会頭コメント

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平成11年稲葉会頭年頭所感

1999年1月1日
東京商工会議所

 平成十一年の新春を迎え、謹んでお喜び申しあげます。
 昨年の日本経済は、戦後最悪ともいえる経過をたどり、実質経済成長率も一昨年に続き二年連続のマイナス成長となることが必至の状況となっております。商工会議所が毎月実施しているLOBO(早期景気観測)調査でも、昨年八月には調査開始以来の過去最低値を記録しましたし、これまた、過去最悪の状況となっている企業倒産、失業率や冷え込みが続く企業の投資マインド、消費者マインドなど、まったくの閉そく状況に陥ってしまいました。
 このような状況を打破するためには、政治の強い意志による景気回復最優先の政策断行以外にはありません。政府においては昨年四月二十四日に十六兆円、さらに十一月十六日には二十四兆円と過去最大の緊急経済対策を決定しました。
 特に、後者について今年ははっきりとしたプラス成長に転換させ、来年までには経済再生をはかると明示しました。われわれとしては今度こそ、その効果を大いに期待しているところです。

機動力生かした企業経営を
 こうした経済情勢において、中小企業は絶えずコスト削減やリストラなどに努め、日本経済の活力の源泉としてその役割を果たして参りましたが、先行き不透明な経済状況の中で、引き続き厳しい経営を強いられているのが現状でありましょう。
 しかし、日本の産業が活力を維持していくためには、中小企業経営者こそがこれまでにも増して自らリーダーシップを発揮し、新技術・新製品の開発や新分野の開拓に果敢に取り組み、持ち前の機動力を生かした企業経営を進めていくことが不可欠かと存じます。
 なお、このような中小企業の技術開発や事業化を支援するため、アメリカにおける各省庁の外部研究資金の一定割合を中小企業に優先的に配分する「中小企業技術革新制度」(SBIR)にならった、日本版SBIRの早期実施を強く望みます。
 さて、先行き見通しの大変難しい時代にあって、地域総合経済団体である東京商工会議所への期待と役割が一層増大しております。私どもは従来から、商工会議所使命達成のため、地域の振興、中小企業の支援、国際交流の推進、さらには、商工会議所組織・財政などの活動基盤の整備などを進めてまいりましたが、今後も変化する時代、多様化する会員のニーズに応えた活動を展開していきたいと考えております。
 特に昨年は長引く不況を打破するために、初めての試みとして、「副会頭・特別顧問と支部役員の懇談会」を春と秋に実施しました。貸し渋り対策、税制改正、景気回復などに中小企業の生の声を結集し、大規模な財政出動や法人課税実効税率の引き下げ、中小企業施策の拡充を政府に働きかけるなど強力に行動しました。 
 こうした取り組みは先ほども述べましたが、政府の緊急経済対策や信用補完制度の強化などにつながりました。今年も従前にも増して、政府に強く訴えかけていきたいと考えます。
 また、国際分野では、経済のグローバル化と市場経済化が進展する中で、世界経済の健全かつ着実な発展を目指し、民間ベースの経済交流を積極的に展開していく所存であります。
 特に、一九九九年は、EUにおける単一通貨「ユーロ」の導入による影響、インドネシアの大統領選挙をはじめとするアジアの政治経済動向、先行きが懸念されつつある米国経済の動向などに留意しつつ事業展開を行って参ります。
 さらに、中小企業の国際化とビジネスチャンスの拡大に向け、情報収集・提供活動を充実させていきます。

多様な会員参加の事業を展開
 さて、平成八年四月にスタートしました東商の会員増強運動も残すところ、あと三か月に迫りました。
 本当の意味で正念場を迎えます。開始時点で約七万件。現在、九万六千六百六十五件で、われわれの目標とする十万件まであと一歩となりました。
 ご承知のとおり、この不況下におきまして、全国各地の商工会議所においても、「会員数の維持」に大変苦労しております。他の経済団体におかれましても、近年、退会現象が大きな問題となっております。
 そういう中で、東商が全所を挙げて会員増強運動に取り組み、少しずつ、会員が増加していることに対し、議員企業はじめ、支部役員企業、会員企業の方々に紙面をお借りして感謝する次第であります。
 しかしながら、現状のままですと、運動期間内に十万会員体制を確立できるか、非常に微妙な状況であります。この運動の責任者として何としても組織目標である「十万会員体制」を確立したいと願ってやみません。
 会員増強に限らず、目標達成に向け最後まで最善の努力をし続ける姿勢がなによりも大切ではないかと存じます。
 東商は会員十万社という規模のスケールメリットを生かすべく、会員の知恵と力を結集させ、発言力を高めることによって、政府や東京都に対して行っている政策提言をさらに重みのあるものにして参ります。政策提言が実現すれば当然、会員も増えていくことでしょう。
 一方で会員間の新たなネットワークの構築や、相互のコミュニーケーションの拡充を図るべく、多様な会員参加の事業を展開していく所存であります。特に昨年、スタートしました会員間の取引を橋渡しする「ビジネス・コーディネート・サービス」を本格稼動させて参ります。
 このような活動の軸を一層、強固なものにするためにも、本・支部の連携をさらに深めていきたいと存じます。
 以上、年頭に当たり所懐の一端を申し述べましたが、このような経済情勢の厳しき折、一日も早い景気回復を目指し、東商も本支部役員・議員・事務局が真に一丸となって、中小企業支援という使命達成に向け、そのための努力を精一杯する決意でありますので、どうか皆様の一層のご支援・ご協力を心からお願い申しあげます。

以上