東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2007年)の内容です。

第5回 優秀賞

株式会社浜野製作所

代表者名
代表取締役 浜野 慶一 (はまの けいいち)
所在地
東京都墨田区
創業
1978年(昭和53年)
従業員数
30名
資本金
1,000万円
事業の
概要
レーザー加工・金型・精密板金・プレス加工を手がける。少量多品種生産の精密試作品から量産プレス加工品まで対応した工場と最新設備を所有している。半導体関連、医療機器、精密測定機器関連、コネクター部品等幅広い分野の企業に対し、産業関連部品・機械設備部品の加工・製作を行っている。また、産学官連携を中心としたデザイナーズ商品、発明・アイデア商品、健康促進器具等、いわゆる消費者向けの商品の製品化の企画・相談も行っている。
ホーム
ページ
https://hamano-products.co.jp/
受賞理由

●まさに東京らしい、東京ならではのものづくりを実践している企業。

●工場の全焼という存亡の危機を乗り越え、その後6年で売上高を10倍に伸ばす。また、産学官連携をうまく活用し、インターネット受注のシステムを構築。その結果取引先を5社から約350社に増やすことができた。

企業紹介

先代の急逝により同社を引き継ぐが、量産型から試作品づくりに脱皮した現在の経営スタイルは現社長が築きあげたものである。「ものづくり企業」として高精度で高品質の製品の加工・製作を常に心がけながら、お客様が何を求めるのかを一歩先で考える努力を怠らず、満足してもらえる提案を心がけている。試作品等の短納期は睡眠時間を削ってでもやるという根性の経営とその一方で早稲田大学、一橋大学、墨田区との産学官連携、ITの活用など、近代的な経営により大きく業績を伸ばしている。

また、工場がもらい火事にあったあとの素早く適切な対応が、経営者としての能力と適性を示している。下町の工場とは思えないカラフルでデザイン性の高い建物、行き届いた社員教育、女性技術者をリーダーにしているなど風通しの良い社風が窺える。そして、「美しい地球を次の世代へ」という環境方針を明確に打ち出し、基本理念と基本指針を掲げている点も、地域との共生が求められる「下町の町工場」に必要なことである。更に、工場には各種名言・格言が張り出されており、社員との意識の共有化も図られている。社長のリーダーシップと何でもやるというチャレンジ精神を高く評価したい。

  • レーザー加工機

  • 作業風景

コロナ禍で自社のあり方を再認識。
社内の足元を固め、夢を共有し、成長を加速。

コロナの打撃を受け。受注が止まり、新規案件も不透明に

2019年6月27日、国連が定めた「零細・中小企業デー(*)」の記念イベントに参加しニューヨークの国連本部でスピーチをしました。以前、経済産業省主催の事業で当社がプレゼンテーションした際に、国連の中小企業プロジェクトに携わる担当の方も出席されていて、関心を持っていただいたことがきっかけです。日本の中小企業を代表してスピーチできる大変名誉な機会となり、中小企業のものづくりや社会課題の解決について説明しました。訪米を機に、シリコンバレーなどにも立ち寄り、多くのご縁を得ました。国境を越えてものづくりの面白さやポテンシャルを再認識しました。

当社は中小企業の下請け体質からの脱却を課題とし、事業改革に取組み続けています。結果として、上記のような機会をいただくこともできました。改革後の業績推移は良好ではありますが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響については、弊社は取引をしている業界・業種・企業が多岐に渡っていることから、結果としてリスクが分散する形になり落ち込みの幅は比較的、少ないのですが、4月からじわじわと影響が出てきました。

お客様の生産が全体的に抑制されたことから、当社も製造を縮小。取引先によっては今期の先行きが不透明になったとして開発案件などが一旦延期にもなりました。また、オンライン会議の環境整備が整わないお客様とは打ち合わせがなかなか進まないといったことも影響し、7月くらいまでは仕事が止まったり延期になったりして、売上がダウンしました。

