平成30年度与党税制改正大綱について
東京商工会議所
本日決定された平成30年度与党税制改正大綱は、賃上げ、IoTをはじめとする設備投資の拡大や、中小企業の円滑な事業承継等、安倍内閣が目指す「生産性革命」の実現に向けた税制措置が講じられたものとして高く評価したい。
特に、全国の中小企業から強い要望が寄せられていた事業承継税制については、商工会議所の意見が数多く盛り込まれ、将来の納税に伴う不安要素が大幅に軽減されるとともに、承継時における納税負担がゼロとなる等、画期的な制度へと抜本的に拡充されたことを大いに歓迎する。今後、団塊世代経営者約30万人が70歳に到達する「大事業承継時代」を迎える中で、価値ある事業が次世代に円滑に引き継がれていくことが期待される。商工会議所では、事業承継税制をはじめ、あらゆる施策の活用を通じて、中小企業の円滑な事業承継を積極的に後押ししていく所存である。
また、所得拡大促進税制は、控除率の拡充とあわせて手続きの簡素化が図られる等、シンプルで幅広い企業が活用できる制度へ改正され、さらに少額減価償却資産の特例や交際費課税の特例が延長されたことで、中小企業における生産性向上の取り組みが進むものと思われる。
固定資産税について、商業地等土地に係る負担調整措置および条例減額制度が延長されるとともに、償却資産に係る減免措置が拡充されたことは、収益力が十分に回復していない中小企業の経営基盤の強化および地域経済の活性化にとって極めて重要である。
なお、今般の所得税改革において公的年金等控除が引き下げられることになったが、持続可能な社会保障制度の実現には、社会保障給付の重点化・効率化を徹底・加速するのみならず、高齢者の応能負担割合をさらに高めていく必要がある。