地域別最低賃金額改定の目安について
東京商工会議所
地域別最低賃金額改定の目安が示され、全国加重平均では31円、3.3%の大幅な引上げとなった。
かねてから商工会議所は、法が定める三要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づき、各種指標・データによる明確な根拠のもとで納得感のある水準を決定すべき旨を主張してきた。公労使の三者構成による審議会において、物価、賃上げの動向、企業の経営状況に関する客観的なデータに基づく真摯な議論がなされたことについては評価したい。
今般示された目安額については、消費者の生計費に対する足元の物価上昇の影響を強く考慮する一方、企業の支払い能力の厳しい現状については十分反映されたとは言い難い。最低賃金の改定による影響を受けやすく、コロナ感染再拡大の影響が懸念される飲食・宿泊業や、原材料・エネルギー価格など企業物価の高騰を十分に価格転嫁できていない企業にとっては、非常に厳しい結果であると受け止めている。
政府には、価格転嫁対策をより一層強力に進めていただくとともに、生産性向上に取り組む中小企業を支援する各種施策に十分な予算を確保するなど、中小企業が自発的に賃上げできる環境整備を強く求める。
今後行われる地方の審議会では、地域の中小企業・小規模事業者の経営実態を十分に考慮した検討が行われることを期待する。