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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2019年)の内容です。

第17回 奨励賞

有限会社坪川製箱所

代表者名
代表取締役 坪川 美明
所在地
東京都葛飾区
創業
1959年(昭和34年)
従業員数
3名
資本金
300万円
事業の
概要
業務用段ボール箱製造・販売、セットアップ、梱包
ホーム
ページ
https://www.tsubokawa-box.co.jp/
受賞理由

●段ボールを用いた被災時用枕やトレイなど、社会貢献性の高いオリジナル製品開発に挑戦

長年磨いてきた職人の技術で
段ボールの可能性を広げる。
社会に役立つものづくりに挑戦。

コロナ禍の影響で、多岐に渡る取引先が打撃。影響を受け当社売上も減少

当社のお客様は、プラスチック、飲食、楽器など幅広い業界において約400社ありますが、それぞれ新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けており、発注も減少しています。その影響で、当社売上は2020年2月から毎月前年比20%くらいの落ち込みが続き、さらに同年10月に長年の取引先1社が倒産したことにより売掛金数百万円の損失も発生しました。

創業62年の歩みを辿ると、もともとはみかん箱やりんご箱などの木箱の製造をやっており、昭和30年代後半から木箱の需要が激減し、段ボール箱製造に転換。近年では、2008年のリーマンショックで打撃を受け、何かやらなくては生き残れないことを痛感。会社が存続するために経営は変化を求められるものだと取り組んできました。

2011年3月の東日本大震災発生の時、テレビで避難所に段ボールのベッドが運び込まれているのを見て、当社でも何かできるかもと思い立ち、被災者の方々にヒアリングをして試作したのが避難所で使うダンボールの枕。改良の積み重ねによる完成形は、頭が当たる部分に切り込みが入っており、大人も子供も自分の重みでちょうどいい高さに調整できるようにしました。こうした工夫が評価され避難所生活で必要なアイテムとして取り入れていただいている自治体もあります。
実用新案を取得済みで、加えて区内で優れた技術等により製造されている製品を認定する2017年度葛飾町工場物語のブランド商品に認められました。2019年の台風19号の時には当社のある葛飾区内の小中学校が避難所となり13,900人が避難し、大雨の中、当社では各所に段ボールの間仕切りや枕を届けて回りました。

この経験をもとに、地域貢献できる商品開発を推進し、子供が遊べる段ボールハウスも制作し、近隣の保育園などに寄贈し喜ばれています。
こうした当社の活動が知られるようになり、2019年から小中学校で授業を行う依頼も。実際に子ども達にダンボールのベッドや枕を体験してもらい、防災の心得を教える内容です。

ところが、新型コロナの感染拡大により、2020年はこうした活動は中止が続き、注力してきた地域貢献もままならず、売上減少とともに、気持ちの滅入る状況に陥っていました。

あえて設備投資と新商品の開発に挑戦し、社内のモチベーションを向上させる

当社では従来から月次の売上を見える化していました。売上の減少を毎月従業員にも伝え、この状況を打破しようという気持ちを一つにして頑張るモチベーションにしています。
そして、コロナ前から計画していた設備投資を思い切って決断し、2020年春に融資を受けて数千万円の段ボール印刷機を導入。古い機械だと作業効率が悪くそれがひいては長時間の残業など労働環境の悪化に繋がるので、従業員が気持ちよく働ける環境づくりということも考えて踏み切りました。退路を断って「あとはもう売上をあげるしかない!」という気持ちを全社で共有して、営業に邁進しています。その成果として、このコロナ禍でも毎月4件くらい新規の取引先ができています。

また、コロナ対策用の段ボール製品も新たに考案。飛沫防止パーテーション、避難所用パーテーション、段ボール箱まくら10点セット(LEDライトやアルコール消毒液など防災グッズ10点入り)、ロールティッシュペーパーBOX工作キット【もくもくイエ?】、段ボールベッド&トイレ(意匠登録取得済)の5品目です。
2020年4月の緊急事態宣言時、当社ではパート従業員は子どもを連れて出勤し、親が仕事をしている間、子どもたちは宿題を済ませた後で【もくもくイエ?】を組み立てそれに塗り絵をしたりして、楽しんでいる様子が見られました。【もくもくイエ?】はトイレットペーパーを入れて使え、机などを消毒してトイレットペーパーで拭いた後はトイレに流せてゴミ問題解消にもなります。この商品は、「東京TASKものづくりアワード2020」奨励賞を受賞しました。

こうした経験を通じて、当社の強みは「思いやりを大事にしたオリジナル製品の開発」なのだという確信を得ました。これをコンセプトとして挑戦を続けること、それがすなわち当社の存続および成長を図ることだと考えています。

ものづくりと地域社会を結び、新しい製品開発への挑戦を続けたい

2019年から当社を含む葛飾区内の製造業9社で「かつしかライブファクトリー」という活動を行っています。町工場は外から見ると何をしている会社かわかりにくい部分もあるため、地域の方々の理解と親近感を深めることを目的に、工場内部を職人が案内したり各社の技術を活かしたワークショップでものづくりを体験してもらったりするイベントを年一回開催しています。2020年からコロナの影響で思うような活動ができていませんが、今後参加する企業が増え、地域社会とものづくりの企業との調和を推進していくことを目指しています。

東京2020大会は、気持ちを新たに前に進むための大きな契機となるのではと期待しています。コロナ禍での開催にもしも当社が協力できるなら、段ボールで個別ブースを作って感染防止対策を図るなどいろんなアイデアが湧いてきます。

結局、困難な状況にあっても落ち込まない、できないことをどうやったらできるようになるか創意工夫をして挑戦することが大事だとつくづく思います。一言で言えば、前進あるのみ。その強い姿勢こそ、未来を切り開いていく原動力となるのではないでしょうか。

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