東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2013年)の内容です。

第11回 優秀賞

株式会社西尾硝子鏡工業所

代表者名
代表取締役 西尾 智之
所在地
東京都大田区大森北
創業
1932年(昭和7年)
従業員数
23名
資本金
1,000万円
事業の
概要
商業施設で使用されるショーケースなどのガラス加工・施工業務
ホーム
ページ
https://www.nishio-m.co.jp/
受賞理由

●リーマンショック後の経営難を打破すべく、海外有名ブランド向けショーケースの受注に挑戦。社員一丸となった取り組みにより、45度傾斜のガラス接着技術の開発に成功。匠の技とアナログ的感性によって、他社では手掛けることが難しい高付加価値商品を生み出し、高級ブランドからの特注を可能としたことで大きな貢献を果たしていること。

●主力の内装分野にとどまらず、太陽熱発電用の屋外用ミラーの開発を断行した結果、業界初となるアブダビ首長国への大量納入を実現。一中小企業の枠を超えた新分野への進出と、鏡の腐食防止処理技術の駆使により、再生可能エネルギー分野への貢献が期待されること。

企業紹介

 難しい仕事を簡単に「出来ない」とは言わず、挑戦していくプロセスこそが決定的な差別化だ、と社長は語る。同社は、「デジタルとアナログの融合」により、ガラスの寸法精度を武器に、加工から取付工事まで一貫した工程を持つ。
 近年のガラス業界は、ITを駆使した設備の普及によって、“誰が”というよりも、“どの機械”で制作したのかに関心が移り、付加価値の高い製品を生み出しにくい状況にあった。そのような中、リーマンショックによって同社の収益性は悪化。社員はみるみるうちに疲弊していった。
 会社が今後進むべき方向とは?社長と社員による議論が重ねられた。「あえて、他社が難しいと嫌がるような仕事をやろう」という厳しい道を選択することを決めた時、社員の顔は晴れやかだった。まさに職人集団だ。そして、海外有名ブランド向けショーケースの受注に向けた挑戦がスタートした。
 ブランドイメージを重視する依頼主の要求は非常に厳しいもので、ちょっとした光の反射やガラスの繋ぎ部分の僅かな陰りも許されない。0.1mmの繋ぎ部分の接着面に、針の先ほどの気泡が入っただけでも薄く白味を帯びた光の反射が発生してしまう厳しい世界だ。しかし、ガラスを切断、加工する前工程の技術にさらに磨きをかけ、ガラス断面を45度の角度で貼り合わせるという手法を確立。今日では、ショーケースのガラスの加工をさせたらおそらく業界一、という評判を生むまでになった。
 次なる挑戦は、太陽熱発電用の屋外使用ミラーの開発だ。鏡は室内で使用されることを前提としているため、風雨や紫外線などの耐候性の向上が課題だった。しかし、社内に蓄積していた鏡の腐食防止処理技術をブラッシュアップし、建材試験センターでの試験を経て、業界初となるアブダビ首長国への1,300枚のミラーの納入を果たす。更なる技術改良を重ね、他国への納入に向けた挑戦を続けている。まさに一中小企業の枠を超 えた壮大な新分野進出だ。
 顧客にとっての本当の価値とは、「不」(不満、不信…)を解決すること、と社長は言う。ガラス加工における業界NO.1と、100年企業を目指す同社の挑戦から今後も目が離せない。

  • 海外有名ブランドのショーケース

  • ガラス板の接着作業を行う職人

  • アブダビ首長国に1,300枚のミラーを納入

受賞コメント

3度目の挑戦で初受賞
 この賞は3度目の挑戦での受賞。今期の事業発展計画の中にも受賞を大きな目標としていた。受賞の裏には、社員や家族をはじめとする多くの方々の支援があり、改めて感謝するとともに、受賞の重みを感じて今後一層、事業の“進化”のために挑戦していきたい。
 今回の応募にあたり、自社の強みを再発見することができた。これからはさらに挑戦を“継続”し、“深堀り”していくことで自社の価値を上げ、この分野でのNo.1企業に近づけたい。また、自らに課した「20年ビジョン」を実行に移していくことで、大きな夢を持って社員の「育成」・「教育」を図り、お互いが成長できる会社にしていきたいと考える。
(株式会社西尾硝子鏡工業所/西尾 智之 社長)

コロナの打撃にもリーマンショックの経験を生かし
体質を強化。
海外展開への布石も。

コロナ禍の影響に動揺する社員の不安を払拭したい

新型コロナウイルス感染症の拡大が報道されるようになった2020年2月頃、当社は五輪開催期間中を避けるための前倒し工事の受注残を多数抱える繁忙期。3月も業況に影響はなく、私は4月の緊急事態宣言発令で7月頃から自社への売上のダメージを予測していました。
実際には夏の終わりから売上が落ち込み9月が4割マイナス、10月が3割マイナスと急激に悪化しました。

