政策提言・要望

政策提言・要望

デフレ克服と行財政・社会保障・税制の改革の方向~活力ある日本の創造に向けて~

平成16年1月15日
東京商工会議所

(本文)

【1.現状と課題】

1.新しい経済社会システムの構築

わが国経済は、バブル崩壊後十数年に亘って低迷を続けている。これは基本的には戦後の日本の目覚しい発展を支えた経済社会システムが行き詰まり、あるいは制度疲労を起こし、新たな構造変化に対応できなくなっているからである。このため、経済のグローバル化と中国等の追い上げによる大競争時代の到来や少子高齢化が急速に進展するという環境変化に対応できる新しい経済社会システムの構築が求められている。

出生率1.32 (2002年度実績) で今後も推移すると、少子化は確実に進展し、このままではわが国の経済社会の活力の低下は必至である。2007年から人口は減少をはじめ、2025年には、本格的な人口減少・高齢社会に突入する。それまでに、産業構造の再編や経済の制度・慣行の変革を進めることは勿論、わが国の経済社会のシステムを少子高齢化社会に適応でき、かつ、相応の豊かさと活力を維持できる仕組みに変えておく必要がある。すなわち、政治や行政の仕組みは「国から地方へ」「官から民へ」の流れを促進し、行財政改革の徹底により「小さな政府」と「真の地方分権」を実現し、社会保障制度も負担と給付のバランスが取れた持続可能な制度に再構築していかねばならない。また、税制についても、わが国企業の国際競争力の維持など経済活力の観点に立った税制改革が求められる。

2.デフレの長期化

しかしながら、現下の経済状況をみると、バブル崩壊による資産デフレを中心としたデフレの長期化によって、特に地方や中小企業は疲弊しさらに税収の減少から財政も悪化している。他方、高齢化の進展に伴い、年金・医療・介護等の社会保障給付費は着実に年々増加を続けており、既に破綻に直面している。
資産デフレは依然として歯止めがかからず、日銀による「量的緩和策」によるベース・マネーの大量供給も実体経済の回復にはつながらず、マネーサプライは低調である。デフレと不況の進行により、可処分所得は低下し、消費の回復は当面望めない状況にある。しかも財政部門も歳出削減による再建を急いでいるため、総需要不足に拍車をかけ、景気回復の足を引っ張っているのが現状である。

3.外需主導型の景気回復の脆弱性

最近、株価の反転やリストラ効果による企業収益の改善等景気に明るさが出てきているが、それは主として米国等の好況に支えられされた外需主導による景気回復であり、非製造業部門や特に中小企業・地方経済は依然として停滞したままである。一方、牽引車の米国経済は双子の赤字の拡大といった矛盾を深めており、外需に依存した景気回復は、脆弱な基盤の上に立ったものである。既にドル安円高は進行しつつあり、先行きへの警鐘を鳴らしている。今の明るい兆しを景気全般に拡げ、かつ持続的なものにするためには、内需拡大への切り換えを急ぐ必要があるが、上述のようにデフレ継続下では、内需に火がつくことを期待することは著しく困難である。従って、当面は金融政策のみに頼るのではなく、減税を含む財政政策が需要の創出、拡大に積極的な役割を果たすことが必要である。縮小均衡ではなく、拡大均衡の発想で財政運営を行なうことが、内需主導の景気回復路線の復帰のために必要不可欠であり、また、景気回復に伴う税収増を通じて長期的な財政負担の軽減にもつながり、プライマリーバランスの均衡化にも資することに思いを致すべき時である。構造改革を成功に導くためにも、「景気回復なくして構造改革なし」を肝に銘じ、何よりも優先してデフレ克服に取り組むことが将来の活力ある日本の再生に向けての王道である。

いずれにしても、わが国の経済社会構造はグローバル化・情報化で変革を余儀なくされ、さらに将来には、少子高齢化など大きな変革の波が押し寄せようとしている。こうした中で、社会保障制度の持続性への疑問、巨額な財政赤字の累積、地方経済の疲弊、伝統文化や倫理観、勤勉さなど日本人本来の美徳の喪失、教育の荒廃、凶悪犯罪の増大など、21世紀の入り口にあるわが国が抱える問題は多様で大きい。特に、長期にわたりデフレ経済が続く中で、いわゆるフリーターや学卒無業者が増加している状況は、若年者自身の適切なキャリア形成の妨げとなるばかりでなく、将来的にはわが国経済社会を担うべき人材の不足や失業者の増加をもたらし、経済活力の低下や社会不安を招きかねないなど、日本の将来にとっても大きな問題である。従って、政治の強力なリーダーシップの下、現在の行き過ぎた個人主義を是正し、「権利主張型社会」から「責任分担型社会」への転換を図るなど、国民一人一人の潜在力を引き出す環境整備に、官民が協力して着実な取り組みを開始することが喫緊の課題である。

