東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2019年)の内容です。

第17回 奨励賞

株式会社日興エボナイト製造所

代表者名
代表取締役 遠藤 智久
所在地
東京都荒川区
創業
1952年(昭和27年)
従業員数
7名
資本金
1,000万円
事業の
概要
エボナイト樹脂素材製造、万年筆の製造・販売
ホーム
ページ
https://www.nikkoebonite.com/
受賞理由

●天然ゴムと硫黄を原料とするエボナイトを国内で唯一製造。自社ブランド万年筆の製造に挑戦。

  • 丁寧な仕上げの高級万年筆

  • 美しいマーブルエボナイト

  • 実店舗もございます

国内唯一のエボナイト製造所。
縮小する市場の中、
生き残りを賭けて新たな可能性を創造する。

緊急事態宣言後は売上5割減

エボナイトは自然素材である天然ゴムと硫黄からできる素材で、電気絶縁性、酸性にもアルカリ性にも強い耐薬品性、耐水性を有し、加工ができ、磨けば艶も出て、経年変化がないなどの特長を備えています。世界最古の樹脂と言われますが、石油系プラスチックの台頭によりエボナイトの市場は縮小の一途にあり、私が子供の頃の昭和50年代からエボナイトメーカーは減っていき、現在、当社は日本で唯一のエボナイト棒・板の製造所となっています。祖父が創業し、現場の職人である父が社長就任した1998年から私も当社に入社し2009年に父の跡を継ぎ会社を経営しています。

私が入社した当時も市場は縮小する一方で業績は右肩下がり、下請けのゴムの仕事も減り続け、さらにリーマンショックが追い打ちをかけ、会社はどん底に陥りました。エボナイト製造業の生き残りをかけてもがく中、荒川区のものづくり支援ネットワークを知り、そこで荒川経営塾に出会って勉強。都から経営革新計画を承認され、脱下請けをテーマに様々なチャレンジを続けてきました。その一環としてエボナイトの特性を活かした自社製品づくりに取り組み、万年筆、管楽器のマウスピース、ギターのピック、杖などを開発。さらに、マーブルのエボナイトはないかというお客様の声をきっかけに2006年頃から黒一色だけだったエボナイトのカラー展開に挑戦し、その成功により万年筆や楽器のマウスピースの市場を拡大しています。10年前から世界市場のBtoB 向けのECサイトに登録し、世界中から受注をするように。さらに、自社ECサイトではBtoC向けの万年筆などを販売しています。

売上の2割を占めるまでに成長してきた万年筆をさらに知ってもらおうと毎年2回、米国で開催されるペンショーに出展するのが恒例となっていましたが、2020年2月初めのペンショーから帰国後、新型コロナの影響が出始めました。それまで堅調だった売上は2020年4月の緊急事態宣言後に5割減。主に工業用の素材のニーズがストップしたためです。工場も2週間ほど操業を停止しました。

ずっと市場縮小という逆境に立ち向かい続けてきたから、コロナ禍でもタフに挑戦を続けている

コロナ禍でも、EC サイトは海外向けも国内も影響はありません。特に巣篭もり需要で万年筆の売上は好調です。

そもそもエボナイトの需要が減っていく中で何かエボナイトの新しい可能性を広げようと努力を続けてきたので、逆風に対する挑戦は今回のコロナに限ったことではありません。諦めずにコツコツとチャレンジを続けることが現状を打破する一番の近道だと確信しています。

一例では、エボナイトのカラーをそろえてほしいというお客様のリクエストに応えていくうちに、他のお客様にも展開できるような技術を磨くことに繋がっていきました。カラーに挑戦しなかったら、今現在の当社の存在はなかったと言えるでしょう。自社ECサイトの屋号は「笑暮屋(えぼや)」。マーブル模様などはどれも同じ柄になるわけではなく、それぞれの色合いなどの個性が出てきます。世界でただ1つだけでその万年筆を入手して喜んで笑顔になれる、当社の作った万年筆でお客様が書いてみて笑顔になってくれる、そんな思いが込められています。

このような取り組みを続けることができているのも、同世代の経営者から刺激を受けているからだと思います。荒川経営塾から始まった「あすめし会」は、明日の飯のタネを作る会として経営塾傘下で2008年にスタートし、2012年から自主運営をしています。荒川区内の若手後継者たちの集まりなので、どうやって販路を拡大するか、事業承継ってどう進めているかなど生々しい経営の相談もでき、お互いに刺激しあえる良さが継続の原動力。オープンセミナー、共同展示会、交流会、さらには東京23区をキャラバンする下町サミットなどの活動を実施し、当社も大きな活力を得ています。

こうした刺激を受けて、当社では万年筆需要をさらに拡大する仕掛けとして、東京インターナショナルペンショーを2018年から立ち上げ、年1回展示会を行っています。2020年はコロナ禍ではありましたが、入場者数を制限しオンライン予約、マスク着用、検温、消毒など感染対策を徹底したことで、成功裏に終わりました。アメリカのペンショーはどちらかというとコレクター向けですが、東京のペンショーはペン、インク、紙などのメーカーやショップが参加し、海外からも出展があり、商業目的のもの。毎年色々なトピックが出て、ここからガラスペン、木軸のボールペンが流行るなど、ムーブメントを起こす源にもなっています。

このような活動を当社の存在や商品を周知する機会とし、自社製品の売上の確保に繋げています。

エボナイトの新しい価値を創出すべく、飽くなき挑戦を続ける

東京2020大会には期待しています。テレビやオンラインで応援する方式でもいい、とにかくアスリートの方々が日々ここを目指して練習を積み重ねているその努力にエールを贈りたい。挑戦することに価値があると思います。

私自身、コロナが収束したら真っ先にやりたいことは海外へ飛び出すこと。海外の取引がかなり広がってきたので、さらに色々なところに出て行って営業活動をしたいと思っています。これからはヨーロッパやアジアなどへの営業展開を図っていきます。

そして、エボナイトの未来を考えると、10年前は脱下請けを図って構造材から意匠材に変わったので、今度は意匠材から機能材に変えていきたい。そのために何ができるかという模索と挑戦を続けていく決意です。エボナイトの材料は天然ゴムと硫黄ですがそれだけだと加工性が良くなく、そこにエボナイトの粉末も必要。しかし、その粉末を製造していたところがことごとく事業を廃止してしまったので、当社では粉砕機を購入し、自社で粉末を内製化できるようにしました。このエボナイトの粉末で何か新しいビジネスができるのではないかという構想も描いているところです。

日本唯一のエボナイト製造所として、世の中にエボナイトの魅力を知らしめることを仕事の肝として、これからも飽くなき挑戦を続けます。

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