※企業概要は受賞当時(2012年)の内容です。
●戦後初の民間による鉄道事業免許の取得、県下初の超高層建築物の許認可など、理想形の追求により常識を打破。長年にわたりユーカリが丘の都市機能強化に向けた挑戦を続け、時代の変化に対応しながら住民と一体となって街の成長管理を行っていること。
●赤字覚悟で、既存住宅の買取価格を市場流通価格の100%とする住替え応援システムを、昭和56年以前の旧耐震基準の建物にも適用。住替え促進と、住民に対する企業姿勢の更なる理解促進を実現したこと。
ユーカリが丘の自然と都市機能の調和。長年、このテーマの実現に向け、少しもぶれることなく、数多くの挑戦を果たしてきたのが同社である。短期的な利益は求めず、時間軸を長期に設定して想いを貫き通してきた歴史が、そこにはある。
総合繊維卸売業であった同社が、宅地開発事業に進出してしまった。昭和46年に、豊かな自然環境が残る千葉県佐倉市ユーカリが丘の開発に着手。公害問題に揺れる当時にあって、環境によい街づくりと、都市機能の実現に向けた挑戦がスタートした。
街づくりに向けた具体的な行動自体、全ては許認可を経た上での取り組みであるため、諸官庁との難交渉を余儀なくされた。しかし、戦後初となる民間による鉄道事業「山万ユーカリが丘線」の免許取得、県下初の超高層建築物の許認可、子育て支援策としての民間認可保育所の建築など、打破してきた障壁は枚挙にいとまがない。障壁を打破した源泉は、明確なビジョンと、理解が得られるまで粘り強く交渉する企業姿勢だ。
同社の役員や社員のほとんどはユーカリが丘に住み、居住者の視点で街づくりに関わる。住民の生の声を細かく聞くためのエリアマネジメントグループを組成。こうした取り組みによって、社長の想いが社員、さらには住民にも根づいている。同社の挑戦は、日々の愚直な取り組みにより、住民からヒントを得ることにより、次々に成される。
街を大規模開発して撤退するのではなく、持続可能な街をつくることが肝要。そのためには、街の成長管理が重要であり、その一環として、同社による既存住宅の買い取り価格を、市場流通価格の100%とする住替え応援システムを、昭和56年以前の旧耐震基準の建物にも適用した。赤字を伴う物件も多かったが、住民の住替え促進が進み、タウン内の既存住宅地の若返りを図り、人口構成のバランスの維持を図っている。
開発後、30年間もの長きにわたり、愚直に挑戦を続けてきたことで、街の循環がようやく始まった。時代の変化に対応すべく、電気自動車のカーシェアリング事業の実施や、電気バスの社会実験など、同社の理想形の追求はまだまだ続く。
あらゆる世代が暮らしやすい環境設備
41年前にユーカリが丘の街づくり事業を開始し、日本一住みやすい街を目指した様々な決断や、長年にわたる住民の皆様との街の成長管理に対する取り組みが評価され、嬉しく思う。ユーカリが丘に携わって頂いている方々への感謝とともに、受賞を励みに今後も理想の街づくりに一層邁進していきたい。
あらゆる世代が暮らしやすい環境整備をさらに進め、日本が直面している少子高齢化時代における持続可能なコミュニティについて、ユーカリが丘に住民ともに取り組み、日本一住みやすい街・理想の街実現のために新しいコミュニティサービス(ビジネス)の展開に取り組んでいきたい。
(山万株式会社/嶋田 哲夫 社長)