ニュースリリース
「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第1回)」~給付金・協力金編~
東京商工会議所
中小企業部
国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。
コラムは全5回の掲載を予定しております。
第1回は持続化給付金、感染拡大防止協力金について解説いたします。是非ご覧ください。
なお、このページは、事業者の方が必要な支援策の見当がつけられることを目的に記述しています。申請方法など詳細は、下部にあるリンクをご覧ください。
1.給付金・協力金とは?
一言で言えば「もらえるお金」です。施策名の最後に「●●給付金」「●●協力金」とあるのを確認してください。似たような言葉に、補助金、助成金、奨励金といったものもありますが、誤解を恐れずに言うならこれらも「もらえるお金」です。なお、資金繰り施策には他に「借りるお金」「お金の支出抑制」がありますが、これは別稿でご紹介します。
今回、ぜひ検討したい施策として、国の「持続化給付金」と東京都の「感染拡大防止協力金」を紹介しますが、この2つの給付金・協力金には大きな特徴があります。その大きな特徴とは、
「お金の使いみちは何でもいい」(使途を限定していない)
ということです。支給要件に該当すれば、お金の使いみちは自由という施策ですので、これはぜひ検討しておきたい施策です。
画像:(筆者作成資料)
2.売上が半減した場合は・・・持続化給付金(国)
マスコミ報道でも取り上げられていますので、ご存知の方も多いかもしれません。ほぼ全ての業種の事業者が対象となりますので、これは利用を検討しておきたい施策です。ただ、支給要件があります。詳細は、持続化給付金の事務局ホームページをご覧ください。
<持続化給付金 事務局ホームページ(トップ画面)>
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
まず、上記ホームページで必ず見て頂きたいのは、「持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)」です。中小法人等と個人事業者等で申請要領は異なるので注意してください。そして、この申請要領に必ず目を通した上で、「給付額算定シミュレーション」をダウンロードして、支給要件に該当するかチェックしましょう。シミュレーションはいくつかありますが、まずは「通常の申請」とあるものを選んでください。これらは全て、以下よりダウンロードできます。
<持続化給付金 事務局ホームページ(資料ダウンロード)>
https://www.jizokuka-kyufu.jp/downloads/
そして、支給申請については、同じく持続化給付金事務局ホームページで動画説明も行っていますので、ぜひ参考にしてください。どうしても操作方法がわからない場合は、「申請サポート会場」(事前予約制)がありますので、持続化給付金事務局ホームページで確認してください。
最後に、持続化給付金について、特に誤解が生じやすい部分について、以下に代表例を挙げます。
<誤解が生じやすい部分(代表例)>
●代表例1:売上半減の要件についての誤解
申請要領には給付対象者の条件として、
「2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)があること」
という条件があります。いま半減していないといけないわけではなく、2020年1月~12月(申請期限が2021年1月15日までなので、2020年12月までが対象)のいずれかの月の売上が半減していれば給付対象となります。
なお、白色申告をしている個人事業者、青色申告はしていても青色申告決算書を提出しない個人事業者、青色申告決算書を提出してもその青色申告決算書に月間事業収入の記載がない個人事業者などは、「前年同月比」ではなく「2019年の月平均の事業収入」と対象月を比較します。
また、季節性収入特例や罹災特例などを適用する場合も別の比較方法となるため、申請要領をよく確認してください。不明な点は、コールセンターに問い合わせてください。
●代表例2:給付金額についての誤解
給付対象者に該当すれば、法人は200万円、個人事業主は100万円が一律支給されるという誤解があります。あくまでもパンフレット等に記載されている金額は「上限額」と書いてあることに注意してください。したがって、以下の計算式に当てはめて、計算結果が上限額(法人200万円、個人事業主100万円)に満たないときは、その満たない金額(つまり計算結果)が支給額となります。
<中小法人等>
「直前の事業年度の総売上(事業収入) — (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)」
<個人事業者>
