東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2014年)の内容です。

第12回 優秀賞

芝園開発株式会社

代表者名
代表取締役 海老沼 孝二
所在地
東京都足立区綾瀬
創業
1986年(昭和61年)
従業員数
20名
資本金
6,300万円
事業の
概要
放置自転車問題を解決する国内初の「時間貸駐輪場システム」の開発
ホーム
ページ
https://www.sibazono.co.jp/
受賞理由

●大きな社会問題となっていた地元駅前の放置自転車問題を解決するために、不特定利用者・短時間利用者のニーズを満たす、国内初の「無人機械式時間貸駐輪場システム」を開発したこと。

●主力の駐車場業に参入事業者が激増し、過当競争に巻き込まれても、駐輪場管理の経験を基に、独自のクラウド型施設統合管理システムを開発し、高度なIT経営を実現、過当競争をいち早く抜け出すことに成功したこと。

企業紹介

 昭和30年代、道路建設や公園整備など街を良くする建設業は、皆から感謝される仕事だったが、世間の様子が変わり、建設するだけで感謝される時代は終わってしまう。昔のように感謝される仕事がしたいと、社長は業種転換を模索していた。
 昭和50年代になると、増え続ける放置自転車が路上に溢れ、駅前の景観を台無しにし、高齢者やベビーカーが危険に晒されるなど、大きな社会問題となっていた。対策として、取締りは強化されたが、放置自転車の数は殆ど減らず、予算に限りのある行政には、頭の痛い問題だった。
 実地調査をしてみると、自転車を放置するのは女性が多く、放置時間も短時間であることが分かった。「放置したくて放置している訳じゃない」と嘆き、他に手立てがなくて困っている住民の本音を知る。この時、潜在的ニーズがあると直感した社長は、国内で初の“新しい駐輪場”の開発を思いつく。不定期の利用者や短時間の利用者のニーズを満たす無人で機械式の「時間貸駐輪場システム」の誕生である。現在、この時間貸駐輪場システムは、東京・埼玉・千葉など110カ所以上に設置され、高い稼働率を誇り、同時に放置自転車問題の解消に大いに貢献している。  平成18年の道交法改正により、同社の主力だった駐車場業は、参入事業者が激増し、過当競争に巻き込まれて赤字に転落してしまう。そこで、駐輪・駐車場管理を進化させ、施設毎の稼働率や従業員自らが足で稼いだ情報等の統合を進めた。さらに、会計と管理のリアルタイム連携、手間のかかるクレーム対応の可視化など、全く新しいクラウド型の施設統合管理システム「SHIP」を開発、高度なIT経営によって営業力を強化し、過当競争をいち早く抜け出すことに成功する。
 「無人の時間貸駐輪場なんて、だれも利用しないわよ。自転車の墓場になるだけ」と、時間貸駐輪場の開発に反対していた妻も、今は利用者の一人。「こういう駐輪場があって良かった」と地元住民に感謝される、こんな仕事がしたかったと社長は振り返る。売り手よし、買い手よし、世間よしの三方良しを実現するため、同社の挑戦はこれからも続く。

  • 2016年からは放置自転車対策にも新システムを導入

  • 駐輪場・駐車場事業を展開

  • 当社独自の駐車場・駐輪場統合管理システム「SHIP」

受賞コメント

 当社施設を利用してくださる多くのお客様、支えてくれた取引先の皆さまがあってこその受賞であり、感謝したいと思います。そして、苦しい時期をともに乗り越え、これまで一生懸命に取り組んできてくれた従業員と、この受賞の喜びを分かち合えることを何よりも嬉しく思います。いまや生活に欠かせない時間貸駐輪場システムが、全国に普及していることを誇りに、今後も、より一層社業の発展に邁進する所存です。
(芝園開発株式会社/海老沼 孝二 社長)

24時間運営の駐車場・駐輪場
管理システムのノウハウで
社会課題を解決し快適な街づくりに貢献。

自転車対策の街頭指導業務の主力である高齢者千人の命を守るために

当社は4つの事業の柱があります。まずは、1995年に綾瀬に第1号の時間貸しコインパーキングを作り、各地に地域密着型の駐車場を設置している駐車場事業。二つ目の駐輪場事業は、1998年日本初の無人時間貸し駐輪場システムを開発し、インターネットにより遠隔制御ができる仕組みにより各地で運営しています。

三つ目に官公需事業。2005年に江戸川区から一之江駅の自転車対策業務を受託したのを皮切りに現在は7つの自治体から駐輪場管理及び放置自転車対策などの事業を受託しています。四つ目のフィットネス事業は、当社の24時間運営の駐車場や駐輪場のノウハウを活かした、24時間いつでも利用できるもの。会社のミッションとして「人と技術を融和させた解決策をデザインし、みんなが喜ぶステキな社会を創る」を掲げ、良質な社会システムのスタンダードを作り続ける企業を目指しています。

新型コロナの影響はまず緊急事態宣言により通勤・通学がストップしたことから、駐輪事業を直撃し、2020年2?3月の売上は前年比7、8割、4?5月は2、3割まで激減。駐車場も半分程度の稼働となりました。また、フィットネス施設は休業要請で2カ月間完全に休館したためその間の売上はゼロ。

