※企業概要は受賞当時(2018年)の内容です。
●顧客の悩みに向きあい、微生物の力を用いた士壌浄化に関する画期的な技術開発と事業化するまでのあきらめない強い信念をもって、業績を大きく伸ばしたこと。
お客様の課題解決に向け、ワンストップサービスを展開
当社は工場やガソリンスタンドなど汚染された土壌向けの浄化剤製造、汚染調査及び浄化工事などを一貫体制で手がけています。私は1998年、27歳のときに文部省のフェローとしてインドから来日。任期終了後は母国に戻り大学院講師を務める予定でした。しかし、新聞に掲載されていた富山県を拠点とする「エコサイクル」の求人を見て、売上がゼロの会社にも関わらず入社を決意。自分の持っているバイオの知識で環境問題に取り組みたいという夢があり、ここなら叶えられると思ったからです。
私が入社した2000年は、土壌汚染対策と言えば土を掘削して入れ替える方式が主流。微生物の力を用いた浄化技術は年単位の時間を費やすうえ、処理能力のバラつきがあることから普及していませんでした。入社直後から、米国の環境浄化会社を訪問し、技術を探すとともに、富山県から支援を得て開発を進め、バイオレメディエーション技術の開発に成功。この技術により、工場の稼動に影響がなくコストも3分の1に抑える製品の販売にこぎつけました。
しかし、設備投資などが重なり05年に赤字に。創業者である先代から社長就任を打診され、数千万円の借金を個人で保証し社長に就任しました。社長に就任したのは、この技術を広く活用してもらいたい、協力してくれた企業や従業員のことを思い「ここであきらめたくない」と強く感じたからです。初めに自身の役員報酬を8割削減。代理店の大手商社に同行してゼネコンなどのエンドユーザーヘ説明していった結果、成果が出てきました。一方、販売が拡大する中で、富山にいてはお客様の本当の悩みやニーズを把握しきれないもどかしさを感じていました。
お客様の真の課題を解決するために、会社の東京移転を決断。半年かけて従業員を説得したのですが、大半の社員が退職。技術が失われる危機でしたが、何とか体制を整えて移転しました。お客様の声をより聞けるようになると、うまくいっていない現場に出会うこともありました。調査から施工までトータルでやらないと、お客さまのためにならないと痛感し、製造から施工までやる建設分野への進出を決断。リスクの多さから周囲からは反対されましたが、周囲を説得するとともに、施工会社とのジョイント工場によりワンストップサービスを展開。浄化剤の特性を知る自分達が携わることで、従来難しいと言われた工事にも対応することが出来ました。
インドをはじめ、世界では汚染による健康被害で多くの人が悩んでいます。私達の技術で環境問題を解決できるよう取り組んでいきたいと思っています。