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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2019年)の内容です。

第17回 奨励賞

株式会社ミヨシ

新着情報
2022.10.26
STORY 10月号に掲載されました
代表者名
代表取締役 杉山 耕治
所在地
東京都葛飾区
創業
1972年(昭和47年)
従業員数
10名
資本金
3,500万円
事業の
概要
プラスチック射出成形用金型製作・射出成形・治工具製作
ホーム
ページ
https://www.miyoshi-mf.co.jp/
受賞理由

●「人の役に立つものづくり」を掲げ、ベンチャーと連携した組立式ロボットキットなど新製品開発に挑戦。

高品質で環境負荷を減らす「ものづくり」で、
本当の意味での豊かさを社会にもたらしたい。

コロナにより工場の仕事が停止。売上激減の中、経営の基盤となっていたものは……

当社では、自動車電装品から医療分野まで、様々な業界で使用される金属加工やプラスチック成形を手がけています。大学卒業後に造船会社での勤務を経て、父の経営していた当社に入社したのは25歳の時。当時は一番下っ端で社内で何を発言しても聞いてもらえませんでしたが、反対を押し切って導入した環境マネジメントシステムの成功をきっかけに認めてもらえるようになっていきました。

その後事業承継をしたのは2012年、35歳の時。リーマンショックの影響で売上が1/3に激減し、借入金の増加に喘いでいる状況でした。そんな中で会社を継いだ私は、当社が向かう方向を社員にしっかりと示すことが必要だと考え、「捨てられないものづくり」「人の役に立つものづくり」を企業理念に掲げました。

捨てられないものをつくることによって、エネルギーや資源を減らし、環境負荷が減らせる。人の役に立つものであれば捨てられない。捨てられない高付加価値のあるものをつくろう。それが当社の目指す方向です。町工場でも全員で省エネ活動に取り組もうと、消費電力の見える化や小さい改善を積み重ね、エネルギー使用量を削減。こうした活動が評価され、2016年には省エネ大賞中小企業庁長官賞を受賞しました。

新型コロナウィルス感染症拡大による影響は、2020年3月頃からでした。当社が納品した製品について行う評価試験など、出勤制限の影響により客先で検証できない案件は停止や延期に。さらに、今まで対面で行っていた打ち合わせもストップするなど仕事の流れが変わってしまったため、3?7月頃までは売上が低迷し、最も悪い時で前年比6割減、平均すると3割減の月が続きました。

コロナ前から経営課題として取り組んでいたことが、コロナによる売上激減対策の先手となった

コロナ禍になる以前から、当社の売上の6割を自動車業界からの受注が占めることに将来的な危機感を覚えていました。自社ならではのものづくりをと思い2013年からベンチャー企業と共同で、自分で作るロボット「RAPIO」を開発。クラウドファンディングなど新しい試みにも挑戦し、製品化にこぎつけました。自社の強みを生かしてホビーや医療業界の方とも連携してきました。

こうした取り組みが功を奏し、コロナ禍で自動車メーカーの工場がいっきに操業停止となりましたが大きなダメージは防ぐ結果になりました。現在も巣ごもり需要でホビー業界の需要が増加したり、コロナ対策のデバイスを開発したいというベンチャー企業と協業したりと、2020年10月以降は前年を超える売上となっていったのです。現在では、自動車業界の売上割合は2?3割に減り、売上構成は大きく変化しています。

もう1つ、受注生産だけでは生き残るのは難しいと考えていたので、自社ブランド化に取り組みました。コロナで仕事が停滞して時間ができたため、社員皆で考えた自社製品を販売していく企画を立ち上げ、「ミヨシ工房」と名付けたECサイトを2020年7月にオープンしました。スマホでweb会議をする時に置けるスマホスタンド、抗菌樹脂のマスクケースなど、細部にまでものづくりのアイデアが活きた製品が誕生してきています。

どんな仕事でも、当社はメイドインジャパンにふさわしい高品質にこだわり、納得するものができるまで何回でも試行錯誤を重ねています。そして、「必要なものを、必要な人に、必要な分だけ届けたい」というのがコンセプト。したがって、時には単価が高くなるケースもありますが、大量生産ではなく環境負荷を減らすことにもこだわっています。

結果的に見ると、コロナによる売上打撃は数カ月で収まり、それまで「捨てられないものづくり」「人の役に立つものづくり」という企業理念を掲げて取り組んできた当社の仕事のあり方が、落ちた売上を補填する以上の新規の売上増加に繋がったという手応えを得ています。

資源を大事に、人を大事に。その価値を次代へと受け継ぐために技術力を一層高めていく

環境負荷低減のために新たに始めているのが、日本にある檜などの捨てる間伐材を粉砕してセルロースナノファイバーにし、それをプラスチックに混ぜて製品を製造する試みです。従来、間伐材は木材のチップにして燃やして燃料にしていましたが、材料として使用できれば石油由来の材料使用量を減らし環境負荷を減らせます。自然由来のものがプラスチックに配合されることにより、機能性が高まる効果はわかってきました。この素材から作る製品を今まさに開発中です。これが製品化できたらECサイトのミヨシ工房で販売します。

こうした環境および品質にこだわったものづくりの企業として邁進していくためには、やはり人材が大切。 当社ではものづくりには品質管理が重要と考え、3年前から全社員が品質(QC)検定を受けており、私もさらに上の級を目指して勉強中です。技術力の向上のためには多能工化を図り、仕事を狭い部分ではなく広い部分で捉えるやり方を推進しています。2020年から社員と1日15分個別面談も行っています。この時間私は社員の話を聞くことに徹していますが、面談には社員のことをいかに知らなかったかという気づきがあり、そこを理解するだけで会社の中がうまく回る実感があります。

ものづくりをしていて思うことは、奈良時代に木材で作ったものが大事にメンテナンスされて今でも存在しているように、日本人は元々ものを大切にする気持ちを持っていることです。日本は資源がそれほど多い国ではない一方で、先人たちが脈々と築いてきた素晴らしい技術があります。それを私たちが次の世代へきちんと繋いでくことが使命だと考えています。

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