【2.対策と改革の基本的考え方】

わが国が直面する課題への対策と改革の基本的考え方は、次の4点が極めて重要である。

1.早期のデフレ克服と内需主導の安定成長路線へ

まず、早期に現下のデフレ経済から脱却し、内需主導の持続的景気回復を実現して、安定的な税収確保の環境を整備することが先決である。そして安定成長が確実となった時から、ある程度の時間をかけて着実に財政均衡を達成して行く実現可能な工程が示されなければならない。

1国の経済活動の総合的物価指数であるGDPデフレーターは、1998年度以降マイナスが続いており、2002年度からは2%を超える下落幅となっている。このデフレをもたらしているのは、1997年頃から存在するデフレギャップ(マイナスのGDPギャップ)である。足元の潜在成長率を最近の諸調査による1%程度とみても、GDPギャップ(=(現実のGDP-潜在GDP)/潜在GDP×100)は-3%程度と見られる。これを前提にすれば、2004年度から3年間の実質GDP成長率を2.5%以上に維持することができれば、このデフレギャップは次第に縮小し、2007年度には解消しデフレを克服することが期待される。

現在のデフレ経済は、民間や政府が構造改革を推進するなかで、供給面でのスリム化は進んでいるが、その結果として需要面での縮小が新たなデフレ圧力となっている。足元では、米国の経済回復等から外需が伸び、これがわが国経済に明るさを与えている。しかし、この外需依存の成長は円高の高進など持続性に難点があり、不安を抱えている。明るさが見えている時こそ、少ない財政支出で大きな効果が期待できることから、この機会を逸することなく景気回復を確実にするために、政府・日銀は思い切った財政出動と金融緩和により、わが国経済を持続性のある力強い内需主導型経済成長に乗せることが大切である。すなわち、少なくとも今後3年間は、近視眼的な単年度均衡の早期回復を目指すのではなく、デフレ脱却のための「集中再生期間」として、効率的で積極的な財政出動をまず、実行すべきである。急がば回れである。

2.持続可能な社会保障制度の構築

国民生活の将来不安が払拭されなければならない。そのためには社会保障制度の持続性を確保する必要がある。人々は老後の生活に一番の不安を抱いている。間違いなく訪れる人口減少・高齢社会には、現状のままでは、社会保障制度が崩壊するのは必至である。まず、これを抜本的に見直し、国民の誰もが老後の生活に不安を抱かないための最低限の支援(シビル・ミニマム)を国が保障する仕組みにすることが必要である。

団塊世代(1947~49年生まれ)が退職(約500万人)を迎え始める2007年頃から、年金・医療・介護などの費用がすでに急増を続けている社会保障制度への圧力がさらに増大し始める。他方、国民年金保険料の未納者は38.2%(2002年度)に達しており、公的年金を含め社会保障制度の持続性への不安が高まっている。この将来不安解消には、給付水準の50%以上の確保を前提に、政府は社会保険料の18.35%上限まで段階的な引き上げを計画する一方で、将来の社会保障給付費の公費負担を消費税引き上げで賄うという議論が多方面でなされている。しかし、年金給付の削減など抜本的な改革の展望のないままに、社会保障制度の財源確保のために国民負担率の増大となるのであれば、持続性ある制度改革とは言い難い。将来を見すえた整合性のある制度改革をまず急ぐべきである。そして、改革の実施はデフレ克服後に進めるべきである。

3.地方経済社会の再生

地方経済社会の衰退を止めなければならない。地方は工場の海外移転による空洞化や公共投資の削減で、このままでは壊滅状態になる。行政依存型の全国画一的な産業構造から脱却し、地方に特色ある技術や伝統・地域文化に根ざした地場産業の再生が喫緊の課題である。そのためには、産学連携の一層の推進により、地域の様々な資源の活用を図り、新技術・新産業を創出すると共に、道州制への順次移行や税源移譲を含めて地方の自立と個性ある発展を実現する「真の地方分権体制」への転換が必要である。

4.貿易・投資の更なる自由化・円滑化の推進

貿易・投資の更なる自由化・円滑化を積極的に推進する必要がある。通商交渉においては、WTO交渉が難航する一方で、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の拡大が世界的潮流となっている。日本がその潮流に乗り遅れると、通商分野等での競争力が低下し、深刻な影響が出かねない。また、EPA/FTAの枠外にいることのデメリットを回避するため、海外への生産シフトが加速され、産業空洞化がさらに深刻化するおそれがある。

日本としては、幅広い分野の経済連携を強化するEPAを推進すべきであり、その早期実現によって、日本企業のビジネスチャンスを拡大し、産業の競争力を強化して、日本経済の活性化を図る必要がある。特に、日本は戦略的な視点から、世界の成長センターである東アジア諸国を当面のターゲットとして、積極的に取り組むべきである。

