東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2010年)の内容です。

第8回 大賞

日本理化学工業株式会社

代表者名
代表取締役 大山 隆久
所在地
神奈川県川崎市
創業
1937年(昭和12年)
従業員数
74名
資本金
2,000万円
事業の
概要
チョークを中心とする文具・事務用品製造
ホーム
ページ
https://www.rikagaku.co.jp/
受賞理由

●昭和35年に初めて知的障がい者を雇用して以来、今や全従業員のうち知的障がい者が3/4を占める。数多の工夫をこらし、障がい者が活き活きと働くことのできる環境を整備することで、働く幸せの実感と生産性向上の両立を追求。非営利ではなくビジネスとして事業を成り立たせ、チョーク分野のトップメーカーとなっていることを高く評価。

●チョークという成熟市場において、産学官連携といった外部資源を有効に活用しながら研究開発に取り組み、大量に廃棄されているホタテ貝殻の微粉末活用法や、ホワイトボードやガラス面に書くことができる新種のチョーク「キットパス」を開発。新たな製品や市場を果敢に開拓し、成長を図っている点を評価。

企業紹介

同社は、学校等で利用されるチョークのメーカーである。昭和28年に国産第1号となる炭酸カルシウム製の「ダストレスチョーク」を開発するなど、業界トップのシェア(約30%)を占めている。

まず、同社を語るうえで欠かせないのが障がい者の雇用である。昭和35年に初めて知的障がい者を雇用してから約半世紀、現在では驚くことに全従業員の3/4を占める55名(その中でも27名は重度障がい者)が働いている。知的障がい者が活き活きと働くことのできる環境を整備し、非営利ではなくビジネスとして事業を成り立たせていることで多方面より注目されている。
知的障がい者は、新たな仕事を覚えたり、突発的な変化への対応が難しいことが多く、こうした点の克服には相当の時間を要し、ビジネス面において不利な状況が生じることも少なくない。ただ、知的障がい者の従業員は仕事熱心な人が多く、しかも仕事の手順をひとたび納得して覚えると、長時間にわたり高い集中力を保って仕事に打ち込む場面も多く見受けられるそうだ。同社では、こうした個々の得意分野を活かしながら、さらに作業現場に独自の工夫を加え続けることで、他社と伍していく生産効率を生み出している。
例えば、重度の知的障がい者には、「○○の材料を××グラム量って、△△と混ぜ合わせる」と指示を出しても、理解が難しい場合が多い。そこを同社では、「赤色バケツに入っている材料を赤色の分銅で釣り合うまで取り出し・・・」といった具合に"色"を上手に使って作業を単純化する。チョークのサイズチェックにあたりノギスを使って測定することが難しければ、ただチョークを差し込むだけで適正か否かを一見で判定できる検査器を作成するなど、その工夫たるや枚挙にいとまが無い。
さらに着目したいのは、障がい者にもリーダーや5S委員といったポストを設け、モチベーションを高める仕組みを用意していることだ。多くの従業員がそのポストを目指して一層仕事に励むようになり、また、実際にこうしたポストに選任された従業員は、周囲の模範となるべくさらに気配りができるようになるといった成長を果たしているそうだ。
しかし、少子化の進展やホワイトボートの普及などの影響を受け、チョークの需要は徐々に伸び悩みつつある。そのような中、独自技術で加工したホタテ貝殻微粉末の利用によりチョークの品質向上を果たしたことをはじめとし、産学官連携を活用し新商品の開発を重ねている点も高く評価。特筆は、鏡やガラスといった平滑面であれば、濡れた布で簡単に消去でき、滑らかな書き味で粉も出さない不思議なチョーク「キットパス」の開発。保育園や小さな子供がいる家庭のほか、ホワイトボードにも使えるためオフィス市場開拓の期待も大きい。
障がい者雇用とビジネスを両立させながら、さらなる成長を図る同社の姿には、経営のヒントが数多く隠されている。

  • 社員食堂には社員それぞれの目標を掲示

  • チョークのサイズ検査器(途中でひっかかると適正サイズ)

受賞コメント

全社員が多くの課題を共に乗り越え、日々創意工夫を重ねてきました。その結果を評価していただけたことに大きな喜びを感じます。知的障がい者に手を差し伸べたい、という姿勢を事業活動にとり入れ試行錯誤を続けてきました。ここまで来られたのは、知的障がいをもった社員たちの意気揚々とした出勤風景、生産ラインで真剣に働く姿を通して、私自身が働く楽しさ、生きがいとは何かを教えられたからです。それが励みになりました。
障がい者も健常者も一緒になって働くことができる。事業として成立することを強調したいと思います。働きやすい環境と仕事の仕方を創り上げていくことで、高い生産性も可能になります。知的障がい者は、働くことができないのではありません。企業が働ける場を考えていないだけです。福祉施設で1日を過ごすより、働く楽しみを感じる方が、本人も企業も行政もすべてにとって良い結果が得られます。その意味から、企業が障がい者を雇用しやすい制度の拡充を望んでいます。
創業は昭和12年。文具雑貨の卸問屋を営んでいた父が、米国からの輸入に頼っていた無害チョークの生産を始めました。豊富にあるホタテ貝を材料に利用することで、安心なチョークが日本でも作れるようになったのです。学校などで使用されるチョークは、景気に左右されにくく安定していますが、それでも需要は減少傾向。そこでガラスにも書けるチョークを開発しました。彩り鮮やかなチョークで、ガラスなどに書くことができ、すぐに拭きとれるので幼少期の五感教育など多方面で利用されています。
人のために動くと、多くの人たちが応援してくれます。財務面で厳しい時、製造過程で行き詰まった時など、みなさんの支えがチャレンジする力となりました。今回の受賞からも大きな勇気をいただきました。

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