、1位が「学校への求人票の送付」(229社、76.6%)、2位が「学校就職部の訪問」(144社、48.2%)であり、中堅・中小企業においては、新卒者採用について外部機関の利用よりも直接、学校に頼っている傾向が強い。3位には「会社説明会の開催」(103社、34.5%)が続いており、近年注目されているインターネット ホームページについては、「自社で作成している」企業は15.7%(47社)にすぎない。

2000年入社の新卒者確保状況

来年2000年4月に新卒者を採用したいとする企業(299社)のうち、現在のところ新卒者が確保できたか否かについてみると、「予定通り確保できたとする企業」(48.5%、145社)と「ほぼ確保できたとする企業」(25.4%、76社)をあわせると、7割(73.9%、221社)にのぼり、大企業の採用予定者数の減少等の影響もあってか、中堅・中小企業においては必要とする新卒者がほぼ確保できたといえる。

企業が求める学生像

採用したい学生については、「性格」を重視する企業が過半数(51.4%、286社)を占めた。
 「性格」の内訳としては、「積極性・意欲的な」性格を求める回答が166件(28.1%)を占め、以下「明朗」(92件)、「誠実・まじめ」(45件)、「協調性」(44件)と続いている。回答企業のコメントとして、「意欲さえあれば専門的な仕事も含め入社してから覚えられる」との指摘が複数あり、まず前提として積極的な姿勢を学生に求める傾向がうかがえた。また、他社との競争の激化に伴い、「常識をもちながら自分の得意分野を持っている」、「協調しながら自己主張できる、個性を発揮できる」学生の獲得に熱意を示す意見もみられた。
 採用したい学生像で2番目に多かったのは、「専門性」(15.5%)であり、業種的には建設業(21.1%)や製造業(18.2%)にやや多くみられ、建設業では建築、電気工事、またはCAD/CAMシステム等について、製造業では金属加工、機械設計または電気関係などが具体的に挙げられている。以下、「健康」(8.1%)、「常識」(5.4%)と続いており、情報化時代を反映してか「パソコン操作」を具体的に挙げる企業も4.5%あった。

インターンシップについて

在学中に企業で実習体験を積むインターンシップについて現状では、導入を「考えていない」とする企業が37.3%(216社)と最も高く、「既に導入している」または「職種・期間などの条件があえば導入したい」とする企業は各々5.7%(33社)、10.6%(61社)にすぎない。一方、「今後検討したい」とする企業も30.4%(176社)にのぼり、中堅・中小企業におけるインターンシップへの関心は分かれているのが現状である。

最近の新卒者採用について感じること

回答企業の自由意見のなかで、「就職活動が早期化している」(または「早すぎる」)と回答する企業(9件)が多く、大企業の採用活動が年々早まるなかで、中堅・中小企業においても優秀な人材の確保に向け、採用活動を早めざるをえない状況がうかがえる。
 また、大企業の新卒者採用意欲の減少等から、中堅・中小企業に目を向ける学生も増えており、実際に「優秀な人材が確保できた」と回答した企業(3社)もあった。 (企業担当者の)来訪した学生の印象については、「ワープロやパソコンなどの機械には明るい(2社)」反面、「社会人としてのマナーや知識が身についていない(6件)」、「質が低下している(4件)」、「文章能力・表現能力が低下している(3件)」と回答した企業が目立つ。
 また、性格面では「忍耐強さ、辛抱強さが欠如(5件)」し、「すぐに転職してしまう、または定着率が低い(計3件)」といった回答もみられた。 自由意見の傾向としては、最近の学生に対し、パソコン操作などに優れている反面、社会人としての基礎知識、常識または忍耐力の欠如などを指摘する声が強く、社会常識と専門性のバランスのとれた学生の獲得に苦慮する採用担当者の姿がうかがえる。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所