東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2018年)の内容です。

第16回 奨励賞

株式会社西川精機製作所

代表者名
代表取締役 西川 喜久
所在地
東京都江戸川区
創業
1960年(昭和35年)
従業員数
5名
資本金
1,000万円
事業の
概要
金属加工・機械製造
ホーム
ページ
https://nishikawa-seiki.co.jp/
受賞理由

●障がい者向けボウリング投球補助器、国内唯一のアーチェリー弓具製造への挑戦

「想いを形にできる」
ものづくりの魅力を広げたい。
未来へのチャレンジを止めない。

肝煎りで開発してきた自社製品のアーチェリー弓具も、他の仕事も、新型コロナで大打撃

当社は治具の製造を主な事業として、創業から60年を超えました。治具とは工場の中で使う道具、その工場でしか使えない専用の道具です。当社で大事にしていることは、自分ができることとできないことを認識し、自分ができることをコアとして、できないことは周りに協力してもらって実現していく。その考えのもと、ものづくりを続けてきた当社の強みは「思いを形にできること」です。

10年ほど前から、国内生産のメーカーの受注を待つだけのBtoBに頼るだけではなく、何かできないか考えてきました。その中で見つけたことが相談された課題に対して、当社の技術でできると思ったらとことん対峙してみること。こうした取り組みを通じて、産学連携にも挑戦でき、様々な分野の「思いを形にすること」が実現できるようになりました。

例えば、限界集落の農業を活性化するために収穫した作物を食材として製品化する機械。ちょっとそこまで出かける際に狭隘道路でも移動が楽な縦列二人乗りの電動超小型モビリティ。スーパーコンピュータを製造するために不可欠で特殊なメッキ装置の治具、大学や製薬メーカーの研究室で使用される医療器具、等々。

そんな中で近年注力してきたのがアーチェリーの弓具の製造です。10年前に私自身がアーチェリーを趣味で習い始めたのがきっかけで、初めてアーチェリーの弓具を見た時、弓具ではなく機械だと思いました。人が使う機械を製造しているものづくりの視点からすれば、高い精度で仕事をするためには、人間が繰り返しの動作を正確にできるように機械を作ることが重要です。

アーチェリーにおいて求められる高い正確性も機械の精度により生み出せるものであり、ハイレベルな精度の実現はアスリートにとって大きなニーズです。国産メーカーが10数年前に撤退しているのを知り、当社はアーチェリー弓具の開発プロジェクト「プロジェクト桜」を立ち上げました。大学と連携して国産アーチェリーの復活を目指し、ものづくり補助金などを得ながら、研究開発や最新鋭の機械導入などに数千万円の投資をして、自社ブランドのアーチェリー弓具の製品化に成功。本場アメリカの展示会にも出展するまでになりました。

2020年2月初旬、アメリカ・ラスベガスの展示会でメイドインジャパンの当社の弓具が絶賛され、これからと思った矢先に、新型コロナウィルス感染症拡大という嵐が世界中を席巻したのです。日本ではアーチェリーは主に高校や大学の部活動で行われるのですが、そうした学生アスリートに製品を紹介したくても学校自体が休校となっているためその機会が得られず、さらに国内の大会は軒並み中止。2020年の販売実績は惨憺たる結果に終わりました。 他の業界からの仕事も低迷し、会社全体の売り上げは実に厳しい状況に陥りました。

目先の赤字に振り回されず、長いスパンで変化に取り組む

10年以上前から従来のやり方に危機感を覚えて対策を講じてきたので、今回のコロナ禍はによるダメージも乗り越えることができると確信しています。遡れば、リーマンショックや東日本大震災という困難も乗り越えてきた。その原動力は、お客様や大学の先生などから相談されたことに応えようと真摯に努力した積み重ねにより、知見が広がり技術力が磨かれたからだと考えています。したがって、目下のコロナ禍にジタバタすることはなく、もっと先を見据えた事業展開を図っています。

ありがたいことに、当社には実に多岐に渡る業界の方々から「こんなことを考えているのだが、形にできないか」という相談が引きも切らずに寄せられます。当社でできることと周りに協力してもらうことを繋いで考えていると、相談されたニーズを形にするイメージができてくる。イメージできるものは形になる。手塚治虫さんが漫画に描いたものが世の中に存在していくのと同じです。相談の段階から関わったことは仕事として成約率が高く、それが当社の業績を支えています。

農業、自動車、医療、スポーツなど幅広い業種に対応する当社にとって、柔軟な発想かつ技術力を備えた社員は重要です。他に相談しても解決に至らなかった仕事は試行錯誤の積み重ねで決して楽ではありませんが、自分たちが作った製品を手にした人たちの満足の笑顔が当社の社員皆のモチベーションだと思っています。

社内では日々の仕事においてコミュニケーションを活性化し、トップダウンではなくボトムアップで、やりたいことを提案できるような人材育成と社内環境作りを心がけています。社内の情報共有が足りないという意見が出た時は共通ツールを導入することにし、社員全員にパソコンの支給および会議ができるアプリを使うことにしました。大企業と違って当社のような小さい規模だからこそのメリットを活かして、風通しの良い企業文化を醸成しています。

コアはブレずに、新たな挑戦を続けることで、思いを形にしていく

アーチェリーに関して言えば、東京2020大会でアスリートたちが活躍し、多くの人の心に残ることを期待したいと思います。当社にとってアーチェリーは一過性の商品ではなく、中学生、高校生、大学生とこれからの日本を担うアスリートに提供していく未来への架け橋。今、中学生の子供がアーチェリーを始めたら檜舞台に上がるまで5?10年はかかります。当社はそれを見守り支えていく役目を果たしていきたいと願っています。

ここ数年、多く方の困り事を解決すべく、挑戦してきた成果として引き出しの量が相当増え、それにより新しい仕事の萌芽も増えています。2021年の後半には、これまでにない医療用の研究機材を世に出します。大学の先生が「ここを検査する道具は世の中にない。でも、あったらいいなと思うんだ」という話を当社にしてくれたことから始まった仕事。

従来は試作品だけか、量産品だけかというのが中小企業のものづくりのあり方でしたが、この新たな仕事は試作品からある程度の量産品まで当社で賄え、やがては横展開も期待できることから売上増大が見込め、今後はこのような仕事を増やしていきたいと考えています。加えて自社ブランド製品の開発も進めていきたいと思います。どんどん新しい仕事に挑戦していきますが、ものづくりの軸は変わっていません。

自社ができることをコアとして、できないことは周りに協力してもらい、「想いを形にする」その真摯な取り組みこそ、どんな未来も夢も実現できる原動力だと確信しています。

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