会頭コメント

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緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について

1999年6月11日
東京商工会議所

1.政府と民間が、現在の深刻な状況に対する共通の認識に立って、官民協力して産業の再生と雇用対策を打ち出したことを評価したい。全体的にみて網羅的で、目配りの効いたものになっていると思う。特に、株式の交換・移転や会社分割制度など、これまで課題とされていながら実行が遅れていた政策を促進させる姿勢を明確に打ち出した意欲を高く評価する。
  ただ、問題はこれらのプランをいかに現実の姿に結び付けるかという点にある。現実に雇用を拡大し、産業の再活性化を図るには、法改正を含め、さらに詳細かつ緻密な作業が必要であり、多少時間がかかるかもしれないが、着実に実行してもらいたい。

2.既存の中小企業の再活性化やベンチャー企業の育成に向けた対策が重点的に盛り込まれたことは、かねてからのわれわれの主張に沿ったものであり、歓迎する。今後、これらの問題について具体的な政策を実行してほしい。
  また、わが国が将来にわたって技術立国として生きていくことに誰しも異論はない。成長が見込まれる分野ごとに技術開発目標を設定することになったのは結構だが、具体的目標のしぼり込みについては、さらに十分な検討が必要である。
  ただ、未曾有の経済情勢の中で、産業再生はわが国産業に等しく共通した課題である。従って、今後すべての産業分野において、競争力強化のための均等な機会が確保できる環境を整備すべきである。また、構造改革を進める過程で影響を受ける中小企業に対する活性化策とセーフティーネットの整備が急務であることも強調しておきたい。

3.一方、完全失業率が最高水準で推移する中、雇用対策は焦眉の急である。特に、産業再生への取り組みにより、短期的には企業の雇用吸収力が低下する面も否定できず、新しい産業分野にシフトさせるには一定の時間が必要である。企業としては、構造転換を進める上でやむを得ない面もあるが、社会不安を広げないためにも、ぎりぎりのところまで雇用を維持する基本的使命を担うべきである。
  政府としては、産業再生と関連した中長期的な雇用創出策も大事だが、当面は、緊急雇用創出特別基金や雇用調整助成金制度等を活用しつつ、人材情報のネットワーク強化などの即効性ある対策を優先的に実行することが急務である。
  なお、雇用の受け皿として一部を国や地方公共団体が担うことは、現時点ではやむを得ない。

以上