東商からの重要なお知らせ

攻めの脱炭素事例集

山崎金属産業株式会社

金属製品製造業

サプライチェーンの一端を担う企業として
「選ばれる取引先」を目指し、脱炭素化を推進

山崎金属産業株式会社

  • 東商脱炭素“塾

事業概要と取り組みの背景

自社製造開始にあたっての環境マネジメント体制の構築

1893年、銅や真鍮を扱う店として創業以来、130年以上にわたって非鉄金属製品を提供してきた山崎金属産業。現在の取引先は、電気、通信、機械、自動車、造船、製薬、食品など数多くの業種に渡る。

顧客企業からの多様なニーズに応えるべく、2000年より商社としての機能に加えて、非鉄金属の加工ならびにバルクシステムの開発・製造を開始。製造事業への参入にあたっては、自社の「環境配慮」「品質管理」の高度な体制・プロセスを構築する必要があり、取引先の信頼を得るにはその証明が必要と考え、2003年1月に環境リスクの低減および環境への貢献を目指す環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」を取得(2004年6月には「ISO9001」も取得)。近年では、2020年に、グループ全体で、地球環境を保全するため、省エネ・省資源や資源循環などに取り組んでいくことを公表するなど、環境経営の取り組みを強化している。

2003年1月に「ISO14001」を、2004年6月には「ISO9001」を取得。

2023年11月、20年以上にわたる環境マネジメントシステムの認証維持を表彰された。

取り組み内容

東商脱炭素“塾”受講のきっかけ

環境経営に取り組む同社が脱炭素の取り組みを強化しようと考えたのは、取引先からの脱炭素に関する調査依頼が増えたことだった。主に自動車業界の顧客企業から同社におけるCO2排出量などに関する調査が2022年頃から顕著に増えたという。

自動車業界は、いち早く脱炭素化を推進している業界のひとつで、世界的にみても、自動車業界は電動化が加速するなど大変革期を迎えている。サプライチェーンの一端を担う同社としては、CO2削減に取り組まなければ、これまでのような取引ができなくなるかもしれない――。そんな危機感を持ち、2022年11月、脱炭素に向けた取り組みをスタートさせることにした。

山崎金属産業 代表取締役 社長 山崎洋一郎氏

山崎金属産業 代表取締役 社長 山崎洋一郎氏

最初にサプライヤーや顧客企業に対して、脱炭素に関するヒアリングを実施。「どんな取り組みを行っているのか?」「これからどのように進めていくのか?」などを調査したものの、各社ばらばらの取り組みで、結局何から始めればよいのか分からない状態だった。そうした中、脱炭素に関する体系的な知識を得るために「攻めの脱炭素“塾”」に企画部 部長の張金艶氏が参加した。

企画部 部長 張金艶氏

企画部 部長 張金艶氏

成果と今後の展望

東商脱炭素“塾”受講の成果

塾では、まず自社の現状を知るために、エネルギー使用量からCO2排出量を算出する方法を学び、自社でどのくらいのCO2を排出しているのか、その排出量を把握した。また、塾に参加していた他の企業ともお互いの排出量を共有することで、自社のデータと比較しながら情報交換することができた。その結果、同社工場の売上に対するCO2排出量は、他社と比べても悪いものではないことが分かったのも塾に参加した成果の一つとなった。

これら塾での学びを社内で共有するため、全社員を対象にした社内勉強会を開催。以降は、ISO活動として部門ごとに定期的に勉強会を開催し、脱炭素に関する知識のアップデートを図っている。

このほか、会社として再生可能エネルギーの利用を検討し、群馬工場に太陽光パネルを設置(2025年3月より稼働開始)。また、本社において省エネ最適化診断を受け、すべての照明をLED化するとともに、老朽化した空調設備を刷新した(2025年5月完了)。

太陽光パネル

群馬工場に設置した太陽光発電パネル

          

なお、同社は、2023年に続いて2024年も「攻めの脱炭素“塾”」を受講した。2年連続で参加した理由は、「脱炭素の取り組みを企業価値向上につなげるブランディングに興味があったから」と張氏は話す。2年目となった2024年度の塾には、新たに「環境ブランディング」コースが新設された。2023年の塾での学びを通じて、脱炭素だけでなく、環境問題に関するさまざまな取り組みを行っているにもかかわらず、発信できていないことを痛感。2024年の塾で「まずは取り組んでいることを着実に発信すること」というアドバイスを受けて、ホームページを全面リニューアルし、サステナビリティに関するコンテンツを新たに取り入れた(2025年6月公開)。リニューアルしたホームページでは、同社のCO2排出量のほか、環境配慮型製品を紹介している。

選ばれる取引先のカギは「脱炭素」

脱炭素に対する意識は業種によって大きく異なり、その対策も千差万別だ。最も危機感を持って取り組んでいる自動車業界では、今後、取引先の選定には「価格」や「納期」だけでなく「CO2排出量」も重要な要素となりつつある。同社は「選ばれる取引先」を目指し、脱炭素化に向けた取り組みを加速していく考えだ。今後は、カーボンニュートラルやカーボンフリーの製品の提供を拡充させるとともに、積極的に情報発信を行い、脱炭素社会の実現に向けて貢献することを目指していく。

「NoCO2 420(ノココ)」シリーズを製造する時に使用するスウェーデントーチ

総務部 部長 山﨑勝朗氏

これから取り組みを始める方へメッセージ2050年以降も存続できるように今から準備を

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、さまざまな政策が策定・公表されています。もしかすると、2050年以降は、CO2排出量が多い事業者は存続できなくなる、そんな可能性もないとはいえません。我々のビジネスがこれからも持続できるように、今から準備を進めておかなければならないと思っています。一方で、脱炭素の取り組みは、皆が住みやすい社会・環境にしていくことが最大の目的であり、新しい取り組みを皆で知恵を出し合って創り上げていく「共創」の発想が重要だと考えています。当社も努力・挑戦を続け、得た知見は積極的に発信して社会に貢献していきたいと思います。

山崎金属産業 代表取締役社長 山崎 洋一郎

山崎金属産業 代表取締役社長 山崎 洋一郎

私自身、「脱炭素」という言葉にハードルの高さを感じましたが、あまり難しく考えず、まずは自分たちがどういう状況にあるのか。どのくらいCO2を排出しているのかなど、現状を知ることから始めてみることが大事と気づきました。「どこから手をつけたらいいのかわからない」という事業者の方には、「攻めの脱炭素“塾”」をおすすめします。

企画部 部長 張 金艶

企画部 部長 張 金艶

総務の立場からいえば、できるところから始める。それが脱炭素対策です。LED化も空調の入れ替えも初期投資はかかりますが、長期的にみればカーボンニュートラルやコスト削減につながります。これからも設備関係を中心に、できるところから一つずつ取り組んでいきたいと考えています。

総務部 部長 山﨑 勝朗

総務部 部長 山﨑 勝朗

山崎金属産業株式会社

本  社 東京都千代田区岩本町1丁目8番11号
代表者名 代表取締役社長 山崎洋一郎
設  立 1893年
従業員数 110名(2025年3月現在)
事業内容 非鉄金属の素材・加工製品の製造販売

東京商工会議所事業の活用等

  • 2023年度東商脱炭素“塾”「金属製品製造業」クラスに参加
  • 2024年度東商脱炭素“塾”「環境ブランディング」コースに参加
     東商脱炭素“塾”とはこちら

取材:2025年5月

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