政策提言・要望

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東京都の観光産業振興政策に関する要望

2003年11月13日
東京商工会議所

今、「観光」が経済効果の高い産業として、注目を集めている。

観光振興にあたっては、訪日外国人旅行者数を増大させると同時に、内需振興という視点から国内観光旅行も積極的に促進することが重要である。交流人口が増大することにより、地域の活性化、ひいては旅行客の消費に伴う経済波及効果も見込まれることとなる。

しかしながら、国内旅行者や外国人ビジターの観光目的が多様化してきている中、観光資源や受入れ情報サービスの整備面で、未だ対応しきれていない状況にある。

ようやく政府においても、訪日外国人旅行者数を現在の約500万人から2010年に倍増させることを目標として観光の振興に取り組むこととなり、去る4月には、ビジット・ジャパン・キャンペーンをスタートさせ、7月31日には、観光立国関係閣僚会議で観光立国行動計画を決定し「観光立国」実現に向けた第一歩を踏み出したことは、まさに画期的なことである。

一方、東京都におかれても、現在の海外からの訪都者数約270万人を2006年までに倍の600万人にする目標を設定されている。とりわけ、宿泊税を主たる財源としながら産業振興の観点から積極的な観光施策を講じられており、「千客万来の世界都市・東京」の実現に向けた動きは目を見張るものがある。

特に本年は、各地域で約1,000にも及ぶ「江戸開府400年」の佳節を記念した事業が実施されており、これを契機に東京の魅力を再発見し、東京の活性化につなげていくためにも、下記施策の推進を強く要望するものである。

要望



 1.東京のシティセールスの推進 

(1)観光振興予算の確保と観光関連組織の強化について

経済波及効果の高い東京の観光振興を図るためにも、積極的かつ継続的な予算の更なる確保をお願いしたい。また東京都として、観光行政を政策・予算・人員面など総合的により一層推進するべく、例えば観光局の新設など組織体制の強化を検討願いたい。

(2)シティセールス活動の推進と国際コンベンション誘致活動の充実・強化

東京都におかれては、従来、シティセールス活動を推進されているが、国も、今年度より「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開しているところである。今後は国のキャンペーンとも連携の上、在外日本大使館などにも協力を要請しながら、より一層シティセールス活動を推進願いたい。

また、国際コンベンション等に関する情報収集をより強化するとともに、現在、実施している国際コンベンション誘致資金助成、開催資金貸付の制度の拡充を要望する。

(3)財団法人東京観光財団への支援

今般、従来の社団法人東京コンベンション・ビジターズビューロー(TCVB)の事業を受け継ぐ形で、財団法人東京観光財団が新設されたが、当財団には、その設立の目的に照らして、より一層の積極的な支援策を講じられたい。

 2.都市型観光資源の再構築・創造 

(1)「東京ブランド」の再認識と戦略的発信

東京が有している歴史・文化などの魅力を再認識し、観光資源として有効に活用する方策を推進するとともに、東京のシティセールスキャンペーンのキャッチフレーズ・ロゴマークである「YES!TOKYO」を活用し、「東京ブランド」のPRを戦略的に実施願いたい。

(2)「東京国際アニメフェア」の継続的支援

東京の地場産業ともいうべきアニメーションは、有力な「東京ブランド」のひとつであり、関連業界の育成・支援と、イベント「東京国際アニメフェア」への継続的支援を要望する。

 なお、今年で16回目を迎える「東京国際映画祭」は世界12大映画祭のひとつに位置づけられ、アジア最大の映画祭となっている。今後は、上記アニメフェアと一体となってスケールアップし、産業、文化の視点から東京を売り出す観光資源として再構築することを検討願いたい。

(3)「東京の魅力」の再発見と新たな創造

東京には、その歴史・文化を背景とした魅力ある観光資源が埋もれた状態になっているケースが散見される。これらを再構築し、東京の新しい魅力として演出していく方策を検討願いたい。

また、「一区一観光」の気概をもって国内観光促進の趣旨からエコツーリズム、産業観光、観光まちづくり等の施策をより一層充実していただきたい。

さらには、初めての訪都者を増やすためにも、あるいは何度も訪れたいと思わせるためにも、新たな都市型観光資源を創造する必要がある。とりわけ大人が楽しめる複合的なエンターテインメント施設やナイトライフの情報が不足している。現在取り組まれている新たな都市型観光資源の調査研究を引き続き実施していくとともに、民間との共同調査、啓蒙活動も検討願いたい。

