「国の中小企業対策に関する重点要望」について
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(小林健会頭)は、本日開催した第771回常議員会において、中小企業委員会(委員長:大島博副会頭・(株)千疋屋総本店社長)が取りまとめた標記要望を決議しましたので、お知らせします。
中小企業の景況感は回復基調を見せるものの、足元では、あらゆる業種で人手不足が深刻化し、長引く円安や原材料高騰に加え、地政学リスク等により先行き不透明感が増しています。今後、生産年齢人口の減少も見込まれる中、本要望では、中小企業は環境変化に強い経営を実現するため、成長を目指し自己変革に挑んでいくことが不可欠という認識のもとで取りまとめたものです。また、人手・人材不足への対応強化や適正価格での取引推進、起業・創業から事業承継までの「成長ステージ」に応じた支援の強化についても要望しております。
今後、要望内容が国の中小企業対策に反映されるよう、関係省庁に対し、強く働きかけてまいります。主な要望事項は以下の通りです。
【要望事項概要】
Ⅰ.新たな価値創造に向けた取り組みの後押し ※【新】は新規・拡充項目
【新】経営戦略策定支援の体制強化・拡充による自己変革に挑む企業の裾野拡大(専門家による伴走支援の強化)
【新】スタートアップと中堅・中小企業の協業による事業化、成果創出に向けたハンズオン支援事業の強化、中長期(複数年度)にわたる支援制度の創設
・CO2排出量把握・削減に向けた戦略策定に対する専門家支援の充実
【新】「新規輸出1万者支援プログラム」の周知強化、継続、ならびに具体的な成果創出に向けた支援強化や成功事例の横展開
Ⅱ.人手・人材不足への対応強化
【新】ITの導入から活用、競争力強化に至るまでの専門家相談の実施(有用性の周知促進、適切なツール選定に係る個別相談、IT戦略策定に向けたハンズオン支援の強化)
【新】IT導入やデジタルシフトに資する伴走支援の質向上に向けた支援者の育成強化
【新】企業ごとの取組レベルに応じたきめ細やかなデジタル人材育成支援、企業内の教育訓練・人材育成強化支援
【新】大企業人材のノウハウ活用に向けた中小企業との人材交流支援(「産業雇用安定助成金」の周知・拡充による在籍型出向の活用、産業雇用安定センターの機能強化)
【新】「物流革新に向けた政策パッケージ」の着実な実行、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」の着荷主も含めた周知強化
Ⅲ.適正価格での取引推進に向けた環境整備
【新】「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の活用、発注者に対する周知強化、業種特性に応じた展開
【新】外資系企業に対する「独占禁止法(優越的地位の濫用)」の運用徹底、法令遵守に向けた働きかけ
【新】BtoC事業者の円滑な価格転嫁を実現するため、付加価値も含めた適正価格で取引することに対する理解促進(メディアを通じた消費者向け広報の強化)
【新】手形サイト短縮に向けた周知強化、運用徹底、現金払いの推奨(「下請法」の指導基準変更に伴う周知徹底、「下請法」対象外の取引への波及に向けた発注者に対する働きかけ)
Ⅳ.中小企業の成長ステージに応じた支援の強化
【新】スタートアップ・エコシステムの活性化、中堅・中小企業の参画促進
スタートアップの類型(ディープテック、社会課題解決型等)やフェーズ、成長志向に応じた施策の展開
・事業承継対策の第一歩である自社株式の評価推進
【新】早期相談、早期経営改善支援の強化(「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の改正に則った対応の強化、現場への浸透、取引先中小企業に対する各種施策の周知強化)
・経営者の決断による円滑な廃業に向けた各種支援施策の周知強化(事業再生や再チャレンジを含めた全体像の提示)
東京商工会議所
中小企業部
担当 小野・三島・張替
TEL 03-3283-7724