「東京都の防災・減災対策に関する要望」について
東京商工会議所
地域振興部
東京商工会議所(三村明夫会頭)は、災害対策委員会(中山泰男委員長・セコム株式会社会長)において、標記要望を添付のとおり取りまとめましたのでお知らせします。
本要望では、気候変動の進展に伴う自然災害の激甚化・頻発化、今般の新型コロナウイルス感染拡大を受け、従来のハード対策・ソフト対策とともに、中長期的な防災・減災まちづくりや複合災害への備えについて要望しています。また、都内中小企業の内、東京都帰宅困難者対策条例について「努力義務の内容を含めて知っている」割合は42.0%に留まり、防災・減災対策は十分に進んでいないことから、BCP策定・訓練や防災人材育成といった自助・共助の取組みを後押しする施策の展開を求めています。
今後、東京都等の関係先に対して本要望の実現を働きかけていくとともに、引き続き東京都や政府等とも緊密に連携し、首都・東京における企業の防災・減災対策促進に向けて取り組んでまいります。
要望の概要
<基本的な考え方>
・首都圏における大規模自然災害は、感染症と同様、あるいはそれ以上の危機となる。
複合災害のリスクも大きく、感染症と自然災害の脅威からの、安全・安心の確保が喫緊の課題。
・気候変動の進展に伴い、これまでの常識を超えた災害が多発している。
風水害や地震など、日本は世界でも稀にみる自然災害のリスクが高い国である。
・ハード・ソフト対策とともに、中長期的な視点で防災・減災のまちづくりを急ぎ、レジリエント(強靭)な都市
「東京」を構築する必要がある。ビルド・バック・ベターの考え方のもと、事前復興の取組も重要。
・中小企業では防災・減災対策は十分に進んでいない。新型コロナウイルスの経験により、利他心からの行動が自
身および社会を守ることをはっきりと認識したように、災害対応における自助・共助は大きな意味を持ち、
中小企業のBCP策定・訓練や防災人材の育成は急務。
<東京都への要望事項>
【新】Ⅰ.災害リスクに適応できる市街地の創出
①土砂災害等ハザードエリアにおける新規立地の抑制、高台まちづくり等の推進
(周知啓発の徹底、助成制度の拡充、適応策の具体化)
②ハザードマップ等災害リスクの認知度向上、迅速な避難に向けた危険情報の早期共有
③国・地方公共団体・企業・住民等あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」への迅速な転換
Ⅱ.帰宅困難者対策など地域防災力の向上、利他の心でのぞむ自助・共助の促進(ソフト対策)
①東京都帰宅困難者対策条例への対応促進
②新型コロナウイルス感染症の拡大と自然災害の発生が重なる複合災害に備えた避難所の設置・運営支援
③企業等におけるBCP(感染症を含む)の策定、訓練の促進
④リーダー人材をはじめ防災・減災の人材育成の推進
Ⅲ.首都直下地震、大規模風水害に備えた都市の構築(ハード対策)
①陸・海・空の主要な交通施設の点検、強化(道路、橋梁、鉄道施設、東京港、羽田空港等)
②レジリエンスの観点を重視した生活と経済を支えるエネルギー・通信の確保、停電・通信障害時の対策
の点検・強化
③木造住宅や老朽ビルなど密集市街地の防災力向上
東京商工会議所
地域振興部
担当 平澤・福島・三田・長澤
TEL 03-3283-7621