東商けいきょう 2025年1~3月期 結果(中小企業の景況感に関する調査)
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(小林健 会頭)は、東商けいきょう(東京23区内の中小企業の景況感に関する調査)2025年1~3月期の集計結果をとりまとめましたので、お知らせします。
【調査要領】
▽期間:2025年2月12日~3月3日
▽対象:東京23区内の中小企業2,820社(回答数:1,088社(回答率38.6%))
▽項目:業況、売上、採算(経常利益)、資金繰り、民間金融機関の貸出姿勢、従業員数過不足
▽方法:WEBおよび経営指導員による聴き取り
▽従業員規模構成:5人以下:431社(39.6 %)、6~20人以下:282社(25.9%)、21~100人以下:258社(23.7%)、101人以上:117社(10.8%)
【
~都内中小企業の景況感は、原材料価格高騰や人手不足、個人消費低迷で8期ぶりのマイナス圏
深刻な人手不足が続く中、採用活動を実施した企業のうち80.1%が中途採用を実施】
■東商けいきょうの主なポイント
都内中小企業の今期の景況感は、3業種で前期比マイナス。来期はプラス圏内を見込む
◇業況DIは前期比2.8ポイントマイナスの▲1.2となった。原材料価格高騰や人手不足、個人消費の落ち込みを背景に、中小企業の業況は2023年1-3月期以来、8期ぶりにマイナス圏内に転じた。
◇業種別では、サービス業が8.9ポイントマイナスの▲5.9、卸売業が4.1ポイントマイナスの▲6.5となるなど3業種でDI値が前期比マイナスとなった。一方で、製造業が4.8ポイントプラスの6.4、小売業が0.2ポイントプラスとなるなど2業種でDI値が改善した。
◇来期の見通しは1.3ポイントプラスの0.1。堅調なインバウンド需要や価格転嫁の進展を見込む一方、政策金利引上げに伴う借入金利への影響や、アメリカの関税政策など、先行き不透明であるとの声が聞かれた。
<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○建築資材の値上がりと人件費の負担増で住宅建設の増加が見込めず、売上は厳しい(卸売業:木材、従業員数:7名)
○原材料価格の上昇に伴い昨年秋に値上げを実施したところ、利用客が減少した(サービス業:仕出し弁当、従業員数:5名)
○新型コロナ関連融資の返済が始まっており、今後は金利上昇も見込まれるため、資金繰りはますます厳しくなる見通し(サービス業:建物設備保守メンテナンス、従業員数:10名)
○取引先の協力会社(めっき、金属加工等)の廃業が、この1年で複数社あり、サプライチェーンが寸断されている(製造業:金属製品塗装、従業員数:7名)
■付帯調査 「採用の動向について」
◇正規従業員の過不足状況について、「不足」は1.1ポイント減少の43.3%。建設業除く4業種でわずかに改善した。
◇2024年度の採用活動について、「実施した」企業は54.9%と、1.7ポイント増加した。具体的な実施内容は、「正規従業員の中途採用」が1.4ポイント増加の80.1%と最も高く、「正規従業員の新卒採用」は8.2ポイント減少の34.3%となった。
◇新卒の採用活動における取り組みは、「求人サイトへの掲載」54.1%、「学校との連携」53.7%、「初任給の引き上げ」51.2%となった。中途の採用活動における取り組みでは、「求人サイトへの掲載」54.6%、「給与の引き上げ」48.5%、「ハローワークの活用」43.7%となった。
◇2024年度に正規従業員の採用活動を実施した企業のうち、「計画通り採用できた」、「概ね計画通り採用できた」の合計は51.7%で、前回調査比1.6ポイント増加となった。
<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○中小企業は認知度の問題で新卒の採用が難しい。新人教育をする人材もいない(製造業:麺類製造、従業員数:15名)
○大企業の初任給の大幅引き上げに伴い、当社も採用時の月額賃金の引き上げを検討しているが、既存の従業員とのバランスも考慮しなければならず苦慮している(製造業:精密板金加工、従業員数:25名)
集計結果
東京商工会議所
中小企業部
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