 3.受入れ体制の整備 

(1)羽田空港の再拡張と国際化ならびに関連する首都圏交通網等の整備

   現状、首都圏における空港整備は大きく立ち遅れており、とりわけ、羽田空港の容量不足と国際化の遅れは、東京の魅力低下の一因と指摘されている。訪日外国人数の倍増という目標を達成するためには、逼迫する首都圏の空港容量の拡大が不可欠であり、羽田空港の再拡張と国際化に向け、一刻も早い事業着手への関係者の努力を切に望む。

 また、ビジターの移動がスムーズに行われるよう、首都圏3環状道路、羽田空港・成田空港・都心を結ぶ道路・鉄道などの交通アクセスの拡充、東京駅など交通の結節点、観光の拠点における利便性の高い観光バスの発着所の整備なども必要であり、

東京都におかれても実現に向けて尽力願いたい。

(2)誰もが安心して気軽に歩いて観光できる環境づくり

   行政・公共交通機関・観光関連施設等には様々な案内標識が表示されているが、以前と比較すると、外国語標記等も進んでいるものの、いまだ改善の余地が多く残されている。真の国際観光都市・東京を目指し、外国人ビジターにもわかりやすい標識等の整備をさらに推進していただきたい。

また近年、東京の大きな課題のひとつとして治安対策があげられている。世界の主要都市と比較して、依然として安全な都市ではあるものの、一方で刑法犯の検挙率が大幅に低下している実情にある。

市民が安心して暮らせるまちこそビジターにも好印象を与えることから、誰もが安心してまちを歩けるよう、治安の回復に向けた効果的な施策を講じられたい。

(3)東京のツーリスト・インフォメーション・センターの拡充
  世界の主要な観光都市では、その象徴的な場所に充実したツーリスト・インフォメーション・センター(以下TIC)を設置しているケースが多い。

東京都においても、都内3ヶ所(都庁、羽田空港、上野)あるいは国際観光振興機構のTIC(有楽町)があり、多くの観光客が利用しているが、今後観光案内、ホテル等の観光関連施設の予約、両替などが多ヵ国語で対応でき、かつワンストップサービスの提供ができる体制の実現、設置場所の拡充など、質・量の改善を推進願いたい。

(4)低廉な受入れ施設や移動手段の整備と情報提供

   高級なホテルや高価な飲食店の情報のみが流通しがちで、東京の滞在費用が高いとの風評を払拭できていない。庶民的で、低廉清潔な宿泊施設や飲食店の情報を広く提供するとともに、移動交通手段や観光施設の割引利用の拡充のための支援措置を実施願いたい。

(5)観光関連施設の利便性の向上

   文化・スポーツ・娯楽など、既存の各種エンターテインメント施設や神社仏閣などの中には、利用料・入館料が高く、あるいは利用できる時間が短いなどといった施設も少なくない。現在発行されている東京の美術館・博物館等の共通入館券である「ぐるっとパス」は画期的な企画であり、観光関連施設の利便性の向上の観点からも、こうした試みを支援願いたい。

  4.東京商工会議所の使命と役割 

東京商工会議所では、本年が江戸開府400年の節目の年であることから、東京都ならびに関係各団体との連携のもと、江戸開府400年事業推進協議会を運営している。これまで協議会が主催・後援した事業は約1,000事業にもおよび、本年9月末時点の総事業規模は87億円、総参加人数は3,620万人にのぼる。

江戸開府400年事業の統一テーマである「江戸東京400年の魅力の再発見と未来への創造」を具現化するために、当商工会議所としても財団法人東京観光財団他、各区の観光協会、文化観光関連施設、公共交通機関等とも連携しながら、引き続き東京の観光振興に微力ながら貢献していかなければならない。

このような中、東京のそれぞれの地域が自らのまちづくりビジョンを構築し、実際の活動に移行できるよう支援・コーディネートすることを目的にした「地域創造センター(仮称)」を来年度から当商工会議所内に設置する予定である。各セクター間の調整や情報交換の場づくり、またそれらを担う人材の育成に取り組んでいく中で、東京都におかれてもご支援ご協力願いたい。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所