ニュースリリース
「著作権法の一部を改正する法律」および「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の成立について
※一部施行日が確定しましたので、ご案内いたします。
東京商工会議所
産業政策第一部
第196回通常国会において、「著作権法の一部を改正する法律」(5月18日可決、5月25日公布)および、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(5月23日可決、5月30日可決)が成立いたしました。両法改正のポイントについて、下記のとおりご連絡いたします。
1.「著作権法の一部を改正する法律」のポイント
○柔軟な権利制限規定の整備(著作権法)(2019年1月1日施行)
著作物の利用をより円滑に行えるようにするために、これまで著作権者の許諾が必要かどうか曖昧だった次のよ
うな行為が、権利者の許諾なくして利用可能となる。
①インターネットで書籍のタイトルを検索する際に、書籍の表紙や一部内容を表示する行為。
②大量の論文データを収集し、対象の論文と照合して盗用がないかチェックし、盗用箇所に該当する正規の論文
の一部分を表示する行為 など。
2.「不正競争防止法等の一部を改正する法律」のポイント
○中小企業の特許料金の一律半減制度の導入など(特許法など)(2019年4月1日施行予定)
これまで、特許料金の減免を受けるためには、赤字企業であることなど一定の条件が必要だった。
・今回の改正で、中小企業であれば、一律に特許料の半減措置を受けることができるようになる。これにより、
審査請求料および特許料(1~10年分)、国際出願手数料が半額となる。
○データの不正取得・使用・提供に対する差止めの創設など(不正競争防止法)
・IDやパスワードなどの技術的な管理を施して提供されるデータ(営業秘密では保護されない、社外に
限定的に提供することを前提とするもの)を不正に取得・使用・提供する行為を、新たに「不正競争行
為」とし、これに対する差止請求権などの民事上の措置が創設される。(2019年7月1日施行予定)
・暗号などのプロテクト技術(技術的制限手段)の効果を妨げる「プロテクト破り」を可能とする機器の
提供などだけではなく、「プロテクト破り」を行うサービスの提供なども不正競争行為として追加する。
(2018年11月29日施行)
○知財訴訟における証拠収集の強化(特許法など)(施行日:公布日2018年5月30日から1年6か月以内)
特許権などの権利者(以下、権利者)は、権利侵害の疑いのある者(以下、被疑侵害者)を訴える際、権利侵害されたことを証明する責任があるが、権利侵害をしている証拠は、被疑侵害者が保有していることが多い。そのため、裁判所は被疑侵害者に対し、書類提出命令を出すことができるが、特許権などの内容は、高度に専門的・技術的であるため、これまでは裁判所が書類提出命令を出しづらかった。
・今回の改正では、(当事者間の同意に基づき、)裁判所が被疑侵害者に対してインカメラ手続き(注)により
書類の提示をさせ、権利侵害訴訟に必要な書類かどうかを判断した上で、書類提出命令を出せるようになる。
これにより、権利者は適正かつ迅速な証拠収集が可能となる。
・また、インカメラ手続きの際は、技術的なサポートを行うため、裁判所以外に中立的・技術的専門家が関与で
きるようになる。
(注)営業秘密の漏えいを防止するために、所有者が提示した書類を裁判所だけが閲読する手続き
○日本工業規格(JIS)の対象範囲拡大および制定手続きの迅速化など(工業標準化法)
(2019年7月1日施行予定)
・標準化の対象にデータ、サービスなどを追加する。また、「日本工業規格(JIS)」を「日本産業規格
(JIS)」に、法律名を「産業標準化法」に変更する。
・JISの制定手続きを見直し、規格化までの期間を従来の1年から最速で3カ月程度に迅速化する。
・認証を受けずにJISマークの表示を行った法人などに対する罰金刑の上限を、現行の100万円から1億円
に引き上げる。
以上
【本件担当】
東京商工会議所 産業政策第一部(寺田、村松)
TEL: 03-3283-7630 / FAX: 03-3213-8716 / E-mail: sansei@tokyo-cci.or.jp
資料
東京商工会議所
産業政策第一部
担当 寺田・佐藤
TEL 03-3283-7630