「知的財産政策に関する意見」について
東京商工会議所
産業政策第一部
東京商工会議所(小林健会頭)は、4月10日開催の第779回常議員会にて、知的財産戦略委員会(委員長:宗像直子・東京大学公共政策大学院 教授)がとりまとめた標記意見を決議しました。
(日本商工会議所と連名にて公表。日本商工会議所では、4月17日開催の第746回常議員会において決議)
政府が掲げる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向けては、国内経済を支える中小企業のイノベーション創出・付加価値拡大による原資の持続的確保が不可欠です。その源泉となる「稼ぐ力の種」こそ知財であり、中小企業等において、知財の重要性の認識が定着することが重要です。そのうえで、知財を活用した経営(知財経営)に関する知識や能力、すなわち「知財経営リテラシー」の向上を軸に、知財の活用と保護を車の両輪として取り組むことが、「稼ぐ力」の原動力となります。
このような考えのもと、本意見書では、具体的な要望項目を5つの柱に整理し、柱に沿った施策の展開により、知財経営を推進するよう提言しています。今後、本意見・要望が反映されるよう、政府の知的財産戦略本部をはじめ関係先に提出し、実現を働きかけてまいります。
【主な項目】
Ⅰ. 知財経営リテラシーの向上(P8~)
・中小企業、支援機関、国・地方自治体における、知財の重要性に関する普及啓発
・知財取引適正化に向けた、秘密保持契約締結・不当な契約見直し等の法務支援強化
・自社の技術・ノウハウ・データ等を安易に開示しないための周知・指導体制強化
・「J-PlatPat」の活用促進による、権利取得状況把握・自己防衛力強化の支援
・「IPランドスケープ」の活用促進による、知財を活用した経営課題解決の支援
・経営者・イノベーション人材・知財人材の育成・成長に向けたセミナー等支援カリキュラムへの
知財項目の反映
Ⅱ. 中小企業における知財の創造・活用促進(P11~)
・中小企業における「知的財産の活用・保護推進アクションプラン(仮称)」の策定
・知財活用の普及・促進に向けた各種支援施策の拡充(クリアランス調査の実施の働きかけ等)
・知財の価値評価に基づく資金調達の円滑化・税財政面の支援拡充
・海外展開に関する権利確保等の情報提供、補助金等支援施策、標準化等の支援
・イノベーション創出の礎となる知財教育の推進
Ⅲ. 取引適正化・侵害抑止に向けた知財保護の強化(P19~)
・知財保護の強化に向けた実態調査・指針策定・制度策定の検討
・企業の共存共栄に向けた知財の取引適正化の推進
・技術・ノウハウ等の情報流出防止に向けた支援強化
・知財侵害に負けないための体制整備の強化
Ⅳ. 日本のコンテンツ関連産業の拡大および加速するデジタル市場への対応(P25~)
・コンテンツ関連産業の保護・育成に向けた環境整備
・生成AIの活用に向けた環境整備
・拡大するデジタル市場に対応するための環境整備
Ⅴ. 地方創生に資する地域および中小・中堅企業の知財活用に向けた体制整備(P28~)
・地域経済の持続的成長に向けた地方自治体の支援体制強化
・知財の積極活用による観光・地域振興
・地域の持続的なイノベーション創出を支える人材育成・産学連携
※カッコ内は意見書本文のページ番号
意見書は以下リンク先をご覧ください。
東京商工会議所
産業政策第一部
担当 郷、小島
TEL 03-3283-7630