【3.対策と改革の方向】

このような景気対策と改革の基本的考え方により、本格的な少子高齢社会を迎える2025年頃までに「活力ある日本」を創造するためには、次のような方向で改革を進めるべきである。

1.デフレ克服のための景気対策

2004年度より2006年度までの3年間をデフレ脱却のための「集中再生期間」とし、地方の活性化、都市再生、国際競争力強化に資する経済効果の高い社会資本整備と、住宅税制、証券税制を中心に景気浮揚効果の高い政策減税を実施する。

(1)公共投資の重要性を再認識する

公共投資の基本は、都市再生関連のインフラ整備やIT投資など、国全体の効率性や生産性向上につながる社会資本整備の必要性にある。従って特に、地方では地方都市再生、自立的発展のための社会資本整備や既存ストックの有効活用、構造改革特区など地方活性化に重点を置くといった木目細かな政策配慮が求められる。

さらに、公共投資は景気浮揚効果の点からみれば、直接需要を創出し、即効性や波及効果が最も期待できる政策手段である。公共投資の景気へのインパクトは、近年、乗数効果が縮小しているといわれるが、下表のとおり乗数効果は所得税減税と比べても効果的で即効性がある。

<景気対策の乗数効果(倍)>

  1年目 2年目 3年目
公共投資を実質GDPの1%分拡大 1.14 1.13 1.01
名目GDPの1%分を所得税減税 0.48 0.63 0.58

(出所)内閣府

公共投資(政府の建設投資額)は、1990年度以降に数次の経済対策で取り上げられたことから、毎年増加し1995年度には35兆円に達した。しかし、1999年度以降は減少に転じ、2002年度には25兆円にまで減少している。現状では2003年度も、前年度比8%程度の減少となる見通しである。今後についても政府は、国については3%、地方は5%程度の縮減方針である。長期的には、公共事業依存型から民需依存型の経済構造に変えることが必要だが、現在のデフレ下での公共投資の削減は、逆にマイナスの乗数効果が働くため、景気回復の足を引っ張ることになる。今後3年間は、むしろ少子高齢社会を控え、供給余力のある時に整備しておくべき社会資本の充実に向けて、公共投資の前倒しによる実施がなされるべきである。

公共投資に対しては、財政危機等の元凶との批判があるが、1998年度以降は建設国債が減少する一方で、赤字国債が急増している。2002年度の国債発行額30兆円の内訳をみれば、2002年度(当初予算)では建設国債が7兆円弱に対し、赤字国債は23兆円超となっている。これは、社会保障給付費等の消費的経費の増大によるものである。

なお、公共投資を真に必要で効果的な投資が確保されるよう、既存の公共事業計画の見直し・中止、政策評価制度に基づく事業評価の徹底、地方交付税や補助金制度の見直しと税財源移譲の三位一体改革の推進などによって、実効性を担保すべきことは勿論である。

(2)住宅投資を前倒しで推進する

成熟段階に達した日本経済の中で、住宅事情はなお質の面でも安全性の面でも不十分な状況にあるのが実情である。住宅投資は民需主導の経済成長の担い手として期待される。一方、住宅投資は、耐久消費財の購入等その波及効果を含めると、最終需要額は約2倍となるなど需要創出効果も高い。例えば、住宅産業界の雇用者は推定300万人であり、10万戸の増加で約24万人の雇用増になると試算される。

まず、新耐震(1980年)以前の住宅が全国で2100万戸程度あり、防災対策上もその建て替えを促進していく必要がある。例えば10年間の時限立法によって、ここにあらゆる施策を総動員し、住宅の建て替えを促進すべきである。

さらに、都市における密集市街地の整備を促進する必要がある。これは、政府の都市再生本部が決定した「密集市街地の緊急整備(2001年12月4日)」によって、東京と大阪でそれぞれ6000 ha、全国で約26000haについて今後10年間で最低限の安全性を確保することが謳われている。これを前倒しで強力に推進すべきである。

(3)住宅税制を改革する

上記住宅投資の促進のためには、税制が重要な役割を果たす。従って、以下のような実効性の高い税制改革を実施すべきである。

① 現行の住宅ローン減税(500万円の最高減税額)の延長。

② 住宅の住み替えなどを妨げる不動産取得税の廃止、登録免許税の手数料化、住宅に係る消費税の軽減。

③ 住宅ローン利子の所得控除制度を早期に導入。

④ 優良な賃貸住宅建設への加速度償却も含めた投資減税を実施。

とりわけ、住宅ローン利子の所得控除制度は、住宅投資額が大きいほど節税効果が大きくなることから、家計部門による資産価値の高い優れた住宅への投資拡大を促進し、現在のような経済全体の閉塞状況ではもっとも効果的な景気対策と考えられる。さらに、将来、金利が上昇する局面においても、金利負担の増加により住宅建設時の生活設計にひずみ等の悪影響を軽減できる。