「前年の総売上(事業収入) — (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)」
(注)上記は通常の場合の計算方法です。特例を適用する場合は計算方法が異なるので、申請要領をよく確認してください。不明な点は、コールセンターに問い合わせてください。
月によって支給額が異なることもあるので、前述のとおり「給付額算定シミュレーション」をしましょう。
このことから言えるのは、もし現状では上限額に達しない場合には、無理に申請しないで上限額がもらえる月まで待ってから申請するという判断もあるということです。ただ、上限額に達していなくても、資金繰り切迫のために早く給付金をもらうという判断もあります。ここは状況により判断してください。
画像(出典:東京商工会議所「都内中小企業・小規模事業者向け国・東京都の主な支援施策のご案内」より抜粋)
3.休業要請に従って休業した場合は・・・感染拡大防止協力金(東京都)
施設の使用停止や施設の営業時間の短縮への東京都からの協力依頼について、休業などに全面的に協力した都内中小企業・個人事業主に協力金が支給されます。まずは、「申請受付要項」を以下のホームページからダウンロードして、ご自身で読んでみてください。
<東京都感染拡大防止協力金のご案内(東京都ホームページ)>
https://www.tokyo-kyugyo.com/
(※ 「申請受付要項」は「Step1 申請書類の入手」の場所にあります)
ポイントは休業等の対象施設かどうかです。対象施設でない場合は、休業等をしても支給対象外となります。対象施設は、以下から確認できます。
<対象施設一覧(東京都ホームページ)>
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html
申請にあたっては、専門家(東京都内の青色申告会・税理士・公認会計士・中小企業診断士・行政書士)の事前確認を東京都は推奨しています。事前確認にかかる費用は、東京都が負担することになっています。専門家の事前確認がなくても申請はできますが、専門家の事前確認があった方が、円滑に支給まで進めることができます。
最後に、感染拡大防止協力金について、特に注意したいポイントを挙げます。
<特に注意したいポイント>
①複数の施設が混在している場合
一つの店舗に休業要請対象と要請対象外の事業が混在している場合は、休業要請対象施設部分が確実に休業している必要があります。
②証明について
客観的な休業の証明が必要です。例えば、休業を告知するHP画面、店頭ポスター、チラシ、DM、看板などの写真を撮って添付する必要があります。
申請を円滑に進めるために、申請書類は前述のとおり、専門家による事前確認をした方が確実です。
なお、緊急事態措置期間が延長されたことに伴い、2020年5月7日から緊急事態措置期間中に休業等の要請に全面的に協力した中小企業、個人事業主等については、感染拡大防止協力金の第2回支給が予定されています。詳細は後日発表されますので、詳しくは、以下をご覧ください。
<東京都感染拡大防止協力金(第2回)実施概要(東京都ホームページ)>
https://www.tokyo-kyugyo.com/dai2pre/index.html
画像:(出典:東京商工会議所「都内中小企業・小規模事業者向け国・東京都の主な支援施策のご案内」より抜粋)
4.おわりに
ただ、「もらえるお金」といっても、すぐにもらえるわけではありません。早期支給ができるように国や東京都は努力していますが、施策によってはかなり支給まで時間がかかっているのが実態です。資金がひっ迫している事業者の方は、給付金受給までの資金繰りとして、融資(「借りるお金」)も併せて考えてください。
また、国や東京都の施策のほかに、23区で独自に行っている施策もぜひチェックしてください。以下のホームページに23区ごとの施策が掲載されています(注:全ての施策が掲載されているとは限りませんので、あわせて該当する23区にホームページをチェックすることをお勧めします)。
<東京都(都と23区)の補助金・助成金・融資情報(J-net21)>
https://j-net21.smrj.go.jp/support/tokyo.html
以上、給付金・協力金を中心に緊急の資金繰り施策としての「もらえるお金」をご紹介しました。新型コロナウイルス対策として新たな取組を行う場合に「もらえるお金」については、別稿でご紹介します。
(本原稿は、2020年5月21日現在の情報に基づいて執筆しています)
【執筆者プロフィール】
七田総合研究所 代表
七田 亘(しちだ・わたる)
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ
https://shichida-ri.co.jp/
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