会頭コメント

会頭コメント

ジェノバ・サミットについて

2001年7月23日
東京商工会議所

1. 各国の景気が減速し、株が連鎖的に下落する状況の中で開かれた首脳会議であったが、日米欧が同時不況を回避するため協調して必要な政策を実行することで合意に達したことを歓迎する。しかし、各国とも個別の難しい事情を抱えているだけに、相当の努力が必要になるだろう。日本としても、小泉内閣の構造改革が支持されたが、その実行が国際公約になったことを意味するので、参院選後に改革の中味とスケジュールを具体化し、ぜひとも成果を上げなければならないと思う。改革を成功に導くためにも、その過程で懸念される痛み、特に中小企業への過度のしわ寄せを回避するための万全の措置を講じておくことが最も重要であることを、あらためて指摘しておきたい。

2. 一方、貧困問題の解決もサミットの大きなテーマである。今回は、重債務貧困国支援の一環として、債務救済とは別に、三大感染症対策として「世界保健基金」の設立が決まったのも大きな成果である。
 また、WTO(世界貿易機関)の新ラウンドを、途上国への配慮を含めて年内に開始する決意をうたったことも評価できる。今後、途上国の不安を取り除き、テーブルに着くことを促す具体策が必要になるだろう。

3. なお、予想されたことだが、京都議定書の批准問題については、米欧の乖離が大きいために、次回のCOP7に先送りされたのはやむを得ないだろう。日本も、米欧の間に立って一定の役割を果たしたと思うが、京都会議の議長国として難しい立場に立たされた。この問題が、各国にとって公平で、実効性のある方向で収斂することを望みたい。

以上