2.経済活力維持のために必要な構造改革

以上のデフレ克服策を優先実施する一方、中長期の構造改革を成功に導く ために、市場面の構造改革と制度面の改革を並行して進める必要がある。

(1)市場の効率化のための抜本策

①生産性の向上

さらに、中長期的な対策として、人口減少下における経済成長を持続するためには、生産性の大幅な向上を図ることが不可欠である。このためには、教育による人的資本の質の向上はもとより、民間においては、技術革新や新商品・新事業の開発の推進、IT活用による生産性の向上に努め、政府においても、イノベーション促進のための予算・支援の重点配分を行うべきである。そして、生産性の高い産業分野の発掘・育成とそれへの労働人口の再配分、さらには、都市再生など生産性の高い社会資本投資・インフラ整備も必要である。こうして、国民1人当りGDPを2025年まで持続的に増大させることが目指されるべきである。

②労働力確保

さらに、人口減少・高齢化の進展に伴う労働力減少への対応が必要である。現状のままでは、労働力人口(15歳以上人口)は2000年度6,689万人から2015年には6,572万人に、2025年には6,188万人にまで減少する見通しである。このため、高齢者の有効活用や女性の労働力率(2002年度は48.5%)の引き上げとともに、外国人労働者については、わが国の産業・経済の活性化・高度化に資する高度人材の受け入れを増大する対策を講じるとともに、経済社会や国民生活に欠かせない重要な分野における労働力不足解消に向けた単純労働者の受け入れ促進策についても前向きに検討する必要がある。その際、送り出し国との協定の締結による出入国管理の徹底のみならず、子女の教育・医療など外国人労働者の総合的な受け入れ体制を整備する必要がある。

③二国間・地域間EPAへの積極的な取り組み

貿易・投資の更なる自由化・円滑化を図るために、WTO交渉の進展・妥結に尽力する一方で、二国間・地域間EPAの締結を、戦略的に推進すべきである。特に、わが国にとって、地理的優位性を有し、貿易・投資面等経済関係の基盤が強固な、成長センターである東アジア諸国とのEPAは、さらなる市場拡大等をもたらし、日本経済の活性化にとって極めて重要である。この観点から、メキシコに加えて、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアとのEPAの早期実現に努めるとともに、ASEAN地域を対象としたEPAを実現させ、さらに東アジア地域全体で一層の連携強化を図る必要がある。

ただし、EPAによって、一部の中小企業や農林水産業は、輸入品との競合で経営環境が厳しくなるおそれもある。そうした影響に配慮して、EPA実現に当たっては、輸入の急増に対処するための緊急輸入制限等のセーフティネット対策を準備しつつ、必要により、WTO上認められている原則10年以内の移行期間の活用や経過措置の設定等による対応が必要である。

加えて、EPA推進をきっかけとして、中小企業や農林水産業の構造改革を促進し競争力強化を図るため、中小企業対策の一層の拡充・強化はもとより、農業分野では、例えば、大規模農業経営者等への直接所得補償の導入を含めた政策的支援の重点化・集中化を図る等の政策展開を推進すべきである。

(2)制度の抜本改革

①行財政改革

ⓐ国のかたちを改革する

「国から地方へ」「官から民へ」の流れを促進することにより、これまでの「中央集権体制」から、地方が主役となる「真の地方分権体制」へと大きく転換することが必要である。「補完性の原則」に則り、国と地方の役割分担を明確にし、国は地方ではできないもの、例えば、外交・防衛・司法・通貨などの国家基盤の運営維持や、通商・国の保全・教育・エネルギー政策など国家基本政策分野、社会保障などナショナル・ミニマムの設定とその財源確保、基幹的社会資本整備などの国家プロジェクトなどに限定すべきである。

地方分権を担うには、それにふさわしい行財政基盤の強化が必要である。このため、基礎自治体の規模と能力を、再編・統合により強化し、「自立し得る自治体」を整備することが前提となる。さらに、行政の効率化を図るため、合併特例法の期限である2005年以降、条件が整った都道府県から順次、合併や広域的な地方公共団体としての道州制に移行していくことが望まれる。

ⓑ税財源と地方債を改革する

国と地方の役割分担の改革と共に、それと表裏一体を成す中央集権的な財政構造を変えることが必要である。すなわち、身近な公共サービスに対しては、その受益者である地域住民が直接負担するシステムを確立しなければならない。さらに、地方の社会資本整備も、地方が本当に必要とするものを、地方独自の判断で行う仕組みにする必要がある。

このため、地方が主体となって行うべきものについては所要の税源移譲を 行い、課税自主権を拡大する一方、現行の国庫補助負担金は最終的に廃止し、地方交付税も抜本的な見直しが必要である。

地方債は、地方が自己責任の下で自由に発行できるようにすべきである。  このためには、現行の地方債許可制度は協議制へ移行するとともに、公募地方債の市場整備や公正な評価メカニズムの構築が図られる必要がある。