自治体からの受託事業は年間契約なので売上は保証されますが、別の課題が発生したのです。受託している駐輪場管理と放置自転車対策事業では、約1,000人※の高齢者の方が青いジャンパーをユニフォームとして着用し、駐輪場以外の場所に勝手に自転車を停めないように呼びかけるなど街頭指導業務に携わってくれているのですが、新型コロナは高齢者に重症化のリスクが高い。

当社のこの業務にあたる最高齢は92歳、平均70代です。公共の駐輪場はエッセンシャルワーカーの方々も利用するので、絶対に必要で、閉めるわけにはいかない。コロナ禍に放置自転車の撤去作業をするのかとの声もありましたが、救急車や消防車など緊急車両の妨げになる恐れもあり、これもやらなくてはならない仕事です。新型コロナの感染対策とともに、働いてくれる高齢者の方々やその家族の気持ちを思うと、どのように現場を回すべきかが最大の課題でした。

※従業員数は正社員36名、パート・アルバイト533名、外部委託367名、派遣従業員67名。

人の気持ちと信頼を大事にする、それが全ての良い流れを生み出した

当社では2021年6月の社長交代を控え、その準備として9年前から計3回の中期計画の取り組みの中で、自発的に動ける組織づくりを推進してきました。今回のコロナ禍でもその成果が発揮され、本社が指示を出すのを待つのではなく、現場の責任者が自らできることを見つけて自発的に動いており、現場での感染対策などもそれぞれに徹底していました。

それを広報部が取材し、毎月発行している社内報で紹介し全社で共有することに。社内報は従業員やその家族のコミュニケーションツールとして定着しています。また、違う月の社内報では、「そもそもなぜ私たちはこんな時に仕事をしなくてはいけないのか」というテーマで、仕事の意義を再認識する場としたところ、大変好評でした。

また、従業員にマスクを配布した際には高齢従業員の家族に宛てた社長からの手紙をつけました。命か仕事かと悩むような気持ちを想像し、そこに対する想いを真摯に込めたものです。高齢従業員の方々は収入よりも地元への愛着があり、自分が地元に役立てることを生きがいとされているので、会社としてはその想いを大事にし、感謝し、社内報の活用や日頃のコミュニケーションにより、わだかまりなく働けるよう努めた次第です。その結果、大きな混乱もなく日々の業務を遂行できています。

フィットネス事業は休館で売上ゼロの時も、その後利用者が減っても家賃やマシンのリース代など固定費がかかっており、止血が最優先でした。そのため、4拠点のうち2拠点を閉鎖し、撤退を決意。しかし、このご時世ではすぐに次のテナントが入るとも思えず、となると建物のオーナーに迷惑がかかる。

長年、駐車場や駐輪場の運営では地域の不動産屋さんに地主さんを紹介してもらうなどご縁と信頼を大事にしてきた当社としては、自分たちの都合だけで撤退して信頼を損なうことは避けたかった。そんな中、運よく事業を引き継いでくれる会社と出会うことができ、オーナーに迷惑を掛けることなく撤退することができました。

これは当社とご縁があり、お付き合いがあった会社からの紹介により実現しました。やはり人のご縁、信頼を大事にすることにより、このような良い流れができたのだと実感するばかりです。

不可能を可能にするツールを活用して、新たな社会課題の解決に取り組む

コロナ禍によりできないことが多い中、逆にできることも生まれています。例えばオンラインでの打ち合わせ。以前は自治体との打ち合わせにオンラインはあり得なかった。現地に行って顔を合わせて、というのが当然でした。しかし、コロナ禍でオンライン活用が進み、自治体ともオンライン会議が普及してくると、今度は遠方の自治体とでもつながることが可能となったわけです。

そこから得たのが名古屋市との実証実験の取り組みです。名古屋市が先進技術を活用して行政課題を解決するという取り組みをやっており、2020年夏にエントリーした行政課題にあったのが、「公共空間を快適に。先進技術を活用した放置自転車の撤去スキームを構築したい」というもの。まさに当社のやっていることと合致します。

当社では青いジャンパーを着用した街頭指導業務担当の高齢者に携帯端末を持ってもらい、それを活用して街の中の情報を集めてビッグデータ化しており、放置自転車対策や駐輪場ニーズの見える化などに効果を上げています。それが名古屋市に採択され、現地で実証実験も行ってきました。この展開を見ると、コロナ禍で行う東京2020大会も何かしら可能性が見出せると思います。

自治体との仕事は気づきが多いと実感しています。同じ仕事でも自治体によって見方が違い、こんなことができないか、これはどうか、など聞かれることでヒントを得ることが多々あります。そして、地域の困りごとを解決する一助を担っているというやりがいは大きいもの。当社では駐輪場事業の割合が大きいので駐輪場屋さんと思われている一面もありますが、駐輪場はツールであって、本来の役割は「ステキが見える空間をデザインする」こと。これからも社会の課題解決に取り組み、安心安全で快適な街づくりに関わっていきたいと考えています。

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