平成30年度政府予算案等の閣議決定について
東京商工会議所
「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪として潜在成長率を引き上げ、少子高齢化の克服と成長を目指す予算編成となった。この予算措置を梃子に、国民の足元の将来不安の払拭、設備・人材への投資拡大、地方創生が加速することを期待する。
特に、中小企業対策において、われわれが強く要望してきた中小企業の円滑な事業承継に向けた集中支援をはじめ、「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」、「持続化補助金」などの支援措置が継続・大幅拡充された。価値ある事業を次世代に円滑に引き継ぐとともに、人手不足に苦しむ中小・小規模事業者の生産性と付加価値向上を強力に後押しするものであり、高く評価する。
また、地方創生について、地域経済を牽引する地域中核企業の支援強化のほか、観光や農業など地域の柱となる産業の振興や専門人材の育成に取り組む地方大学の機能強化が打ち出されたことは、地域活性化の大きな弾みとなる。
一方、人づくり革命に関連して、社会保障費の抑制については、依然として切り込み不足の感は否めない。さらなる重点化・効率化の徹底はもとより、余力のある高齢者の応能負担割合を高めることなどにより、国費財源は可能な限り子育て世代に振り向けるべきである。
なお、歳入については、消費税の使途変更に伴い、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の達成は困難となったが、引き続き早期の達成に向けて、現実的な想定の下での財政再建の道筋を明確に示す必要がある。
政府におかれては、平成29年度補正および平成30年度予算の早期成立を図り、サプライサイド政策を強化する切れ目のない経済財政運営をお願いしたい。商工会議所としても、政府に協力し、中小企業の活力強化や地方創生に全力で取り組む所存である。