※企業概要は受賞当時(2009年)の内容です。
●直径125マイクロメートル(=0.125mm)という微細な光ファイバーの先端部への金めっき加工に成功することにより、光ファイバー網の長寿命化と通信容量の拡大に寄与したこと。
●従業員毎に作成される教育プログラムと確立された指導方法により、精密装飾・機能性・高機能精密めっきという総合性の発揮と、量産とコストダウンの両立を実現していること。
研磨(めっき処理前の素地磨き)→治具がけ(処理する金具などを治具にかける)→めっき処理→検査。これらすべてを、自社工場で行う。化学薬品を多用するため、住宅地では敬遠されがちだが、納期の短縮化が求められる現在、その存在は貴重。過去10年間で取引先を一変させるなど、ニーズ変化への対応力は特筆ものである。
技能やノウハウの円滑な継承の裏には卓越した人材育成策がある。現代の名工に選ばれた石川会長は、業種組合で職人養成機関の創設に尽力、現在でも高度熟練技能検定委員を務めるほどの教育熱心さであるほか、同社独自の教育プログラムが平均年齢34歳の若い社員たちに細やかに運営されている。
また、同社が主催する「ヒキフネ祭り」の歴史はすでに30年を数える。毎年8月に社員が屋台や盆踊りなど手作りで行う夏祭りだ。祭りに参加した近隣の子供が成長し、同社や社員に魅力に感じ、入社を決めた例も。地域を大切にしてきた同社を象徴するエピソードである。
受賞理由のひとつである、微細な光ファイバーの先端部への金めっき加工は、すでに単芯から多芯化に移行するなど、進化を続けている。光通信量の増大にともない、同社が担う役割は大きい。「伝統と最先端技術の融合」でメイド・イン・ジャパン、メイド・イン・ヒキフネにこだわり、大きな目標であるヒキフネのブランド化を目指している。