※企業概要は受賞当時(2007年)の内容です。
●ほとんど例がない中小製薬会社による日本発の新薬開発に、産学連携等を活用し見事成功したこと。
●対象疾患の患者数が年間200人程度と市場規模が小さく、大手製薬会社の開発参入が難しいなか、「社会に貢献する」という経営理念から新薬開発にチャレンジしたこと。
創業当初は泥状のシップ剤の製造から始まり、その後、成型のパップ剤や軟膏剤を手がける。平成2年にインドメタシン配合のパップ剤「インテナース」を製造販売し、業績を伸ばす。現在、医療用医薬品から化粧品まで幅広く外用剤を製造販売し、特に経皮吸収型消炎鎮痛剤では比較的高いシェアを確保している。
そして今回、大賞の受賞理由となった新薬開発は、1983年に東京大学薬学部の首藤教授がタミバロテン(Am80)を創製し、ガン細胞を正常に戻す新しい分化誘導能を認めたことが契機となっている。しかしこの化合物が対象疾患(急性前骨髄球性白血病)とする、日本における年間患者数は400~700人と少なく、大手製薬会社は費用のかかる新薬開発に二の足を踏んでいた。
そのような状況の中で、同社は「社会に貢献する」という経営理念から、市場は小さく短期的に大きな収益を見込めないが、新薬開発にチャレンジした。同社としても経口剤自体初めてであり、中小製薬会社が新薬開発に取り組んだケースは、ほとんど例がない状態である。結果は予定より少し時間を要したものの、見事に成功し、製造販売承認を得ることができた。今後はこのタミバロテンを北米、欧州などへの海外導出や抗がん剤などの新しい効能拡大を目指している。