独占禁止法「課徴金制度の見直しに係る意見」について
東京商工会議所
産業政策第一部
日本商工会議所・東京商工会議所(三村明夫会頭)は、独占禁止法「課徴金制度の見直しに係る意見」をとりまとめ、公正取引委員会に提出しました。
本意見は、公正取引委員会が独占禁止法研究会報告書をとりまとめた際に意見募集を行ったことに対して提出するものです。
公正で自由な競争が促進され、市場メカニズムが正しく機能することは経済成長の大前提であり、カルテル、私的独占、不公正な取引方法は厳しく排除されなければならない。規制緩和が進む中、競争政策はさらに重要性を増しており、独占禁止法の的確な執行を望む一方、企業経営の影響を予見できる調査プロセスの透明性も高めるべきと考える。
また、制度の改正にあたっては、企業自身によるコンプライアンスの遵守や企業統治の一層の推進など、違反の未然防止を促す観点も重要である。
これらの基本的な考え方のもと、商工会議所では平成28年6月20日に、「独占禁止法研究会における課徴金制度の在り方検討に関する意見」を、また、同年8月29日に、「課徴金制度の在り方に関する論点整理に対する意見」を取りまとめ、貴委員会に提出した。今般、独占禁止法研究会で報告書が取りまとめられ、課徴金制度の見直し等について具体的な制度改正等の検討作業が進められるにあたり、本報告書に係る意見募集が行われているところ、改めて同意見を提出する。
本意見では、裁量性による課徴金制度の導入については、基本的に理解するものの、「現行制度で裁量型の課徴金制度を導入していないことから、貴委員会が違反行為の十分な抑止、および取り締まりができておらず、裁量性による課徴金制度の導入が不可欠である。」との立法事実の立証や、詳細な制度設計について、今後更なる議論を尽くしていく必要があるとしている。
第二に、談合やカルテル、優越的地位の濫用などの行為により、結果として中小企業が被害企業となる可能性が多分にある。例えば、調査協力へのインセンティブ導入の検討や、国際カルテルなどの違反行為に対する課徴金の算定における関係国との調整などにあたっては、被害企業から見ても納得感の得られる制度となるよう配慮する必要がある。
貴委員会におかれては、以上のような観点を踏まえ、別添の意見を十分に斟酌した上で、制度改正の検討作業を慎重に進められたい。
添付意見「独占禁止法研究会における課徴金制度の在り方検討に関する意見」(平成28年6月20日)
東京商工会議所
産業政策第一部
担当 清水、小倉
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