ⓒ大幅な歳出削減を実現し小さな政府へ

税の自然増収だけで財政赤字の解消など政府の抱える財政不安を払拭することは極めて困難であり、聖域を設けない歳出削減が必要である。このため、日本経済が名目で2%成長の安定成長軌道に乗った段階で、効率的で小さな政府への流れを加速することが必要である。例えば、社会保障給付もわが国経済のデフレ克服が明らかとなる時点で(積極的な景気対策を実施した場合は2007年度)は大幅な給付の抑制がなされるべきである。さらに財政の効率化を達成するためには、地方への税源移譲による真の地方分権化、官から民への業務移管を含む思い切った規制緩和、公務員数の大幅削減などを、政治の強力なリーダシップで実行することが必要である。特に現在、特区に限って進められている規制緩和については、その効果や影響を吟味し、問題の無いものについては、全国展開を認めるようにすべきである。

具体的な歳出削減としては、

公共投資は、一律の削減ではなく、ばらまき型の配分を排除し国際競争力の強化や経済の効率化に資するインフラ整備に戦略的に重点配分することが肝要である。

人件費は、公務員定数削減を、国家公務員については独立行政法人化での削減を除いて相当の純減となるように努力すべきである。地方公務員についても、市町村合併や、業務の民間委託、NPOとの協働を通じて、相当程度の削減が実現される必要がある。

独立行政法人、特殊法人や外郭団体についても、業務内容を徹底的に見直し、統合・廃止・民営化を進めていくことにより人員の削減を図っていく必要が  ある。同時に、特殊法人改革は特別会計の徹底した外部監査・情報開示と一体で行う必要がある。

②社会保障制度改革

ⓐ公的年金制度を再構築する

公的年金制度は、世代間の給付と負担の不均衡拡大や現役世代の年金不信により国民年金の空洞化などの問題が深刻化している。さらに、少子高齢化の進展から、「賦課方式」はすでに破綻しつつあり、安定的かつ信頼性の高い国民年金制度は維持できない。このため、制度設計の基本を「給付水準」だけに置くのではなく、「負担の限界」も十分に踏まえて、国民や企業に受け入れ可能なものに再構築すべきである。

厚生年金は強制加入の制度であり、保険料は実質的な賃金課税に等しいことから、経済活力維持のためにも年金保険料率は現行水準(13.58%)以下に止めるべきである。この保険料抑制のためには、給付水準の削減が必要であり、既裁定者についても、ある程度の激変緩和措置を講じつつ、現役世代の負担との公平性確保の観点から、削減の例外とすべきではない。また、約150兆円(2002年度末)の厚生年金保険・国民年金の積立金残高は、将来に向けて計画的に取り崩し、これを若年世代の負担軽減に充当すべきである。

基礎年金は、厚生年金とは完全に分離して、国民に対する国の「シビル・ミニマム」保障と位置付け、その財源は現行の社会保険料ではなく、全額国庫負担によるべきである。その給付方法や水準も、シビル・ミニマムの観点から、国民一人一人の資力に応じた仕組みとすべきである。

ⓑ国民医療費の伸びを抑制し、持続可能な医療制度に改革する

老人医療を中心に国民医療費が急増しており、既に医療保険財政は著しく悪化している。これを放置すれば、本格的な高齢化やさらなる医療コストの増大から、保険料の引き上げは必至となり、国民負担や企業負担の際限ない上昇が懸念される。従って、出来高払いから包括払いへの移行を中心とする診療報酬体系や公的医療保険の守備範囲の見直しなどによる医療費の適正化、医療提供体制の見直し、保険者機能の強化、混合診療の解禁、株式会社による病院経営などの規制緩和の促進、国公立病院の民営化を含めた地域の医療機関相互の競争の促進、医療情報のIT化、予防医療の推進などにより、国民医療費の増大に歯止めをかけ、持続可能で質の高い医療サービスを国民に安定的に提供できる制度の確立が必要である。

特に、高齢者医療制度は、現役世代の保険原理を歪めている老人保健拠出制度の廃止に向けて、その道筋を明確に示すとともに、退職者医療制度もその存在意義を見直すことによって、公平な負担に基づく新たな高齢者医療制度の実現が必要である。

ⓒ介護保険財政の安定化と市場機能の活用

将来に亘る介護保険財政の安定化のためには、高齢者(特に後期高齢者)の増加と介護保険制度の普及・定着により急増が見込まれる介護保険費を出来る限り抑制する必要がある。そのためには、医療保険との適切な機能分担による介護保険の効率的な制度設計と運営、事務コストの削減などを図る必要がある。

一方、質の高い介護サービスが提供される環境整備として、介護報酬の見直し、ケアマネジメント機能の強化、介護人材の資質向上などを図るとともに、介護サービス分野への民間事業者の参入を更に促進し、市場機能を通して民間の創意工夫が活かせる供給体制を確立すべきである。

