東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2019年)の内容です。

第17回 大賞

株式会社東鋼

新着情報
2022.11.8
JIMTOF2022 日本国際工作機械見本市に出展します!:11月8日(火)~11月13日(日)
代表者名
代表取締役社長 寺島 誠人
所在地
東京都文京区本郷5-27-10
創業
1937年(昭和12年)
従業員数
49人
資本金
6,286万円
事業の
概要
精密切削工具の製造 ・販売
ホーム
ページ
https://www.toko-tool.co.jp/
受賞理由

●顧客の課題に向き合うことで自社技術を高め、売上の7割を占める自動車分野から脱却すべく、航空機産業や医療産業へと新たな分野への参入を果たし業績を向上させたこと。

企業紹介

顧客の課題に向き合い技術を向上、新たな分野に挑戦する「勇気」。

7割を占めた自動車分野からの脱却。技術を軸に航空機、医療分野へ挑戦。

 創業82年、特殊精密バイトという旋盤で使われる切削工具の販売を行い、売上の7割を自動車関連が占めていたのが弊社です。代表的なものにF1のエンジン製造用の切削工具があり、実用に向けて開発途上のアルミニウム合金など素材データが存在しない中、工具を開発してきました。お客様と共に問題解決を考え、信頼関係を築き、技術で応えることを徹底。「お客様のものづくりを手伝う」という経営理念が培われていきました。

 しかし、1997年にハイブリッドカーが発売された時、近い将来電気自動車の時代が来ると予測し、そうなれば自動車のエンジン用切削工具事業が打撃を受けると危惧しました。「何が何でも新しいマーケットを開拓しなくてはならない」と新分野開拓に全力で取り組むことを決意しました。

 2006年、2つの大きなチャンスが到来。1つは、航空機分野。航空機製造を請け負うメーカーから CFRP(炭素繊維強化プラスチック)素材を採用した 航空機に用いるドリル製造の依頼が舞い込みました。この機体は1機あたり約20万ヵ所の穴を開ける必要がありドリル刃の消耗が激しく、頑丈な刃が求められました。開発が決まっても延期などが見込まれる 航空機分野への参入には反対の声もありましたが、当社の技術に期待を寄せた取引先に報いたいと大規模な設備投資を断行。受注は3年後となりましたが、現在は売上の3割を占めるまでになりました。
もう1つは、医療分野。「人工関節装蒼手術の術具としてステンレス製ドリル」製作の依頼です。これについても半年くらいかけて量産体制を整備し、受注を広げていきました。09年、山口大学から「乳がんにおける乳房温存療法手術補助デバイス」の依頼を受け、5年をかけ開発に成功しました。さらに、整形外科の世界で、表面が滑らかで穴を開けるのが困難な骨の手術用に「オメガドリル」を開発、販売に至りました。

 リーマンショックによる売上7割減や、福島に工場あ るので東日本大震災による風評被害も被りましたが、ゼロから始めた航空機と医療は売上の5割を占めるまでに成長しました。今後もお客様のものづくりを手伝い、技術を「過去と未釆を、弊社とお客様を紡ぐ糸」にするために努力を続けていきます。今期も2億円近い設備投資をしているところですが、挑戦 の歩みを止めることはありません。

  • 医療用オメガドリル

  • 医療用オメガドリル

  • 福島工場エントランス

常にお客様の課題解決に
渾身の力を込めて取り組み、
技術だけでなく自社製品の開発にも挑む。

社の危惧から脱却できた事業である航空機と医療分野が、コロナ禍で大打撃

創業80年以上、かつて売上の7割を占めていた自動車分野から、ハイブリッドカー時代の到来を鑑みて脱却を図り、航空機、医療分野に参入して業績を伸ばしてきたのが最近の当社の特徴です。「お客様のものづくりを手伝う」を経営理念とし、常にお客様の困りごとを一緒に解決していくことにより、お客様に喜ばれ信頼と実績を積み重ねてきました。

大規模な設備投資や技術開発に注力して順調だった航空機、医療分野の事業は2020年初頭からの新型コロナのパンデミックにより、予測以上の打撃を受けています。

まず、航空機は2021年春の時点でもコロナ禍前と比べて売上9割減の状況が続いています。また、医療分野で当社が関わっている整形外科のインプラントは、不要でなくても不急にあたるため需要が減少。乳がん手術の補助デバイスは営業を始めようとした矢先にコロナ禍となり、病院への出入りが不可能になりました。医療分野の売上はコロナ禍前の3割減。全体的な売上で見ると、一番ひどい時で前年比6割の落ち込みとなりました。

