※企業概要は(2022年)の内容です。
●レーザー専門商社として、世界最先端のレーザーや計測器などを輸入し、研究開発を行う企業に提供するだけでなく、独自に技術部門を擁し、応用分野における技術提案やサービスを行っていること。
●債務超過だった赤字会社を再建、さらに親会社から独立させ、全ての社員を株主にする(MEBO※)など、思い切った経営改革を断行し、見事に活力ある会社に成長させたこと。
理念を真に実践することは難しい。その中で同社は理念を真に実践した経営で注目される企業だ。同社は「社員の成長が企業の成長」という理念をもとに経営している。
社長は過去一部上場会社の組合執行委員長として、リストラを受け入れる立場と、また海外現地法人の責任者としてその逆の実行する立場、という苦渋の決断を幾度と体験してきた。その中で「何のために経営するのか」を悶々と考えたに違いない。
同社の販売先は国公立大学や大手企業等の研究開発拠点などが主体で約2,000先にも及ぶ。技術商社として研究開発機能も有し、多様化・高度化する顧客ニーズに対応したカスタマイズで独自の付加価値を創出している。そのため全従業員の2割は技術員で、また営業員の7割は大卒技術系だ。ドクター(博士)、マスター(修士)など学位を持つ社員は全体の15%に及ぶ。自社で企画・開発もしており、光ディスクマスタリング(CD・DVD原盤作製装置)等は自社ブランドで販売している。
また同社の特徴は、MEBOにより嘱託を含む全ての社員と経営陣が会社の株主となる経営形態をとっていることだ。この規模で他に例が無いそうだ。
かつて同社は、債務超過に陥り、一部上場の親会社が債務保証しても、銀行から新規融資を断られるような破産寸前の子会社だった。再建に派遣されたのは、当時親会社の役員であった社長だ。赴任した当初、社長は「雇用を守る」と宣言し、厳しい再建策を打ち出した。雇用を守るには利益を上げ続けなければならない。厳しい環境の中で利益を上げ続けるには、社員の能力を最大限発揮させる事が必要だ。過去の様々な体験から「社員の成長が企業の成長」を経営理念に持つ社長は、自らの退路を断ち、骨をうずめる覚悟で挑んだため、社員のモチベーションは上がり、経営はみるみる回復した。
さらに機動的に経営を推進し会社を発展させるため、MEBOという手法で親会社からの独立を果たした。全社員が参加したということは、経営の健全化はもちろん、相応の雇用環境と信頼関係が築かれてなしえる事である。社員教育にも相当の時間をさいており、社外からの受け入れを含めて積極的に行っている。またその後入社してくる社員も株主になれる制度となっており、全員が自主的に株主となっている。
自ら高いリスクを選択し社員の責任とモチベーションを高めて会社を活性化させた手法は、「勇気ある経営」として高く評価できる。しかもこれは、そこで働く社員全員の勇気だ。
※MEBO(Management and Employee Buyout)…経営陣と従業員が一体となり、対象企業の株式を買い取り経営権を握ること。
「新しい日本的経営が評価されて嬉しい」
企業は社員にとって自己実現の舞台」、「社員の成長が企業の成長」というスローガンで経営をして来た結果。雇用を守り抜く新しい日本的経営が評価されたことを心から感謝しております。
(株式会社日本レーザー/近藤 宣之 社長)