ⓓ雇用保険制度を再構築する

今後の雇用保険制度は、産業構造の変化や、就業形態の多様化、少子高齢化などの環境変化の中でも持続的かつ安定的に運営できるよう、給付と負担のあり方を抜本的に見直し、制度を再構築することが必要である。

しかし、雇用保険料の安易な引き上げは、企業の国際競争力を損ない、かえって雇用の維持・創出を阻害するものである。給付の内容・水準、給付対象者の範囲などを抜本的に見直すことや、民間活用を含めた抜本的な見直しによって、雇用保険三事業を整理統合・重点化することが必要である。

③税制改革

ⓐ経済活力の観点に立って税制を改革する

まず、デフレ克服のために、国民の消費や企業の投資に対する意欲を引き出す税制を整備することが必要である。

次に、経済を活性化させ、国際競争力を維持強化するため、地域経済を支える中小企業の体質強化と活力増進につながる税制改革が必要である。

ⓑ社会保障制度の抜本的改革に対応した税制へ

公的年金制度は、今後の厳しい年金財政と世代間の不公平是正の観点から、年金給付や税の優遇措置について思い切った見直しを行うことが必要である。さらに、これに合わせて、今後役割が増大すると予想される企業年金に対する税制の優遇措置が講じられるべきである。

なお、増大が予想される社会保障給付の追加財源として消費税率の引き上げの意見が見られるが、現在のような経済情勢が続く中での消費税率の引き上げには反対である。将来の国の形として、社会保障費全体の姿とそれを負担するための財源として、法人税、所得税等の増減税を含めての税体系全体を論じる中で消費税も検討対象とすることは避けて通れないが、まず持続的な経済成長を確実にし、財政構造などの改革が着実に実施されるべきである。

ⓒ適正かつ公平な課税と簡便・効率的な納税申告制度を実現する

納税者の負担軽減と徴税などの効率化による行政コスト削減のため、現在国税と地方税、税と社会保険料に分かれている徴収体制を一元化すべきである。さらに、電子申告・納税による納税申告制度の簡便化、スピード化を推進し、個人情報遺漏防止に万全を図った上で、納税者番号制度の導入も検討されるべきである。



【4.対策と改革の具体的提言】

そしてこれらを実現するには、次の対策を柱とする景気対策、及び行財政・社会保障・税制改革の方向付けと着実な実行が必要である。

① 2004年度から2006年度まで3年間をデフレ脱却のための「集中再生期間」として、実質成長率で2.5%以上の経済成長を達成できる追加財政出動を行う。2004年度の財政支出については少なくとも2002年度並とする必要がある。

② デフレ解消を確認する2007年度から政府支出(含む公共事業)の削減を進め、2025年度には2003年度の水準に比べて実質で2割減とする。

③ 税源移譲を2006年度からスタートし、その後漸次進めて、国と地方の税収比率を2002年度の6対4から、2025年度には4対6に逆転させる。

④ 市町村を人口30万人、300市程度に集約し、その後2025年度までに道州制へ順次移行。国庫補助負担金は2025年度までに全廃。地方交付税交付金は一部を地方間の財政調整の財源に移行、残りは2025年度までに廃止する。

⑤ 公的年金は、全給付を2007年度から総額で15%削減しその後は賃金上昇にスライド。基礎年金は2007年度までに国庫負担割合を1/3から1/2に引き上げ、2010年度から全額国庫負担とする。厚生年金は基礎年金と完全分離し、保険料は現行水準(13.58%)を2025年度まで据え置く。年金積立金は2050年度まで計画的に取り崩す。

⑥ 医療費は、2025年度まで一般医療費全体の伸び率を国民所得の伸び率に抑制する。

⑦ 高齢者の有効活用や女性の労働力率(2002年度は48.5%)の引き上げと共に、外国人労働者についても高度なスキルを有する者などを中心に選別的な受け入れを増大する対策を講じる。

1.デフレ克服のための景気対策(2004年度より3年間継続)

(1)公共投資等(必要で緊急性の高い社会資本整備)

① 従来の社会資本投資の一律の事業や地域配分にこだわらず、地方の活性化、都市再生、国際競争力の強化に資する質の高い必要な社会資本の整備を優先し、かつスピードを持って推進する。その際、民間の知恵や力を活用し、費用も低く良い物を作るとともに、公共側の収入(税、地代、家賃等)も選定基準とするなど民間側の参加意欲を高めるようなPFI手法を積極的に活用すべきである。

