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<エネルギー・環境委員会>
環境ビジネス展開支援 事例紹介

環境ビジネス展開支援 事例紹介

企業基本情報

事業者名
ジーニアアンドアーレイ株式会社
所在地
〒160-0022 東京都新宿区新宿1丁目4-12
主な事業内容
・照明システムの制御開発、販売
・二酸化塩素などの除菌システムの開発、販売
代表者
代表取締役 畑 宏芳
従業員数
11名
創業年
1999年4月
資本金
4,400万円
URL
会社沿革
1999年4月  ジーニアアンドアーレイ株式会社設立
       バイオメディカル事業を開始
2009年    衛生危機管理の新総合ブランド“Faster Buster”の立上
2009年    エレクトロニクス事業を開始
2011年8月  ジーニアアンドアーレイ鳥取株式会社設立
       LED照明の新ブランド“TERALUX”の立上

環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容

ハイパワー照明事業

400Wから500Wの水銀灯などのハイパワー照明の代替となるLEDを開発、営業を行っている。従来のLED照明と違い、前事業で培った半導体のノウハウを活用し、部品点数を少なくすることで製造コストを抑え、低価格で提供できるものとなっている。 一方で、一般的な蛍光灯や白熱灯の代替となるLED分野では、ユーザーの使い方により照明の形や利用方法が大きく異なるため、製品を標準化して販売することが難しく、事業展開を行っていない。



水素燃料電池の開発

現在、新たに補助金を取得し燃料電池を開発している。燃料電池の心臓部となるMEAが木炭を使用しており、ナノカーボンなどの従来品と比較して、低コストで製作することができる点が特徴である。しかし、従来品などに比べて効率は下がってしまうため、効率を抑えて使用しても問題ないターゲットに、安価で提供し普及させることを目指している。具体的には、ガソリン、軽油、灯油の発電機の代替を想定している。こうした機器は、室内で使用することができないため、避難所などでは室内で使用できる燃料電池のほうが有効である。
今年度中に開発を終え、既にスマートフォンの充電などへの低出力は可能となった。今後は、他の負荷機器にも対応し、実用レベルへの改良を行っていく計画である。

事業詳細

事業開始の契機

当初は、半導体の製作を行っていたが、開発コストが非常に高額になることから、違った分野へ事業領域を広げることが求められていた。その中で、電球より発光効率がいいというLEDの特徴には当初より注目しており、白色が実用化されたことにより、照明として本格的に使えると考え、2008年にLED開発に着手。2009年にLED販売を開始した。

事業拡大までの経緯


(1)事業展開の経歴

2009年に事業を開始した当初は、複数の理由により導入が非常に難しかった。主な理由を以下に示す。

  • 導入実績がなく、信用力が足りなかった
  • ハイパワー照明は導入コストが高い
  • LED照明に関するJIS規格や業界団体の指針などがなく、一定の規格化がされてないことから、他社比較が出来ず、製品の良さを伝えづらかった
2011年にLEDが広く認知され始め、東日本大震災の影響により、消費者の省エネの意識が向上し、導入実績が増えていった。しかし同時に、海外製品による不良品の多さや視認性の悪化(例:ちらつき)なども指摘されるようになり、LEDの評判が悪化していった。ジーニアアンドアーレイは、鳥取で製造販売を行うことにより日本品質にこだわっており、当初より視認性に注目していたため、多くの導入実績に繋がるようになった。

(2)他社との差別化

ファブレス工場化
製品の開発、部材の調達、工程・品質検査までを全てジーニアアンドアーレイで実施する、「ファブレス工場方式」をとっている。これにより以下のメリットがある。

・開発業務に専念できる
・機密情報が流出し、工場側で類似品を作る等の事態を防げる

こうしたメリットに加え、工場側としては部材の調達コストがかからないため、経営リスクを軽減することができる。ジーニアアンドアーレイは、中小企業の活性化や日本での製作に強いこだわりを持っているため、あえてこうした連携方法を取っている。

(3)現状の改善点

経営体力
中小規模のメーカーであるため、経営体力に合った仕入れ、製造を行う必要がある。連携している販売店も中小企業のため、経営状況の悪化による売上の未回収リスクなども考慮しながら、経営体力以上の注文を受けないようにしている。

これまでに直面した壁

  • 日本製の明確化
    LEDの多くが海外で製作され、日本で検品されているだけで、日本製とうたっている。そのため、海外製品と何も変わらず、粗悪品が流通し、LED市場の評判を落とすことに繋がる。消費者は見積や入札の要件に日本製のみを対象としている場合が多いが、上記のような日本製と称した製品を除外することは非常に難しい。
    そのため、今後は県産品もしくはメイドインジャパンの明確な規定を設けることで、実際に日本で造られたたものが普及し、日本企業の活性化などに繋がっていくと考えている。 
  • 資金繰り
    研究開発よりも、検査、認証などの費用が莫大になるため、資金繰りが安定するまでに時間を費やした。そのため、補助金や出資の受け入れ、融資の確保などにより、金銭的工面を行った。

今後伸ばしていきたい点

商品競争力をさらに強化していきたい。ジーニアアンドアーレイでは、営業を行う部隊はないため、多くの代理店と連携する必要がある。こうした代理店を通して、同じ思想を持ったパートナーを獲得し、開発へのフィードバックなどを通じて、商品競争力の強化へ繋げていきたいと考えている。

環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ

環境への配慮という良い看板を掲げているため、大手企業ですら製造地の偽りなどが多く起きる世界である。そのため、1つの商材だけで勝負するのではなく、様々な商材を組み合わせて事業を展開させていく必要がある。ものづくり系のベンチャー企業の数が増えてほしいと考えており、高品質なものを製作することがポイントと考えている。