「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針2024)の閣議決定について
東京商工会議所
今回の方針において、わが国が、新たな経済ステージへの移行に向け、成長型経済への転換を果たしていく意志と明確なビジョンを打ち出したことを高く評価する。新しい資本主義の実行計画(改訂版)の速やかな実施を図り、ビジョンを実現されたい。
成長と分配の好循環に向けては、生産性向上に裏付けされた物価上昇と、それを上回る所得向上を構造的・持続的なものとしなければならない。中小企業の生産性向上、付加価値創出は、「人」と「デジタル」への投資にかかっている。経営者自らによる自己変革へのチャレンジを促進するとともに、社員のリ・スキリングや省力化・省人化に対する政府の後押しを強く望む。
パートナーシップ構築宣言などによる取引適正化、価格転嫁の取組みを進めているが、これが商習慣化されるまでの道のりはまだ長い。将来に亘る健全な経済発展を目指し、付加価値創出による成長の果実をサプライチェーン全体で享受することが欠かせない。経済・社会の意識を変えていくことに、官民が一体となって一層努力することが必要である。
地域活性化に向けた政策の後押しにも強く期待する。地域の暮らしや社会を支える商業・交通インフラはもとより、歴史・文化や自然環境など地域特性に根差した各事業の価値は、経済合理性や効率性だけで測ることはできない。そうした事業を担っている地域の中小企業の生産性向上や円滑な事業承継などに対する支援を求めたい。
経済・エネルギー・食料、外交・防衛、防災・国土強靭化など、総合的に国と地方の安全保障体制を整備・強化していくことが求められる。国費・公費への期待は小さくないが、ワイズスペンディングと社会保障等歳出改革の徹底による規律を内外に示すことで、民間の予見可能性を高め、市場の信認を確保した財政運営が不可欠である。