② 具体例としては以下の項目。

l 結節することによって経済効果の高まる地方主要幹線道路網や首都圏環状道路の早期完成

l 発着処理能力の限界により内外航空運輸体系上のボトルネックとなっている空港の早期拡張整備

l 国際競争力強化のための観点からプライオリティーの高い国内主要港湾の整備

l 電線の地下埋設、公共施設の耐震構造の強化や都市機能のリスク分散体制の構築など防災対策上緊急を要するインフラの整備

l インバウンド・ツーリズムの拡大のための受入インフラ(「交通案内板」の外国語表記、「インフォメーションセンター」の設置など)の整備

l 自然護岸などの環境回復型インフラ整備

l 情報通信インフラ整備

l 保育所の整備や公共施設のバリアフリー化の早期推進などの少子高齢化対策事業

l バイオなど新規需要の創出・産業競争力の強化に向けた科学技術振興事業

l 構造改革特区などに関連した地方の活性化に結びつく事業

(2)政策減税等

① 住宅税制

l 現行の住宅ローン減税の延長と2戸目住宅等への適用拡大

l 持家・新耐震以前の住宅の建替え(補助金1戸200万円×40万戸、8000億円)

l 賃貸住宅への投資減税(投資額の5%の税額控除14万4千戸、827億円)

l リフォームへの税額控除(投資額の5%の税額控除、19万戸、469億円)

l 住宅ローン利子所得控除の導入(現行の住宅ローン減税との選択制)

② 証券税制

2003年度中に取得した上場株式等について、以下の措置を講じる。

l 相続税評価を1/2に軽減

l 所得税・住民税の譲渡益・配当の非課税

l 譲渡損失について給与・事業所得を含む他所得との通算を可能とする

2.行財政改革

国主導、官主導によるこれまでのわが国経済社会運営の仕組みを大胆に見直し、「効率的で小さな政府」を目指すべきである。これについては、次の点を中心に、日本商工会議所・東京商工会議所の提言「行財政改革に関する考え方」(2003年10月16日)の実施を求める。

(1)国のかたちの改革

① 市町村合併の推進で、人口30万人・300市程度の基礎的自治体に再編する。

② 基礎的自治体再編終了した段階で、都道府県の広域的な連携を拡充し、条件が整った都道府県から合併・道州制へ順次移行する。

③ 地方議会は議員数の大幅な削減、ナイター議会の採用等で住民に身近な存在にする。

(2)三位一体の改革と地方債改革の促進

① 国庫補助負担金は、国と地方の役割分担を明確化し、地方が担うべきものについては所要の税源移譲を行い、最終的に廃止する。

② 地方交付税交付金は地方への税源移譲とともに廃止する。但し、その一部は国による地方間の財政調整の枠組みに移行する。

③ 消費税と個人所得税の一定割合を地方税に切り換え、国と地方の税収比率が逆転する程度に税財源を移譲する。

④ 地方の課税自主権は大幅に拡大するが、具体的な税目は、地域住民の利益と負担の選択のもとに、地域住民全体を対象としたものとすべきである。法人への安易な課税による税収確保は認められない。

⑤ 地方債の市場公募化、金融市場の影響力を通じて財政規律の整備を図る。

(3)行政組織・業務の減量・効率化などを通じた歳出削減

① 行政組織・業務の合理化等により一般歳出を大幅(20%)に削減する。

② 公務員定数及び給与は大幅に削減する(独立法人化による削減は除く)。

③ 行政サービスは民間委託などのアウトソーシングを推進する。

④ 独立行政法人・特殊法人・外郭団体の業務内容を徹底的に見直し、統合・廃止・民営化を推進する。

3.社会保障制度改革

抜本改革により経済の活力を維持し国民の安心を確保した持続可能な社会保障制度を構築すべきである。特に、公的年金制度改革については、日本商工会議所・東京商工会議所の「公的年金改革に関する提言」(2003年10月16日)の実施を求める。

(1)公的年金制度の再構築

① 厚生年金保険料率は基礎年金の改革などを通じて、現行水準(13.58%)以下に止める。基礎年金と厚生年金報酬比例部分は完全分離する。

② 既裁定者も含め総額で15%程度、年金給付水準を削減する。「公的年金等控除」「老年者控除」という高齢者の税制上の優遇措置は縮減する。

③ 基礎年金はシビル・ミニマム保障と位置付け、現行の国庫負担割合   1/3を出来る限り早期に1/2に引上げ、将来的には全額国庫負担とする。

④ 年金積立金は、高齢化が安定する2050年度に向けて、給付額1年分を残して計画的に取り崩し、若年世代の負担(保険料)の軽減に充てる。

(2)国民医療費の伸び抑制と持続可能な医療制度改革

① 一般医療費を国民所得の伸びに抑える目標値を設定し、出来高払いから包括払いへの移行を中心とする診療報酬体系や公的医療保険の守備範囲の見直しなど医療費の適正化、医療提供体制の見直し、保険者機能の強化、混合診療の解禁、株式会社による病院経営などの規制緩和の促進、国公立病院の民営化を含めた地域の医療機関相互の競争の促進、医療情報のIT化を推進する。

