会頭コメント

会頭コメント

日本銀行総裁、副総裁人事の国会同意について

2023年3月10日
東京商工会議所

 政府が提示した日本銀行総裁、副総裁の人事案が、衆参両院において同意されたことを歓迎する。総裁に就任する植田和男氏は、経済学者として金融理論に精通され、日銀審議委員を務められたことなどを含め、適切な人選と思う。
行政経験が豊富な氷見野良三氏、現体制で金融政策を立案してきた内田眞一氏の両副総裁とのトライアングルで、経済成長と物価安定のための舵取りを期待する。

 わが国経済を停滞から成長へと転換させるためには、新たな付加価値の創造による「成長」と、公正・適正な取引や、賃上げを含む人への投資による「分配」の好循環の実現が不可欠である。そうした経済循環を通じて、中長期的に2%の物価安定目標が達成されることを望む。

 中小企業は今、足下の資源・エネルギー価格高騰等に伴うコスト増や物価の上昇に立ち向かい、価格転嫁や賃上げに勇気を持って一歩を踏み出さんとしている。このモメンタムをさらに高め、持続的な形で実体経済に好影響がもたらされるよう、金融緩和を当面継続するとともに、これまでの金融政策の検証を行い、市場との丁寧な対話を通じて出口戦略を慎重に探りつつ、信頼感のある政策判断をお願いしたい。

以上