※企業概要は受賞当時(2013年)の内容です。
●創業以来、顕微鏡製造で培ってきた光学技術をベースに、加工物の精密な位置決め等を行う画像処理装置(マシンビジョン)や露光装置等、先端産業向けの機器を開発してきた。また近年の環境ニーズの高まりに応え、環境事業を開始し、さらなる事業の創成を続けていること。
●既存事業の再生にも力を注ぎ、顕微鏡のデジタル化や光学パーツのモジュール化とともに、宇宙工学や医療への応用など、無限に広がるレンズの新たな可能性を切り開き、積極的な研究開発やワールドワイドな取り組みを行っていること。
『光』の持つ可能性を追求し、光を用いた最先端のソリューション開発に挑戦し続け、産業の発展に寄与してきたのが同社である。
創業以来、顕微鏡製造に取り組んできた同社は、学校や民間工場と安定した取引きを継続してきた。昭和45年には顕微鏡の輸出を開始、業績を伸ばす予定だったが、たちまち安価な中国製品が流通し始めた。このまま顕微鏡を作り続けていては生き残っていけない、と不安を感じながらも、これを打開する具体的なアイデアがあった訳ではない。だからこそ取引先の工場に通い、ユーザーの声を聞いては製品の改良に取り組んできた。こうして、レーザーマイクロ加工システムやモニタースコープなどの新しい製品を次々と世に送り込んだ。また、生産性向上を狙いとした生産・検査装置を開発、世界的な販売台数を誇るスマートフォンのディスプレイ製造に導入されるなど、従来の発想を転換し、既存事業を改善することで事業分野を拡大してきた。
これまで電機産業の発展の波に乗り続けた同社も、リーマンショックや東日本大震災による急激な環境の変化から業績が悪化し、従来のビジネスモデルのままでは衰退していくことが予見された。環境やエネルギーに対するニーズの高まりを感じていた同社は生き残りをかけ環境事業への参入を決意した。事業の1つはLED 照明の開発だ。LED 照明は既に大手メーカーが参入していたが、明るさ、消費電力、演色性にこだわって製品を開発した結果、大手自動車メーカーより3万台以上を受注し、業績のV字回復に寄与した。もう1つの事業として太陽光発電事業を開始、北陸地区最大級のメガソーラーを設置した。これは単に売電を意図したものではなく、太陽光パネルや遠隔管理システムを自社開発することで自社技術の向上とノウハウの蓄積を意図しており、さらなる飛躍を狙っている。
こうしてたゆまぬ技術開発で幾多の苦難を乗り切ってきた。光は想像できることだけでも宇宙工学や医療など、さまざまな分野での応用が期待されている。光の持つ無限の可能性を追求し、新たな分野にチャレンジし続ける、同社の動向に今後も注目したい。
創造の先にあるモノづくりを
時代はいつも厳しく、毎日失敗の山である。しかし、最終的に企業の失敗は許されず、一つ一つの小さな成功の積み重ねで今があると考えている。ビジネスはタイミングが命である。この受賞を励みにさらに気を引き締めて、視野を広げて歩んでいきたい。
今後はさらに世界が驚く技術で製品を開発し、創造の先にあるモノづくりで汗を流していきたいと考える。
企業は人であり、そこに蓄えられた技術、社会とのつながりを大切にして、成長し続けていきたい。
(株式会社清和光学製作所/岡崎 伊佐央 社長)