東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2019年)の内容です。

第17回 特別賞

株式会社若松

代表者名
代表取締役 齊藤 俊一
所在地
東京都港区芝4-7-10
創業
1812年(文化9年)
従業員数
4人
資本金
4,000万円
事業の
概要
酒造業、雑貨小売業、不動産賃貸業
ホーム
ページ
http://tokyoportbrewery.wkmty.com/
受賞理由

●東京都港区芝の22坪の自社ビルという限られた立地の中、ミニブリュワリーとして祖業である酒造を100年振りに復活させ事業化に成功したこと。

企業紹介

東京のど真ん中で酒造りを。周囲を巻き込み歩み続ける「勇気」。

熱意と粘りで100余年の時を越えて、祖業である酒造りを港区芝に復活。

 当社は、現在の東京都港区芝の地に、初代が文化9(1812)年に酒造業を創業。幕末には、 勝海舟、西郷隆盛などがうちの酒蔵に来たと言われています。しかし、1911年、酒税法の改正に より酒蔵を閉じ、以来、飲食業、雑貨業、不動産 業などをして7代目の私に至っています。

 港区商店街連合会の役員として地方でシャッター商店街を目の当たりにし、このままでは東京の商店街もダメになる、何か活性化する核が必要だと思いました。同時に、地方でも酒蔵には観光客など人が集まって来るのを見て、若松の祖業である造り酒屋を復活させたいという思いが湧き上がってきたのです。2006年、お台場に出店していた伏見の大手酒造メーカーのミニブリュワリーで杜氏の寺澤氏と出会いました。「こんなに小さい場所でもお酒を造ることができるのか」と大変驚き、杜氏の重要性を再確認しました。東京で酒造りをと、杜氏を探しましたがなかなか見つかりませんでした。09年、お台場の店舗が閉鎖されたと知り、改めて寺澤氏に会って自分の酒造復活の思いを語り、一緒にやることに。自宅として使用していた港区芝の小さなビルの1、2階を醸造所に改装。新規で清酒免許を取ることは困難だったため、まず「その他の醸造酒免許」を取得して、どぶろくとリキュールを製造、販売。銘柄は若松の歴史から「江戸開城」と決めました。その後、5年をかけて廃業する酒蔵を買収して清酒免許も取得でき、いよいよ清酒づくりへ。

 年商に匹敵する設備投資を実施し、法定酒造量(年間6万リットル)を製造できる醸造所に改装し、16年には東京の地酒の製造販売を本格的に始めたのです。多額の投資には周りの反対があり、これほど小さな醸造所は誰もやったことがないものでしたが、杜氏である寺澤氏の知見と技術もあり、何とか製造にこぎつけることができまし た。清酒製造の課題は水ですが、東京の水道水は高度浄水処理をしてある上質の中軟水で、伏見の水によく似ていると杜氏が言うほど酒づくりに適していました。

 「江戸開城」は17年度東京国税局酒類鑑評会清酒純米爛酒部門で優秀賞を受賞。19年には当社の甘酒を使った首都圏限定「ポッキー東京あまざけ」がグリコから販売。地域活性化への寄与は始まったばかりです。今後は20年の東京オリンピック、25年の大阪万博などの機会もふまえて、 東京の地酒を世界に発信していきたいと次なる構想も描いています。

  • 港区芝にある東京港醸造の酒蔵

  • 製造する純米吟醸「江戸開城」

  • 代表の齊藤氏(左)と杜氏の寺澤氏

100年の時を越えて酒造りを復活。
品質に高い評価を得るもコロナ禍が打撃。
揺るぎない技術で立ち向かう。

コロナ禍で都心部の飲食店は、ダメージが最たるエリアに

東京都港区芝のわずか22坪の土地の4階建ての小さなビルで東京の水道水を用いて作る日本酒という、従来の酒造りの常識を覆してきたのが私たちの商い。
勇気ある経営大賞特別賞を受賞しやっと軌道に乗ってきた手応えを感じ、2019年12月の売上は前年比4割増、2020年1月も好調、2月が前年並み。
しかし、3月の売上15%減が今回の影響の始まりでした。

