「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果について
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(小林健会頭)は、中小企業委員会(委員長:宮入正英副会頭/㈱宮入社長、鰐渕美惠子特別顧問/(株)銀座テーラーグループ会長)において、標記調査結果をとりまとめましたので、お知らせします。
中小企業委員会では、会員企業の経営実態に即した支援策の実現を目指し、例年、「中小企業対策に関する重点要望」を国、東京都をはじめ関係方面に提出しています。本調査は、各企業の業況や成長に向けた新たな取り組みのほか、省力化・業務効率化や価格転嫁など、中小企業が直面する経営課題を総合的に検証し、要望事項のとりまとめに供するため、23区内中小企業・小規模事業者を対象に実施したものです。
【 調査結果の主なポイント】
(1)売上・収益の状況(☞調査結果P8-10)
・本年1月~9月の売上高を昨年同時期と比較すると、「増加」の回答が43.8%と、「減少」の20.7%を23.1ポイント上回る。
・収益の状況について、前期黒字企業の割合は前々期同様60.3%だが、小規模企業は50.6%にとどまる。前期の収益状況を年度推移でみると、コロナ前は1割だった赤字企業の割合が、コロナ後は約2割が定着している。
(2)成長に向けた新たな取り組み(☞調査結果P11-14)
・中期的な事業方針について、「拡大」と回答した企業は、2018年以降概ね増加している。とりわけ、経営者年齢が若いほど、「拡大」と回答した割合が高く、30歳代以下では70歳代以上と比較して23.1ポイント高い。
・前期収益における「収支トントン・赤字企業」では、直近1年以内に新たな取り組みを実施していない割合が36.8%。
・スタートアップとの連携協業・製品サービスに関心がある中小企業は、昨年比6.4ポイント増加の43.3%。
(3)省力化・業務効率化(☞調査結果P15-16)
・直近1年間で省力化・業務効率化に向けた取り組みを実施している企業は76.6%。
・省力化・業務効率化できている業務は、バックオフィス業務が上位。1つ以上の業務で省力化・業務効率化できている企業において、今後省力化・業務効率化が必要な業務は、販売・生産関連の業務が上位にあがる。
・現在、省力化・業務効率化が進んでいない企業の約半数は、今後も必要性を感じていない。
(4)経営者保証(☞調査結果P17)
・経営者保証に関するガイドラインの民間金融機関からの説明状況について、「説明がなかった」と回答した企業は33.9%。
(5) 取引環境(☞調査結果P18-19)
・全ての費用において、前年調査から価格転嫁に進展が見られず足踏み状況。
・「4割以上価格転嫁できている」割合は、「原材料・仕入費用」が37.6%に対し、「エネルギー費用」「労務費・人件費」「その他経費」はそれぞれ25%程度となり、10ポイント近くの差が生じた。
・BtoBと比較して BtoCでは価格転嫁が進んでいない。
・主要な製品・サービスにおける価格設定について、45.2%の企業が希望する価格設定ができていない。
(6)事業承継(☞調査結果P20-21)
・「後継者を決めていないが、事業継続したい」と回答した経営者が約28.7%となった。後継者・承継先として親族をあげる割合は約7割と横ばい。
▽期間:2025年9月22日(月)~10月15日(水)
▽対象:23区内中小企業・小規模企業10,000社(回答数:1,756社(回答率17.6%))
「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果
東京商工会議所
中小企業部
担当 小野、山口、居城、張替
TEL 03-3283-7724