私はかつてリーマンショックの時に相当な苦難を味わい乗り越えてきた経験があり動じていませんでした。
2008年のリーマンショックの影響を製造業の我々が被ったのは2009年?2010年で、苦しい低迷期が続きました。その時に当社の強みを再検討し、財務も見直して盤石な経営体質を作り上げてきたので、たとえ売上が3割落ちても変動費への対応を強化するなど赤字にならない体質になっています。
また、すでに4月の段階でキャッシュの確保など資金繰りを安定させるための手は打ってありました。

しかし、社員の多くは売り上げの急減を目の当たりにして、不安を抱えていました。
当社の決算は5月で、7月に事業発展計画発表会を開催し今期の見通しを社員へ発表するのですが、2020年7月の発表会では社員の2/3が「とても不安です」と言ったのです。当社では月次決算も社員に公開しており、9月と10月の売上の激減を説明した時の社員たちは不安を抱え青ざめていました。 この不安や動揺を払拭することが、社長の私の重要な役目でした。

損益分岐点を下げる守りの対策と、自社製品開発の攻めの対策

私の対策は社内での努力により粗利益率を上昇させて損益分岐点を3割下げること。売上によって変動する材料費や外注費を意図的に抑えるようにして粗利益を生み出すことを徹底しました。

変動費をコントロールすることで粗利益は上がります。そのために社員には在庫量の見直しや外注業務の内製化など変動費の重要性を説明しました。 当社の場合、材料費は売上の25?30%かかっていましたが、その部分を2?3%下げるのが目標。
具体的には、材料がそろそろなくなりそうだからというイメージだけでは発注しないこと。発注から数日で納品されるのであれば、その分の余計な在庫は持たない。特に月次決算に影響する月末5日間には材料の発注はしない。さらに、自分たちでできることはなるべく内製化し外注費を抑えました。
また、5Sなど業務改善を徹底することにより、材料や工具、仕様書などを探す無駄な時間を減らすことで残業も減りました。

こうした取り組みの結果、売上が4割減少した最悪の9月でも僅かながらの黒字を出すことができました。この結果を出せたことは、全員が一丸となって取り組んだ証左で、誇りにしていいと社員に話したほどです。
当社では粗利益を粗付加価値と呼んでそれを増やすことを目標にしています。コロナ禍で、社員自らが考えるようになったとともに、社員たちが損益分岐点について理解し財務の目線で捉えるようになりました。そのような姿勢で生き生きと仕事をしている様子が嬉しい成果です。

こうした守りの対策をする一方、攻めの対策も進めてきています。自社製品の企画製造です。
きっかけは2014年頃から東京商工会議所のアセアン視察などに参加し現地企業にヒアリングしたことです。いくら技術を持っていても、最終製品を持たない当時の当社が海外に進出しても、パーツしかないなら下請けになってしまう。完成品を作るメーカーになりたいと考えました。
2016年から構想して開発着手してきた自社製品・ハーフミラーを活用した内照式ショーケース「DUAL」が2018年末に完成し、東京都の世界発信コンペティション2020年度製品・ベンチャー技術部門特別賞を受賞しました。
これまで世界の一流ブランドのショーケース等で発揮してきた当社のガラスの接着技術を活かし、ディスプレイを効果的に見せられるという付加価値をつけたものです。これを軸に自社ブランド力を発信し、請負だけでない事業の幅を広げていきたいと考えています。

聖火ランナーとして、みんなに元気を与えたい

2021年は自社製品の海外展開の準備を進めていきます。 また、これまで大学での企業家講演会やリレーションプログラムなどを通じて、ものづくりに興味を持っている若い人や女性の関心の高さを実感してきました。新たな人材を育て、ものづくりを一緒にできる環境作りやそこから生まれるイノベーションに貢献したいと思います。
2020年以降はパラダイムシフトの時代だと言われてきましたが、このコロナで変化が加速されたように感じると同時に、人生100年の時代なので私自身ももっともっとチャレンジできる環境に身を置いていきたいものです。

東京2020大会では、自身も何か関わることができないか考え、大田区の聖火ランナーに応募し、選出していただきました。
若い時にやっていたマラソンを3年前に再開したのが応募のきっかけ。2018年からホノルルマラソンに参加して元気で明るい高齢者と接して、自分もそうありたいと描くようになり、トレーニングを積んできました。聖火ランナーという名誉な役割をいただいて、今から気持ちが高まるばかりです。
私が聖火を掲げて走ることで、家族、会社、地域、友人たちも自分のことのように誇りに思ってくれ、大会を身近に感じられるようです。地元東京での大会をぜひ盛り上げていきましょう。

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