※企業概要は受賞当時(2022年)の内容です。
●大手物置メーカーのNo.1代理店という状況に甘んじることなく、自社ブランド製品を 開発・生産し独自路線を確立したこと。
長年築いてきた「代理店NO.1」の看板より、自社ブランドの展開で未来を拓く。
1975年に父親が創業し私が二代目である当社は、大手物置メーカーの代理店として、最終販売ルートとなるホームセンター等への卸売と施工を行っており、特に業界最大手メーカーの代理店としては1979年から39年連続で代理店販売施工日本一の業績を有します。また代理店としては唯一年中無休で対応してきており、創業以来赤字は一度だけです。
しかし、利益はほとんど出ていませんでした。その理由は、販売店からの値引き要請や販促にかかる諸経費の負担を強いられる商慣習、および、代理店同士の値引き合戦です。不条理な取引条件は自社に何の利益ももたらさず、現場の社員たちも理不尽な思いをして疲弊するばかりで、改革の必要性を強く感じていました。そこで、自社が企画・製造し販売する物置メーカーを目指すことにしたのです。
最後発の物置メーカーとなるので、物置業界60年の歴史において誰もできない・考えない・マネできないという3つの条件をクリアした商品開発に取り組み、生まれたのが自社ブランド製品「マツモト物置」です。国内メーカー初の三角屋根、1棟1色仕上げ、送料・施工代込みの組み立て完成価格表示で一切値引きなし、設置と組み立てはお客様のお宅に伺って当社社員が行う、ということにこだわった画期的な製品です。「オドロキ モノオキ マツモト物置」というキャッチコピーのもと、ECサイトと自社事業所での展示販売のみとしました。販売当初は「値引きもしないで売れる製品などない」と取引先から批判的な声も多くありましたが、先代社長は「この物置は業界に革命が起きる」と見守ってくれました。部材点数が多いため価格は大手に比べて高額ですが、若い世代を中心に支持され、インスタグラムのフォロワー数は12,000人。2014年から販売スタートしたこの自社製品は売上の過半を占めるまでに成長し、従来のホームセンター依存の販売から脱却できるようになりました。その一方で、先代の時代からの大手メーカーの代理店事業も継続しており、商品特性や価格帯が競合しないことから、良好な関係を保っています。大手メーカーの代理店事業から、自社ブランドのもと独自路線を進める事業転換の結果、前々期2億5千万円、前期1億8千万円とかつて当社が出したことのない営業利益を出し、社員たちのモチベーションも向上しているのを実感しています。お客様から見た今までの物置のイメージが変化してきている手応えもあり、先代が期待した業界における革命はやがて実現できると確信しています。