今後新型コロナが収束したとして、コロナ禍前と同じ生活に戻るとは思えません。一例では、オンラインでの会議や商談が定着し、海外に何度も出張してやっと受注できるかどうかという営業スタイルから、オンライン中心の商談に変わるでしょう。出張が減れば、航空機の需要の回復は期待できません。再び事業の転換を図る必要があると考えています。

実は、2年ほど前から私は何となくきな臭さを感じていました。このようなパンデミックは予想していませんでしたが、景気が加熱し過ぎるとまたリーマンショックのような何かが起きるのではないかという予感がし、その時に事業資金の手当てを済ませていたのです。さらにコロナ禍でも資金の手当てをしたので、当社は今の厳しい売上状況が続いても当分の間持ちこたえることができます。その間にできることをして新たな売上の柱を作り、財務体質も強化していかなくてはなりません。

デジタル営業及び新たな事業の開発

この先、必要なのは企業体質をさらに強くするための新たな取り組みだと考えています。

まず、デジタル化の推進。当社ではコロナ禍前から、営業は出先からノートPCで仕事ができ、社長の私は外出先からでも稟議の決裁ができるフローを構築していたので、コロナ禍でのテレワークはスムーズでした。今後はさらにデジタル化の推進を図ることに注力します。

その端緒として、名古屋にあった営業所を撤退して、単身赴任していたスタッフを東京本社に戻します。営業活動はオンラインで対応ができるので営業所は不要だと分かったからです。そして、情報機器などを有効に使ってデジタルでどのように営業の仕事ができるかをこれから1年かけて色々と構築していく計画です。

特に、直接会うのではなく、オンラインでお客様の困りごとをいかに引き出せるか。当社ならではのデジタル営業を見出し、作り上げていきたいと思います。

需要が落ち込んでいる航空機に代わる事業として、医療分野で新たな柱をいくつか考えているところです。医療製品においてリユースよりも使い捨て=ディスポーザルの製品の方が1ランク高いのですが、2年ほど前から私はそのニーズを感じて、当社がディスポーザルの製品を扱えるよう1ランク上げた認可を取得してありました。

ランクを上げるためには、工場体制などについて厳しい条件をクリアして認可を受ける必要があります。しかし、当社は事前に認可を取得しておいたことが功を奏して、膝のインプラントを装着する時に用いる固定ピンを新たに受注。当社では、これまでの経験を活かして曲がりにくいピンを開発しています。

また、歯科医の使うドリルも新たに開発し、穴の大きさごとにSは赤、Mは黄色、Lは青というように色をつけ、歯科医がドリルを使用する際に色で識別できる製品も開発。これにはフランスの企業からの技術提供があり、当社で日本国内の規格に対応できる製品として内製化を実現しました。いずれも曲がらない材質、色が落ちないコーティングなど、当社ならではの付加価値をつけているのが強みです。

どんな時もお客様のためになることを一生懸命に行うことが最も大事だと肝に命じています。お客様から何かを求められたら、求められた以上の仕事でお返しする。それにより、お客様もよりよい仕事ができる。そうすれば互いにハッピーで、互いにいい関係で向上していける。それがひいては社会の役に立てる。この流れを大事にしたいと思っています。

東京2020大会は考え方を変える起点に

東京2020大会は非常に厳しい状況の中での開催となりますが、ここを目指して日々の練習を積み重ねてきた選手の気持ちを尊重し、みんなで協力して感染対策の環境作りをして「やっぱりやってよかった」という大会になってほしい。できれば、この大会が、中小企業・大企業・政府が考え方を変えていく起点となってほしいと願っています。

1964年の大会の時とは社会環境もGDPもかなり違っているので、今回は日本の内面的なものが変わる一つのきっかけになってくれればいいし、当然、自分たちも変わらなくてはいけないと思っています。このままでは日本は先進国と言えなくなる時が来るのではないかと思えるぐらい厳しいと感じており、転換点が必要なのです。

当社も厳しい状況にありますが、考え方を変えて新しい事業の柱を生み出していっています。これまでは海外市場に進出したくても技術だけしかなく、わかりやすい商材となる自社製品が必要でした。そこで、当社では骨の手術の時に滑らないドリル「オメガドリル」を開発し、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどでも特許を取得し、今後は海外にも攻めていく考えです。その営業活動には、当社の進めているデジタル営業が大いに役立つでしょうし、そこからまた新しいビジネスの仕方やニーズが見出せるのではないでしょうか。

特に、直接会うのではなく、オンラインでお客様の困りごとをいかに引き出せるか。当社ならではのデジタル営業を見出し、作り上げていきたいと思います。

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