(※) 2017年(平成29年)4月の国連総会で制定。 国際デーの一つ。 英語表記は「Micro-, Small and Medium-sized Enterprises Day:MSME Day」。

今やるべきことは何か。 お互いに学び、より強靭な体質へ

こうした状況下、製造業の改革といえばDX(デジタルフォーメーション)関連の話題が中心となっています。しかし、パッケージを導入するのは誰にでもできること。それでは差別化できない。私は「人」こそが企業が競争力を得る源泉だという考えのもと、事業改革に取り組んでいます。

当社では普段からビジョンを全社的に共有できており、社員の思いも同じ。せっかくできた時間を活用して、今やるべきことをしようと社員からも提案が集まりました。各自のポテンシャルを引き上げる取り組みを行う時間を確保できたことで、普段当たり前だと思うことを見直し、視野を広げる活動ができたと思います。
座学の勉強会やお互いの仕事を理解し合うジョブローテーションなどはこれまでも行ってきましたが、じっくりと取り組むことにより、社員のコミュニケーションが一層潤滑になり、これまではできなかった資料作りを勉強して自らプレゼンを申し出る者などもいて、多くの社員の成長につなげることができました。

また、組織の見直しも行いました。一例では、営業機能と設計のエンジニア機能が入っていた設計開発部を細分化し、設計開発部は設計に集中する体制に。当社では20代後半から30代のセカンドキャリアの中途採用者が多く、彼らの対応力により実案件だけでなくお客様の困りごと相談を受けることが増えている背景もあり、それぞれがより特化して業務に集中できるような組織に変更したのです。
私自身も50代後半に差しかかり、当社の今後を託す人材を育てようと、決算が終わって新年度となった10月から副社長のポジションを新たに設けました。30代の2名が就任し、その下の管理職も30代、当社では58歳の私が最年長です。彼らは現場によく出て状況を把握し、毎週1on1ミーティングを実施するなどエネルギッシュに行動しています。

さらに、2020年7月から大手企業の幹部社員を当社に出向で受け入れています。大きな組織ではなかなか仕事全体を見渡すことは難しいですが、当社の規模なら視点や考え方が変わるという趣旨のようです。これは当社の社員にもよい刺激となり、町工場にはなかった視点や経験などを学べる機会となり、意欲を向上させています。今後、こうした出向の受け入れを増やしていく予定です。
人的関係を強く結びつけることで、ものづくりネットワークができていく布石となると期待しています。

社会に役立ち人々を笑顔にする会社を目指し、新たな課題に取り組み続ける

業界、業種、経歴などが異なる人たちが集まり2020年7月に開設した「Garage Sumida研究所」では、企業形態にこだわらない、ものづくりの可能性を広げる活動を推進していきます。
今まで上から下への一方通行であったサプライチェーン。売上げ・従業員数などの企業規模を超えたそれぞれの会社の強みを発揮出来る流れに変える。社会の変化がより迅速で多様化していく時代、狭いターゲットや地域などの社会課題に的確に対応していくには、小回りが効きゼロイチが得意な我々中小企業の出番がある。
中小製造業・大企業それぞれが得意分野の役割分担をして本当の意味での豊かで笑顔あふれる社会を実現していきたいと思います。
2021年11月には、墨田区の空き施設を活用し、「Garage Sumidaベンチャーラボ」を立ち上げる予定です。

創業以来ものづくりを続けてきた当社が時代の変化を乗り越えて存在して来られたのは、多くの方の支えや応援をいただいたこととともに、ものづくりで社会に役立ち、そして社員と家族をはじめ皆の人生と心が豊かになるように取り組んできたからだと考えます。コロナ禍でそのことを再認識したとも言えます。だからこそ、よりよい未来に向けて挑戦を続けるのです。
東京2020大会も人々を笑顔にする大きなイベントと認識し、地元東京の企業としても開催を心待ちにしています。

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