「第5次エネルギー基本計画」の閣議決定について
東京商工会議所
本日、閣議決定された第5次エネルギー基本計画が、第4次計画と同様、エネルギー政策の要諦である「3E+S」の考え方を基本に据え、2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指す姿勢を明確に打ち出したことを評価する。また、今回新たに追加された2050年を見据えたシナリオの設計においても、「3E+S」が評価軸となり、日本にとって不可欠な考え方である「エネルギー選択の多様化」や「国民負担抑制」の考え方が盛り込まれた点は、商工会議所の要望に沿うものである。
一方、電力料金は震災前の水準に戻らず高止まりが続いている。安価で安定的な電力供給を実現するため、賦課金負担が過剰に増加している再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しや安全性が確認された原子力発電所の運転再開を進めるとともに、今回の基本計画には明記されなかった新増設・リプレースの必要性についても、早急に検討を開始していただきたい。
なお、2050年に向けたシナリオの評価軸の1つに掲げられている「脱炭素化への挑戦」については、これだけが優先されるような議論が行われることは、「3E+S」のバランスが崩れ、国民生活や産業を支えるエネルギー供給に悪影響が及ぶ恐れがある。したがって、今後、長期的な視点に基づくエネルギー・環境政策を議論する際、あくまで他の評価軸と並列での議論が行われるべきである。