※企業概要は受賞当時(2011年)の内容です。
●大学研究者や元公務員が、「自分たちが考え・作り・売る」ことにこだわって創業した研究開発型企業で、世界初の安全運転診断ができる「セイフティレコーダ」の独自開発に成功し、大手企業がひしめく市場で、10%をこえるシェアを占めるまでに成長したこと。
●独自のアルゴリズムに基づく安全運転のノウハウを進化させて、スマートフォン向けアプリにも展開するなど、開発・改善を続けて発展を続けているだけでなく、「安全」と「環境」をキーワードに異業種コンソーシアムを設立し、社会貢献活動にも力を注いでいること。
無謀な挑戦だったかも知れないが、「自分のブランド製品を売りたい」一心で、大学の研究者と友人の区役所公務員が集まり、ハード設計やソフト開発を手掛ける会社を設立してしまった。一から技術の勉強を始め、最初の10年は下請け業務で糊口を凌ぐのが精一杯だった。
その後、ジャイロと加速度計を使った技術を元に商品開発を考えていた折、「バーチャルリアリティ」のセンサーを探していたゲームメーカーと出会い、1年半かけて商品化に成功する。これまで、下請企業として仕様が決まっている製品の生産には慣れていたが、この時の経験によって、思いもよらない使い方をする「一般ユーザー」向けの製品化の難しさを痛感し、更なる技術向上を目指した。
ジャイロと加速度計を利用した技術に加えて、GPSを組み合わせれば、「車の事故を減らすための事故原因を解析できる」と考えて、次なる挑戦が始まる。既に米国では、事故前後の挙動の判断材料とするため、新車にはドライブレコーダ装着が義務付けられる見通しとなっており、欧州では、エコドライブを促進する機器として、需要が見込まれていた。日本でのドライブレコーダ市場は、「安全」と「環境」に対する社会的関心が高まれば必ず成長すると確信。試行錯誤の結果、ついに世界初の「セイフティレコーダ」の開発に成功する。このレコーダの凄さは、収集されたデータをもとに独自のアルゴリズムによる解析を行い、高度の運転診断を実現させたことだ。
運転診断による得点の向上は、運転のムラを無くし、事故予防と燃費向上に大きく影響する。「安全」と「環境」に取り組む企業と協力して「コンソーシアム」を発足させ、車両に関わる業界全体のステータス向上を目指す取り組みも開始。エコドライブのレベルアップと一般ドライバーへの普及に向けて、スマートフォン向けのアプリにも対応するなど、「安全」と「環境」を追求する同社の活動は、まだまだ続く。
開発会社としての充実感を実感
自ら開発・製造・販売までやるため、大きな勇気を伴う決断に悩みましたが、実際にお客様に喜んで頂いて、開発会社としての充実感を実感することができました。車に特化して「安全・環境を守る」をテーマに発展し続けていきたいと思います。
(株式会社データ・テック/田野 通保 社長)