当社の元々の酒造業売上内訳は自社店舗等の小売3割、酒販店を通じて飲食店向けが7割を占めており、コロナ禍で飲食店が大打撃を受けたため受注が激減。緊急事態宣言発令から飲食店や企業がほとんど休業したので4月の売上は9割減となりました。
自社店舗での販売や飲食の提供も休業し、売上がほとんど見込めない中でも、酒造りは仕込んだら途中でやめる訳にはいかないので、5月の連休明けに仕上げるまで醸造所は稼働させました。

初春に新型コロナウイルス感染症拡大のニュースを知った当初は、ここまで自社の事業に影響が及んで来るとは思ってもいませんでした。
これまでにない都心での酒造りで販売先も都心という商売に矜持を持ってきたのですが、コロナ禍では郊外より都心部の飲食店のダメージが大きく、それはそのまま当社の痛手となってしまったのです。

東京ならではのよい酒作りにこだわってきた努力の積み重ねから芽吹いたチャンス

東京都心で作るという希少な酒だから、東京で味わう、東京に来た方がお土産に買っていただこうという思いで販売をしてきました。
しかし、コロナ禍で東京への往来が制限され、外食でお酒を楽しむこともできない状況になってしまったためターゲットを転換。当社の酒造りのコンセプトである「江戸開城」を知っている方だけでなく広く多くの方に味わっていただこうと考えました。

当社の前身は江戸時代に東京・芝で造り酒屋を営んでいた若松屋で薩摩藩の御用商人であり、西郷隆盛らの密談場所に使われ、結果的に江戸城無血開城を成し遂げた歴史と繋がっています。
このコンセプトを大事にすることは変わらず、ターゲットを広げる戦略でした。

その背景にあるのが、2019年から開発し2020年2月から発売していた新製品。
当社杜氏の寺澤が千葉県の研究所で発見してきた、1898(明治31)年に最初に純粋培養されたという酵母が江戸酵母、東京酵母と命名され、それを使って『オール江戸』と『オール東京』という酒造りに取り組んできました。

これにより当社の新たな強みが増えたこともあり以前からご提案をいただいていた大手総合スーパーとの新たな取引が始まりました。都内のショッピングモールなどで当社の日本酒を販売していただけることになりました。5月にオープンした旗艦店をはじめ、約10店舗で扱われています。新たな取引先の開拓により激減していた売上はかなり補うことができました。
東京23区唯一の地酒ということで、全国からお声がけをいただき、酒販店や酒屋との取引は神奈川県など近隣県や、北海道や東北でも始まりました。

自社では5月の連休明けからオンラインショップをオープンし受注伸びています。
何とか6月以降の売上は前年比7割?8割で、徐々に前年並みに回復し、11月は前年比を超える受注をいただきました。

コロナ禍だからとむやみに動じず、自分たちのコンセプトを変えずに丁寧な仕事をしてきたから、ピンチの中でもチャンスが来て、事業の発展に結びついたのではないかと思います。

麹の特許技術を用いて、日本の発酵文化を世界に発信していきたい

当社製品のラベルをお願いしている京都シールレーベルと共同で制作した酒瓶のラベルが、2018年第30回世界ラベルコンテスト(於:米国)の複合印刷部門で入賞し審査員特別賞を受賞していました。
波や富士を描いた北斎風のデザインと特殊印刷技術が評価されたもの。このラベルを使った自社の最高級品『オール江戸』は、訪日外国人の方々に喜んでいただけるのではないかと期待しています。
江戸酵母と東京の水道水を使ったお酒で東京をアピールしたいと思います。

日本酒造りに欠かせない、麹をより小さいスペースで造る技術を開発し、2020年9月に「製?装置及びそれを用いた製?方法」として特許を取得しました。当社が特許を取得した製麹装置を使って、2020年12月に味噌と醤油の製造認可を得て販売していく予定です。
東京都港区初の味噌作り・醤油作りの事業で、多くの方々に発酵文化の魅力を広めたいと考えています。

従来、麹は広さなどの環境が揃った場所でしか作れないとされてきましたが、当社の技術によりコンパクトな場所でも伝承技術と同じレベルの麹が可能になりました。
さらに可動式も可能なので、コンパクトな酒作りの設備を搭載したコンテナを作って移動すれば、場所を選びません。例えば、2025年の大阪万博でそれを展開し、高精度な発酵文化、和食文化を披露できれば面白いとワクワクしています。

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