第49回衆議院議員総選挙の結果について
東京商工会議所
令和初の総選挙となった今回の衆議院議員総選挙は、いまだ先行きは不透明ながらも、新型コロナの新規感染者数の急減で一定の明るい兆しが見え、新たな段階に移る重要な局面で行われた政権選択の総選挙となった。
結果として公示前勢力から議席数が減少したとはいえ、現政権与党である自民党が単独で絶対安定多数を獲得できたことは、様々な課題はありながらもコロナ禍という未曽有の難局で果たしてきた安定的な国政運営の舵取りに対する有権者の評価と新たな成長に向けた期待の顕れであると受け止めている。
今後の政策運営においては、まずは喫緊の課題である足元のコロナ対策、すなわちコロナ禍により甚大な影響を受けた多くの事業者に対する支援強化とともに、感染対策と社会経済活動をより高い次元で両立できる包括的な出口戦略のプロセスを、手段と時間軸を明確にしつつ迅速かつ果断に進めていただきたい。
また、経済活動が正常化に向けて徐々に動き始めながらも依然厳しい状況にある今こそ、コロナ後も見据え、国民が将来に希望の持てる国家戦略の策定が必要である。特に、政府が掲げる「新しい資本主義」をベースとした国家の有事に備えるレジリエンス強化と、これを支える持続的成長の実現は最重要課題である。人口急減の中、「1人あたりGDP」の引き上げを新たな国家目標として据え、あらゆる分野での生産性向上と、潜在成長率の底上げに取り組むべきである。とりわけ中小企業の成長力強化と地域経済との好循環にはこれまで以上に強い意志で臨んでいただきたい。
さらには、財政の持続性確保を踏まえた全世代型社会保障等の改革、一極集中の是正と地方創生といった未だ道半ばにあるわが国の構造的課題の解決を推し進め、エネルギー政策や、外交面における役割についても、向かうべきビジョンを明確にし、正面から取り組んでいくことを期待する。