※企業概要は(2022年)の内容です。
●フィルタ技術をコアとして、あえて在庫を持つ「メーカーレンタル」スキームを採用し、トンネル工事用換気設備への導入で顧客を開拓。水再生処理、原子力・航空宇宙試験設備等へと分野を拡大している。
社名の通り、水、空気、粉体、熱、ガスなど流れるものに対して工学技術を用いてお客様の課題への解決策を提案するのが当社の事業です。
水処理、集塵、特殊品開発などを提供しているお客様の業界は多岐に渡り、個々のお客様の課題への対策を行うことは、いわばゼロイチからのものづくり。課題を解決させていただいたお客様からのご紹介など人の繋がりが次の実績の礎となるので、課題をもらったら逃げない、何か1つでも回答しよう、なんとかしようという力が事業の核となっています。
その積み重ねにより、現在は食品から航空宇宙まで多様な13分野に取り組む事業形成となっているのが特徴です。ゼロイチからなんとかしようとするには、大前提で「ものづくりが大好き」という根っこがあり、チャレンジをし続けたいという思いが大きな原動力。
経営として大事にしていることは、お客様へ嘘をつかず、仮説を立て、一つ一つのタスクを丁寧にお答えして実現可能性を高めていくことです。そして私の仕事は社員一人一人が、チャレンジでき、ワクワクする環境をいかにして作っていくかということであり、そこに成長の機会があると思っています。お客様の課題を的確に聞き取るコミュニケーション力などを備えた技術があるからこそ、当社でなくては解決できない案件に出会える。
新型コロナウィルス感染拡大の売上への影響はありましたが、多彩な13分野のセグメントを持っていることが功を奏して、打撃を受けた分野もあれば大きく伸びた分野もあり、結果的には企業としての成長を続けてこられました。しかし、常に次の種まきをしなくてはならない中、お客様のところに訪問できない、直接会って現場を見て課題をヒアリングできない、というコロナ禍による行動制限やお客様の新規案件に対する気持ちの低下が、今後の案件となるニーズを掘り起こせない足枷となっていました。
ゼロイチからのものづくりが得意な当社ですから、できないことをどうすればできるようにするかを考えるのが得意です。
直接会えないならリモートで徹底してやってみようと、国内外のお客様に対して、リモート環境の中で挨拶、自己紹介、課題ヒアリング、解決策の提案というように段階ごとに進めていき、一度も実際に会わないまま受注に至ることができました。現場の状況はお客様にリアルタイムの動画を送ってもらい、それを見ながら五感で現状を把握することができるという経験を重ねて、課題の把握もクリア。さらには、納品する製品の出荷前工場検査や慣らし運転などのチェックも高画質のカメラで映しながらお客様に確認していただき、検査合格までの運びも実現できました。
今後は言語の障壁と人脈というネットワークさえ形成できれば世界中どことでもリモートで仕事ができるという確信を得ています。これは、実際に現地に足を運ぶ経費、人件費、時間のロスなどを考えると、効率を最大化する仕組みができたとポジティブに捉えています。また、それに合わせて当社内でのリモート環境も必要と思える全社員に整備したので、業務を停滞させず社員の成長につながりました。
このようにコロナ禍でもできることを探求して日々取り組んできましたが、大きな励みとなったのが、令和2年度第46回発明大賞の受賞です。「粘土質濁水精密濾過装置」を開発したことが受賞理由で、当社の会長が受賞者となりました。
会長は当社の中でも一番の発明屋であり、ものづくりが大好きな人間です。30、40年前の案件のデータファイルを読み込んでみると、今とチャレンジしたい開発テーマがまるで変わっていません。今やっといい素材ができてきたから昔やりたかったことにチャレンジできるようになったというような、長いスパンで仕掛けている案件が豊富にあり、諦めずにものづくりを考え続けている。諦めずに継続しているからこそ、とある瞬間に新たな着想が生まれ、イノベーションが起きる。その姿勢こそ当社らしさであり、逆境にも揺るがない強さなのだと思っています。
東京2020大会はどんな形であってもやるべし、という強い思いを抱いています。アスリートたちの努力の積み重ねの成果を応援し、世界的に感動を共有する意義は大きい。これほど大きなイベントを東京で開催できたという経験が今後何かあっても乗り越えて行ける勇気にもなる。当社もできないことをできるように工夫するのが得意なので、逆風を前向きに考えればきっと良い結果が得られると応援したい気持ちでいっぱいです。
当社では人材育成にかなり注力し、社員にオリエンテーションシートを義務付けています。これは改善提案や日頃のちょっとした気づきからのヒントも含めて、全社員が必ず新製品や新事業のアイデアを提出するという取り組みです。年何回出してもよく、毎月の経営陣による戦略会議の後半に審査会を実施し真剣に吟味し討論します。
すぐに採用となるような完成形を求めているのではなく、シート提出のために、自ずと常に考える時間を持つという習慣づけの意味があります。そういう意識でいると、世の中に溢れている情報や日々の生活の中からアンテナに引っかかる何かヒントが得られるもの。従来は改善提案型が多かったのですが、今ではSDGsに関連した提案を促しています。
このようなアイデアの出し合いの中から「こういう技術が活かせたらおもしろい」というイノベーションの芽が芽生え、当社の未来を拓きます。ゼロイチからのものづくりのDNAは全社員に継承されていってほしいという願いも込めています。2020年10月からの新たな中期経営計画では「5年後にどうありたいか」というビジョンのもと、SDGsに向けた該当商品の強化を掲げているところです。
お客様の課題を解決する、それはお客様の開発物語を一緒に歩むこと。環境規制が厳しくなる一方の中国をはじめとした海外においても、その物語の共有を増やし、地球の環境課題解決に寄与し続ける企業として発展していきたいと考えています。