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東商けいきょう2024年7~9月期 結果(中小企業の景況感に関する調査)

2024年9月25日
東京商工会議所
中小企業部

 東京商工会議所(小林健 会頭)は、東商けいきょう(東京23区内の中小企業の景況感に関する調査)2024年7~9月期の集計結果をとりまとめましたので、お知らせします。

【調査要領】
▽期間:2024年8月15日(木)~8月29日(木)
▽対象:東京23区内の中小企業2,790社(回答数:1,083社(回答率38.8%))
▽項目:業況、売上、採算(経常利益)、資金繰り、民間金融機関の貸出姿勢、従業員数過不足
▽方法:WEBおよび経営指導員による聴き取り
▽従業員規模構成:5人以下:427社(39.4 %)、6~20人以下:267社(24.7%)、21~100人以下:262社(24.2%)、101人以上:127社(11.7%)

【 賃上げ等でコスト増は継続するも、価格転嫁の進展や省力化投資による効果で、景況感はほぼ横ばい  正社員の賃上げ実施企業は6割超。うち、半数以上がベースアップを実施し過去最高値】


■東商けいきょうの主なポイント
都内中小企業の今期の景況感は、3業種で前期比プラス。来期は最低賃金引上げの影響でマイナスを見込む

◇業況DIは前期比1.0ポイントプラスの3.2となった。賃上げや人手不足対応によるコスト増が継続するも、価格転嫁の進展や省力化投資による効果が見え始め、中小企業の業況はほぼ横ばいとなった。
◇業種別では、小売業が3.6ポイントプラスの▲8.9、製造業が3.5ポイントプラスの1.9となるなど3業種でDI値が改善した。一方で、卸売業が3.0ポイントマイナスの▲1.9となるなど2業種でDI値が前期比マイナスとなった。
◇来期(10-12月期)の見通しは2.6ポイントマイナスの0.6。最低賃金引上げや社会保険適用範囲拡大に対する負担増、不安定な為替の動向を不安視する声があった。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○セルフレジなどを導入したことで、省力化につながり、人件費削減が徐々にできている。今後はさらなる省力化に向けて、チェーン本部が実施する効率化機能も取入れる予定(小売業:スーパー、従業員数:20名)
○発注者との単価交渉は順調だが、人員確保が厳しい状況である。2028年までは繁忙度が高い状況が続くと予測しており、外国人材による担い手の確保を進めていく(建設業:測量、従業員数:300名)
○受注増により業況は良くなったが、新型コロナ関連融資の返済額が利益を上回っておりキャッシュフローは厳しい状況が続く(建設業:デザイン設計、従業員数:15名)

■付帯調査 「賃金の動向について」

◇2024年度の正社員の賃金は、「賃上げを実施」が前回調査比3.7ポイント増加の62.0%となった。そのうち、「業績は横ばい(50.4%)」・「業績は悪化している(11.5%)」を合計した60%以上の企業は、業績の改善が見られない中で、防衛的な賃上げを実施した。
◇賃上げを実施した企業における賃上げの内容については、「ベースアップの実施」が6.0ポイント増加の54.2%と、本調査(賃金の動向について)を開始した2015年度以降で最高値となった。
◇賃上げを実施した企業における給与総額の引き上げ率については、5%以上の企業が28.2%と最も多く、3%以上の引き上げを行う企業は合計69.8%と、前年同期比9.5ポイント増加した。
◇賃上げを行う理由は、「社員のモチベーション維持・向上」が最も多く84.6%となった。次いで、「物価が上昇しているため」が64.4%、「人材の流出を防ぐため」が57.5%となった。また、「最低賃金の引上げに合わせるため」が16.7%となった。
◇一方、賃上げを見送る(前年同水準・引き下げ)もしくは未定とする理由は、「今後の外部環境・経済状況が不透明」が46.8%で最多となった。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○収益が悪化しても、防衛的に賃上げせざるを得なかった(製造業・印刷、ウェブサイト制作、従業員数:68名)
○物価上昇率を上回る賃上げができる環境作りが必須条件と考え、価格交渉を粘り強く行ってきた(製造業:プラスチック押出成形、従業員数:19名)
○最低賃金引上げによるパート・アルバイトの賃金、および業務委託契約先への支払額が増加しているため、社員の給与は据え置いた(小売業:酒販、従業員数:5名)

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
TEL 03-3283-7643