※企業概要は受賞当時(2009年)の内容です。
●得意領域である電熱技術を活かし、世界でオンリーワンとなる「レーザー平面加熱装置」という革新的な新製品の開発に成功。従来、レーザーではピンポイント加熱しかできなかったが、この製品により被照射物の面を均一かつ急速に加熱・冷却することが可能となり、多くの業界にインパクトを与えたこと。
●モノづくりに欠かせない熱加工プロセスにおいて、電熱技術で顧客のあらゆる要望を満たすべく、「絶対零度から3000度まで」をモットーに、創業以来累計300万点のオーダーメイド製品を世に送り出し、日本の製造業の発展を支えてきたこと。
学校の理科の実験で、ニクロム線に電気を通した時、この金属線が熱くなるのを体験した人は多数いることだろう。
同社の創業は大正12年で業歴は優に80年を超え、現社長は3代目という老舗企業である。創業者がラシャ問屋を興し、訪問した仕立屋の従業員が炭火でラシャ布にアイロン掛けをしているのを見て、その重労働をなんとか軽くしてやれないものかと発案したのが工業用電気アイロンである。以来、同社の技術は、電気抵抗の高い金属線に電気を通して熱を得る「抵抗加熱」が核となっている。
昭和の高度成長期に、わが国の工業の発展とともに、製造業には不可欠の熱加工プロセスを担う同社も産業用ヒーター分野で高度成長を遂げ、ありとあらゆる形状及び用途のヒーターを世に送り出してきた。「絶対零度から3000度まで」をモットーに、顧客のどんな要望にも応えるべくオーダーメイドで開発してきた製品は、累計で300万点にもなるといい、「抵抗加熱」の分野でガリバーの地位を築き上げた同社だが、従来技術の枠を超えて開発に挑戦したのが新製品 ExLASER(エックス・レーザー)だ。
同社にとってレーザーは全く未知の世界で、本、インターネット、社内勉強会と、まず知識をかき集めることからスタート。ホモジナイザという温度を均一化する装置の開発に実験やシミュレーションを繰り返す試行錯誤の毎日。助成金申請作業も半端な手間ではない。ここまで費やされたエネルギーは膨大だ。かくして、レーザーメスのようにピンポイントでの加熱に適したレーザー光線を、革命的な発想の転換で集光ではなく拡大して広範囲を照射・均一加熱できるようにしたのが本装置である。本装置により、超高速での加熱・冷却、点からさらに面の均一加熱、周囲を熱することなく被加熱対象物のみへの加熱が可能になった。すでに独立行政法人日本原子力研究開発機構への納入を果たした。コンパクトで廉価な普及版のExLASER Liteも発売に漕ぎ着け、今後は最先端のハイテク企業や大学の研究室などへの拡販に大きな期待がかかる。