政策提言・要望

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住宅・土地関係規制の緩和並びに住宅市場の活性化に関する意見

1999年9月28日
東京商工会議所

 わが国における住宅・土地関係の諸規制は、近年、国土や公共施設の整備が進み、また、建設資材の性能水準や工事・工法の技術水準が大きく向上したこと、さらに海外からの市場開放要求の高まり等を背景にようやく緩和の方向が見えてきている。この流れの中で平成7年度にスタートした規制緩和推進5ヵ年計画において、住宅・土地関係については「土地の有効利用、良質な住宅・宅地の供給促進、住宅建設コストの低減等を図るため、関係諸規制の緩和等を進める」との指針が示され、さらに、輸入建設資材等との関係で海外からの関心が強い基準・認証等関係については「国際的に開かれた経済社会を実現するため、基準・認証等制度の見直しを進める」との方向が明示された。以来、徐徐に緩和策が講じられてはいるが、従来の規制が厳しいだけに、相当大幅かつ早急に緩和を実施しなければ所期の目的を達成できないことは明白である。

 この意味で、昨年の建築基準法改正によって明年6月から性能規定が実施される運びとなったことは大きな前進であり、これを機に相互認証制度の導入など従来の懸案事項への対応がスピード・アップされるとともに、性能規定が適正に運用され、国民ならびに内外の企業に多くの便益がもたらされることを要望する。
 また、規制緩和と直接係わる問題ではないが、わが国が21世紀に向けて実現を目指し、規制緩和推進計画の基本ともなっている「自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会の構築」という視点に立ち、豊かさを実感できる住生活を具現化するため、今後の住宅関連政策において以下の方策を柱に、住宅市場の活性化を図ることが重要である。

提言



Ⅰ.住宅・土地関係規制の緩和

 
1. 建築分野における相互認証制度の導入並びに建築資材等の性能基準・性能試験方法に関する国際調和化の推進

 建築資材や建築方法等に関する外国検査機関、評価団体の認証を積極的に受け入れて欲しいという内外の要請に対応して、建設省と外国関係機関との間で相互認証制度の導入を目指した協議が行われているが、未だほとんど実現していないため、その速やかな導入を求めるものである。
 また、この問題に関連して、建築資材等の性能基準・性能試験方法について国際的に整合性を図ることが必要であり、ISO(国際標準化機構)での作業等を踏まえ、早期に国際調和化を進めることが望まれる。

 
2. 建築基準法の性能規定施行スケジュールの明示及び政令等制定の透明化

 平成10年6月の通常国会で建築基準法が改正され、性能規定(一定の性能を満たせば多様な材料、設備、構造方法を採用できる方式)が平成12年6月12日までに施行されることとなった。今改正は規制緩和の方向に沿った大幅な見直しであり、その適正な運用と実効性が大いに期待されるところであるが、施行令や施行規則の制定、告示にいたるまでのスケジュールが明らかにされておらず、また、その内容の多くが不明である。日本のみならず、諸外国の関係業界・機関が注視している問題であるとともに、与える影響も大きいので細心の配慮を以って円滑な実施を図られたい。

 
3. 地方公共団体が建築基準法に基づいて制定する条例の限定化及び関係情報の公開

 建築基準法では建築物の敷地などに対して最低必要限度の基準を定め、全国一律に運用するものとしているが、地方の実情によって法の目的が達成されない場合は、地方公共団体の条例によって制定しうる部分を設けている。
 もとより地方自治の原則は尊重されるべきであるが、地方の独自性を主張するあまり、法の趣旨並びに法運用の一貫性、均質性等を損なうような内容の条例が制定されるようなことがあれば、地元住民や企業に無用の混乱を招くだけである。従って、条例の制定は真に合理的理由と明確な趣旨に基づく場合に限定すべきである。
 また、条例を制定した場合には、その趣旨、内容、手続き等について情報を公開し、例えばガイダンスやインターネットなどによって必要な者は誰でも情報を得られるよう配慮することが望ましい。
 なお、条例文や細則における用語についても、地方毎、あるいは担当者によって解釈に相違が生じないよう統一化、明確化を図るべきである。

