会頭コメント

会頭コメント

小渕恵三氏の自民党新総裁就任について

1998年7月24日
東京商工会議所

1.小渕新総裁が決まったことで、景気回復への第一歩がスタートしたことを歓迎する。新しい総裁が早く決まったのは結構なことである。総裁選挙で選ばれたのも、従来より分かりやすいプロセスだった。同一派閥から実力者二人が出馬することなど、かつては考えられなかったが、国難を前にして名乗りを上げた方々の意思に敬意を表したい。
 小渕新総裁は、こうした時期に重い責任を背負うことになり、大変ご苦労も多いと思うが、山積する課題を乗り越えていくには適任の方だと思う。ただ、新総裁は、前政権の政策とどこがどう違うのかという点を明らかにし、先の参院選での国民の厳しい審判を踏まえ、転換すべき点は思い切って再考する勇気を持つべきだろう。
 いずれにせよ、国民の声をよく聞いて、大局を見ながら、スピーディーな決断と果断な実行にリーダーシップを発揮してもらいたい。特に、所得税の恒久減税や法人課税の引下げ等の税制改革や金融システムの安定化策を早急に実行すべきであり、短期決戦で勝負をつけるくらいの気概で臨んでほしい。新総裁の手腕と行動に大いに期待している。

2.日本が置かれた現在の困難な状況に照らし、自民党に望むのは、何よりも挙党体制を築くことである。参院選の結果の十分な反省を踏まえ、総裁選でのしこりを残さず、一致協力して国難に対処してもらいたい。
 一方、野党においても、緊急課題の解決をいたずらに引き延ばすことのないよう、冷静かつ良識ある行動を希望する。
 近く新内閣が発足することになるが、要路の閣僚には経験豊かな実力者を配置し、強力な布陣で懸案事項を着実に処理・解決していくことを期待する。

以上