② 70歳以上の高齢者を対象とした独立の「高齢者医療保険制度」を創設する。

③ 医療安全対策の確保を前提に、株式会社による病院経営などの規制緩和や、地域の医療機関相互の競争を促進する。

④ 医療機関の機能に対する第三者による外部評価機能を強化し、医療機関の競争を促進する。

(3)介護保険財政の安定化と市場機能の活用

① 介護保険財政の安定化のため、まず、介護保険の効率的な制度設計と運営、事務コストの削減などに不断に取り組み、今後急増が見込まれる介護保険費を出来る限り抑制する。

② 介護予防・リハビリテーション事業を強化し、これから介護認定の対象となる高齢者の健康維持を図り、要介護(支援)状態の出現率を出来る限り抑制する。既に要介護となった高齢者に対しても、要介護状態を  悪化させない、更にはこれを改善させる取り組みを行う。

③ 介護保険利用者がニーズに合った介護サービスを自由に選択できるようサービスに関する情報を積極的に提供するとともに、NPO法人などによる第三者評価システムを整備する。また、要介護度を改善させた実績を評価する仕組みも整備する。

④ 事業者間の競争を通じてより良いサービスを提供するため、市場機能を有効に活用するとともに、劣悪なサービスを提供する問題のある事業者を市場から排除できるような効果的な査察の仕組みを整備する。

⑤ 施設介護と在宅介護の適正な機能分担を進めるため、施設介護におけるホテルコストは利用者負担とし、サービス利用に伴う負担の均衡を図る。

⑥ 特別養護老人ホームなど施設介護分野における規制緩和等を行い、介護サービス分野への民間事業者の参入を促進し、その創意工夫や競争により多様で魅力ある良質なサービスが安価で円滑に提供される環境を整備する。

(4)雇用保険

① 自発的失業者への給付をさらに限定し、失業前賃金による給付額設定方式や年齢・加入期間による給付格差なども見直す。雇用継続給付や教育訓練給付などの各種保険給付は、抜本的な合理化を図る。

② 事業主が保険料を全額負担する雇用保険三事業は、円滑な労働移動や能力開発支援に資する事業に重点化し、助成金支給や施設運営等は整理合理化すべきである。特に、ハローワークや公共職業訓練施設事業で実施している能力開発・職業訓練事業については、企業のニーズに応じたより効果的な事業を実施するため、商工会議所など民間機関を活用する。

4.税制改革

(1)経済活力の観点に立った税制改革

① デフレ克服のため、民需拡大の呼び水となる総需要拡大につながる次の税制措置を講じる。

l 住宅ローン減税を延長・拡充し、さらに住宅ローンの支払利子を所得から控除する住宅ローン利子控除制度を創設する。

l 個人の株式投資を促進させる証券税制のさらなる整備を図る。

l 設備投資促進・研究開発税制を拡充整備する。

l 登録免許税の引き下げ、不動産取得税・事業所税の廃止等、土地税制を軽減する。

l エンジェル税制を拡充し、さらに、ベンチャー企業への投資税額控除制度を創設する。

② 中小企業の体質強化と活力増進につながる、次の税制改革を推進する。

l 相続税の課税理念を見直し、事業用資産を非課税とする。当面は、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除する包括的な事業承継税制を確立する。さらに、非上場株式に係る譲渡益課税等を軽減する。

l 欠損金制度の見直し、留保金課税制度の廃止、法人税の中小企業軽減税率の引下げと適用金額の見直しなど中小企業関係税制を拡充する。

l 法人税率の引下げ、外形標準課税など地方税制の見直しによる法人の税負担を軽減する。

l 土地ならびに建物に係る固定資産税について、その評価方法の改善等により負担を軽減する。

(2)社会保障制度の抜本的改革に対応した税制のあり方

① 今後の厳しい年金財政と世代間の不公平是正の観点から、公的年金等控除、老年者控除を見直し、縮小する。

② 企業年金制度の充実のため、確定拠出年金制度における拠出限度額の引き上げ、特別法人税の廃止等の税制上の優遇措置を講じる。

③ 増大が予想される社会保障給付のための財源として、はじめに消費税の増税ありきとの考え方は認められない。まずは徹底した行財政改革・社会保障制度改革を行うことが前提となる。そして、デフレ克服によって経済が安定成長軌道に乗った段階で、税収増や行財政改革の進捗等を勘案しつつ、必要な財源を税に求めることも検討すべきである。

(3)適正かつ公平な課税と簡便・効率的な納税申告制度の実現

① 適正かつ公平な課税の実現のため、導入コストやプライバシー保護に十分配慮しつつ、納税者番号制度の導入を検討すべきである。

② 電子申告・納税制度の推進、源泉徴収制度の見直し、国税と地方税、税と社会保険料に分かれている徴収体制の一元化等、簡便・効率的な納税申告、徴収体制を構築すべきである。

<関連する過去の提言>
「公的年金制度改革に関する提言」[2003.10.16]
「行財政改革に関する考え方について」[2003.10.16]