会頭コメント

会頭コメント

米国との関税合意について

2025年7月23日
東京商工会議所

 このたび、米国との関税交渉が妥結に至ったことで、最大の懸案であった関税率を巡る不確実性が払拭されたことは、評価したい。困難な交渉の末に合意を取りまとめた政府関係各位のご尽力に深く敬意を表する。

 しかしながら、今回の合意により、相互関税および自動車・同部品に対する15%の関税が課されることは遺憾と言わざるを得ない。この新たな関税負担は、輸出企業のみならず、部品供給や物流などを担う国内サプライチェーン全体、とりわけ多くの中小企業の経営に影響を及ぼすことは避けられない。経済界に身を置く一社一社がこの難局を乗り越えるべく、一層の経営努力を重ねていく覚悟である。そして商工会議所としては、製品価格への転嫁やコスト吸収の実態、それが実体経済に与える影響を最大限に注視し、もってわが国経済の持続的な成長を下支えしていく所存だ。

 政府においては、合意内容の詳細を速やかに公表するとともに、今後想定される米国内の政策動向や、第三国の安価な製品が日本市場へ流入するなどの二次的影響にも万全の対策を講じていただきたい。その上で、価格転嫁の円滑化に向けた環境整備、サプライチェーンの強靭化、そして輸出先の多角化といった企業の懸命な努力を、強力な国内対策をもって後押しすることを強く求める。

 商工会議所としても、引き続き、特別相談窓口等を通じて、現場の声に真摯に耳を傾け、中小企業の経営支援に全力を尽くす所存である。

以上