※企業概要は受賞当時(2008年)の内容です。
●産学連携の活用により、新たにバイオテクノロジー分野への進出を図り、完全自動のポータブル型核酸(DNA・RNA)抽出機を開発したこと(抽出から測定までの実用化は世界初)。これにより、研究者にとって大きな負担となっていた手作業での核酸抽出作業が大幅に軽減されたこと。
同社は、創業より" はんだ付け" に関する装置の開発に強みを持ち、独自の製品を生み出し続け、日本のエレクトロニクス業界の高度成長期を支えてきた。中でも、プリント基板のリフローはんだ付けの工程に欠かせない、リフロー炉の温度管理をする「リフローチェッカー」や、ソルダペーストをチェックする「粘度計」などでは、圧倒的にトップシェアを占めている。
そして近年、新たな事業展開として、これまでエレクトロニクス業界で培った技術を活かし、異業種であるバイオテクノロジー分野への参入を進めている。このたび、核酸(DNA・RNA)を小さな磁性ビーズに吸着させ分離抽出する技術により、核酸の抽出を短時間に全自動で行うポータブル型装置の開発に成功。全自動による核酸抽出機での抽出から測定までの実用化は世界初と言われ、大きな注目を集めている。これまで、遺伝子実験に必要な核酸の抽出については手作業で行わなければならず、バイオテクノロジー分野における研究者にとって多大な負担であったが、その軽減に寄与できる意義は小さくない。br> また、遺伝子組み換え食品など社会的に注目されている問題も多くあることから、このポータブル型で完全自動化の実現により、これまでの特殊専門分野のニーズだけでなく、食品製造・加工業者をはじめとする幅広い業種における波及も見込まれている。
経営手法においては、産学連携を有効に活用していることが特徴として挙げられる。このポータブル型自動核酸抽出装置の開発途上でも、新分野進出ということもあり、様々な課題をクリアすることは容易でなかったが、東京農工大との共同研究により多くを解決している。
この他にも「新しい触媒による脱臭装置」等の開発も進めており、産学連携を通じ、同社の持っている技術の幅広い応用や新分野に進出しようとする姿勢は、中小企業ならではのチャレンジ精神に富んだ活動と言える。