Ⅱ.住宅市場の活性化

 
1. 住宅ローン控除制度の期限延長及び住宅ローン利子の所得控除制度の創設

 住宅ローン控除は、昨年10月の総合経済対策で民間住宅投資の促進を図るという見地から、従来の住宅取得促進税制を大幅に拡充して実施された臨時措置であり平成12年12月に期限切れとなる。
 今のところ、景気の先行きは不安材料が多く楽観視できない状況であり、住宅投資も未だ本格化したとは言い難い。今後、住宅投資に息切れが生じないよう、また、臨時的措置であるがための不正な駆け込みが発生しないよう、さらには、本来の良質な住宅取得を引き続き促進する等の観点から、本措置の期限を延長すべきである。
 また、現在、わが国の金利水準は超低金利が続いているが、景気の回復に伴って、金利水準も上昇するような局面が到来した場合、より有効な住宅投資の拡大策として、米国で定着している住宅ローン利子の所得控除のような制度を創設する必要がある。

2. 定期借家権の創設

 現行の借地借家法は借家について、貸し手からの解約を強力に制限しており、高額な立退き料の提供がある場合などでない限り、いったん貸した住居の返還を求めることはできない。また、賃料改定についても継続賃料は上げ幅を抑制して決定される傾向が強い。このため、広い面積や多くの部屋数を持つ借家の著しい供給不足、借り手の回転の早いワンルーム借家市場の肥大化、諸外国と比べても異常に高い持ち家率など、住宅市場に大きな歪みを生じさせている。
 これらの状況を踏まえ、新規に設定する借家契約について、当事者の自由な合意により期間を定めることができる定期借家権制度を創設することが必要である。これにより生まれる透明な借家市場、対等な契約による市場原理は、多様な形態の借家供給を可能にするとともに、高齢者世帯の資産運用、住宅ストックの流動化、貸し手の供給マインドの活発化による選択肢の拡大・家賃の低下など、貸し手・借り手双方に大きなメリットをもたらすであろう。

3. 住宅リフォーム市場の整備

 住宅の量的充足の進展に伴い、住宅ストックを良好な状態で適正に維持・管理するとともに、住宅の居住水準の改善、さらに設備・インテリアの充実等の質的向上を図り、ストックを有効に活用することが住宅対策上大きな課題になっており、住宅リフォーム市場の整備は今後の重要な問題である。 住宅リフォームは、住み替えニーズに対応した健全な住宅市場の形成にも貢献し、また地球規模での環境破壊に対応して省資源・省エネルギーが求められているなかで、既存住宅ストックの有効活用は住宅産業分野における資源の効率利用にも寄与するものである。
 従って、住宅リフォームを本格的に推進するため以下の事項について関係機関・業界が積極的に取り組むことが望まれる。
  
1. 金融、税制による促進措置  
2. 消費者への情報提供体制の整備  
3. リフォーム技術の開発(部材の標準化、工事コストの低減化、構造・設備等の劣化状況診断技術やリフォーム工事特有の技術の開発)  
4. 住宅リフォームに関する人材の育成

4. 既存住宅の適正評価制度の確立と流通促進

 平成8年度の建設白書によると、日本の住宅の平均寿命(過去5年間に除却された住宅の平均)は26年であるのに対し、アメリカは44年、イギリスは75年と彼我に大きな差がある。その主な理由は日本の住宅評価において維持管理、リフォームに対する評価が欠如していることにあると言っても過言ではない。アメリカでは「実質築年数」という概念で、維持管理の努力で耐用年数も変化する、維持管理をきちんとすれば若返るという考え方が一般的である。
 日本では一律的に「経過年数」で評価し、その間の維持管理や手入れは殆ど考慮されない。結果として、日本の既存住宅の評価は曖昧になり、その流通においても正しく評価されず流通量も極めて少ないという現状である。今後の日本においては、質の高い住宅ストックを増やすことが重要であり、質の高さを評価する客観的な指標や評価が売買価格・賃貸価格に反映される仕組みづくりが不可欠である。
 既存住宅の適正な評価制度を確立することにより、

1. 住宅の流通量の拡大、
2. 住宅の維持管理技術の発展、
3. 建築物の性能を保持する技術の発展、
4. 住宅の寿命の長期化、
5. 住宅の選択肢の拡大、
6. 住宅金融の安定化

 など、多くのメリットがもたらされる。

以上
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東京商工会議所