※企業概要は受賞当時(2016年)の内容です。
●ソ連崩壊直後の不安定な環境下、旧ソ連の光学技術に注目。先進レーザー技術を発掘し、高度な専門技術者を採用、さらにベラルーシに合弁企業を2社設立した。これらの技術を積極的に取り込み、経営基盤の強化を実現したこと。
●技術力は高いが赤字経営に陥っていた同業他社を買収。買収初年度に黒字転換しただけでなく、新製品を開発し業容を拡大するとともに、被買収企業の雇用を維持し、5年間で3割の賃上げを実現する等、高い経営手腕を発揮したこと。
旧ソ連の光学技術を融合した最先端技術・新製品開発に挑戦
創業者の駿河氏は技術者として電子部品・機器の技術商社に入社、1981 年に独立し得意領域の測定・分析機器の専門商社として起業した。その際、担当していた欧米製品のトップセールスマンであったことから、顧客からの応援もあった。ソ連の先進レーザー技術には以前より興味があったがベールに隠されていて入手の手立てもなかった。1991年、モスクワ大学と接点があった取引先の大学教授より、ソ連崩壊を機に、先方を紹介いただき、以後通算で60回にわたり渡航し大学にも寄付を行うなどの活動を行った結果、先端技術のレーザーや分光技術を専門とする高度技術者や研究機関と交流関係を築くことができた。最終的には、ベラルーシで対等出資比率の合弁会社2社設立に結実した。現地合弁会社では品質管理等を指導するものの、経営はパートナーに任せて、現地製品を日本に輸入販売するというWin-Win の関係を築いた。現地発の専門技術は同社の経営基盤となり、現在社内には従業員45 名のうち3名のロシア人を含む7名のドクターレベルの外国人研究者が活躍している。
リーマンショック後、金融機関の紹介により、同業ではあったが取扱商品が重複しないユニソクという計測機メーカーを買収した。同社は技術力は高いものの経営に問題があり赤字が続いていたが、東京インスツルメンツが実践してきた経営改革を徹底するとともに、事業上の補完体制を取ることで業績を拡大し、結果的に雇用を維持しつつ買収初年度に黒字転換を実現した。その後も増収・増益基調を維持し、ユニソク社員の給与を5年で3割上げている。透明な経営と公平な人事評価システムにより被買収企業を含め社員の定着率が高く、今後も従業員を活かす経営を実践する企業として一層の活躍が期待される。