政策提言・要望

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「消費者契約法(仮称)」のあり方に関する意見

1999年12月20日
東京商工会議所

 国民生活審議会消費者政策部会消費者契約法検討委員会では、現在、消費者契約法(仮称)の具体的内容について検討を進め、近々、その報告書を消費者政策部会に提出することとしている。消費者契約法(仮称)が全ての消費者との取引(消費者契約)に適用されることから、規制の仕方によっては、通常行われている正常な取引にも過重な負担をしいる恐れが強く、中小企業に与える影響は極めて多大である。平常の取引への過重な負担は、商品のコストアップに繋がり、ひいては消費者利益に反する結果となる。
 こうしたことから、両所では合同で「消費者契約法(仮称)に関する懇談会」を設け、法のあり方等を検討しているが、中間的な意見として、現在の検討委員会の議論において、下記の点につき十分な議論がされるよう特段のご配慮をお願いする。

提言


 消費者契約法(仮称)は、全ての消費者向け事業者が対象となるものであり、その対象のほとんどが中小企業(対象となる450万事業所のうち95%が中小企業)である。特に「契約取消」につながる深刻な消費者トラブルがほとんど生じていない善良な中小小売店舗等にも、本法は新たに義務・責任を課するものであり、その影響は極めて多大である。
 消費者契約法(仮称)が、悪質な事業者の行為を防ごうとするあまり、「契約取消」の要件となる「重要事項」や「故意に告げない」こと、「不実のことを告げる」こと、「断定的な判断を示す」こと等の内容を不明確なままにし、また、契約条項に関し抽象性、不明確性を有するいわゆる「一般条項」を取り入れるならば、中小小売店舗等の取引の不安定さを増大させ、中小企業の正常な事業活動に過大な義務・負担を課し、大きな混乱とコスト増を招来させることになる。
 例えば、別紙の「消費者契約法(仮称)に関する取引慣行上の問題点」のような事例について、中小企業はどのように対応したらよいのか解らなくなり、その対応に混乱とコスト増を生じさせることになる。
 中小企業等の通常の正常な事業活動に無用な悪影響を与えないため、「契約取消」、「契約無効」の法律要件を一層限定し明確にすることが重要である。
以 上

<別紙>
消費者契約法(仮称)に関する取引慣行上の問題点
 以下のような場合が「取消」の対象になる恐れがあれば、不明確な法律要件をめぐって、クレームや返品が激増し、中小企業の正常な事業活動に過大な義務と負担を課することになる。そうしたことのないよう、法律要件を限定・明確にすることが是非とも必要である。
1.情報提供(告知)の方法
○中小小売店舗において、家電製品、パソコン、携帯電話等の新製品について、ソフトウエア機能などの知識が不足していたり、卸売店から誤った情報を流されたりして、悪意なく誤ったことを伝えた場合、不実告知に当たるのか。
○製品機能等の説明が細部、専門的になるため、善意で製品情報のうち一部を省略した場合、「故意に告げない」に当たるのか。
○店員による説明や接客を極力省いて、商品の展示やカタログの備え置きによって「情報提供」をしている通常の小売店舗では、店主が商品知識を十分持っていても、個々の客にいちいち全て説明したり、カタログの手渡し等をしない場合が多いが、これは「故意に告げない」に当たるのか。
2.重要事項の基準
○「この魚は美味しい」「衣料製品等における光沢や手触り、生地の硬軟」など種々の定量化・明確化できない機能や属性を伝えた場合の重要事項の判断基準はいかなるものか。
○パソコン等の新製品で、例えば、携帯端末との連携能力や,電源が200V対応か否か、といった新機能が「重要事項」かどうか判断する基準はなにか。
○「箱詰めみかんなど果物の一部が腐っている」などの場合、全ての契約の取り消し(返品等)要件とされ得るのか。
3.勧誘(困惑)の方法
○「一回帰ってください」といわれたが、「まあそう言わずに」といって説明し、納得して商品を購入させた場合も、「一回帰ってください」と言われたことで、不退去に該当するのか。「一回帰ってください」と言われただけでは、不退去に該当しないならば、何回「帰ってください」と言われれば、不退去に該当するのか。その回数の基準となるものはなにか。また、笑って「帰ってください」と言われた場合でも不退去に該当するのか。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所